報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
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 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「離島を往く」

2020-08-06 19:54:36 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[7月23日13:00.天候:曇 伊豆諸島 某離島内]

 私の名前は愛原学。
 今はリサや善場主任と一緒に、バイオハザードの発生した離島に上陸している。
 既にそこでは、国連組織BSAAが島内に発生したクリーチャーの掃討作戦、並びに生存者の救助活動を行っていた。
 もっとも、そこの隊長の話では、生存者は無いに等しいという。

 隊長:「……以上が島内における現状です」

 自衛隊出身の隊長が私達に説明した。

 愛原:「やはりネメシスが眠ってたのか……」
 隊長:「どのようなきっかけで目覚めたのかは定かではありませんが、秘密研究所にて冷凍睡眠が解け、活動を始めたものと推察されます」

 アメリカでもラクーンシティで暴れたネメシスはロケットランチャーや火炎放射器などの重火器を持って、ターゲット達を攻撃したという。
 今回もそのようである。
 ここではBSAAがターゲットなのか。

 隊長:「ネメシスがいる限り、作戦の遂行に支障を来します。どうか、御協力願いたいのです」
 愛原:「分かりました。ここにいるリサが何とかします」
 リサ:「先生、アルバイトは校則で禁止されてる……」
 愛原:「新聞配達や牛乳配達ならOKだ!」
 善場:「学校法人東京中央学園からそのような指摘があったら、私から説明しておきます」
 愛原:「よろしくお願いします」
 隊長:「最後にネメシスが目撃されたのは、村立病院の屋上です」

 隊長は天幕から出ると、島の中央部に位置する山の方を指さした。

 愛原:「あんな所からヘリを狙ったのですか……」

 目視で300メートルはある。
 300メートル先の飛行中のヘリを確実に狙うとは……。

 愛原:「てか、ここも危ないんじゃないですか?!」
 隊長:「それは大丈夫です。病院側からここは山陰に当たるので、そこからここは狙えません」
 愛原:「何だ、それなら……」
 隊長:「ですが、奴が移動してくる恐れは十分にあります。そうなる前に対処したいのです」
 愛原:「分かりました。それじゃリサ、行こう」
 リサ:「うん!」

 私とリサがBSAAの隊員に付いて現場に向かうものと思っていた。
 だが、BSAAが用意した装甲車に乗り込んだのは善場主任もだった。

 愛原:「善場さん!?」
 善場:「どうかなさいましたか?」
 愛原:「善場さんも戦うつもりですか?」
 善場:「こう見えても、戦闘能力はあるんですよ?」

 善場主任はグレーのスーツにタイトスカートだ。
 しかし、スーツの中からハンドガンを取り出した。
 恐らくベレッタか何かだろう。

 愛原:「そ、そうですか」
 善場:「所長にも預けておきますね。所長は確か、ショットガンをお使いでしたね」
 愛原:「ええ。……って、軍用のヤツですか!」

 私の言うショットガンは猟銃としてのそれだったのだが。
 もっとも、霧生市ではそんなこと言ってられなかったけどな。
 私とリサがリアシートに座り、善場主任が助手席に座った。
 そして、装甲車が走り出した。
 途中でクリーチャー避けに設置されたフェンスゲートを通過する。
 ここからいよいよ危険地帯というわけか。
 しかし、それまでBSAAが掃討作戦を展開していたせいか、途中でクリーチャーに遭遇することは殆ど無かった。
 隊長の話では、研究所から漏れ出したと思われるウィルスに島民達が感染し、島民達が次々とゾンビ化していったという。
 なので漏れたのは、初期の旧式Tウィルスと思われる。
 これについては既にワクチンが存在し、BSAAの隊員達は既にそれを投与している為、今さらそのような感染者に噛まれても大丈夫である。
 私にあっては、既に元から抗体があることが判明している。
 リサについては、【お察しください】。
 病院へ向かう山道では、何台かのBSAAのトラックとすれ違った。
 その荷台を見ると、死体らしき物を積んでいたのが一瞬で分かった。
 恐らく、BSAAに射殺された島民達だろう。
 感染してゾンビ化していたところを、BSAAに射殺されたというわけだ。
 残酷な話だが、一度ゾンビ化してしまうと、もう2度と治らないとされる。
 アメリカでは医師のレポートに、『医学的には既に死んでいる』というのもあるそうだ。
 その為、日本語ではこういったゾンビのことを、『活性死者』と言うらしい。
 あくまでもワクチンは感染する前の予防策として、或いは感染しても発症する前、最悪発症してもまだ初期症状のうちなら治る見込みもある。
 それ用だ。

 隊員:「あれです」

 病院に到着した。
 交通不便な離島で、人口もおよそ200人弱という小さな島にしては、随分と立派な病院だった。
 地上3階建てもある。

 善場:「旧・日本アンブレラが『慈善活動の一環として、医療の脆弱な離島に最先端の医療施設を提供する』名目で建てたそうです」
 愛原:「一度全部、旧・日本アンブレラが関わっている施設を洗い浚い調べた方がいいんじゃないですか?」
 善場:「それは既に済んでいます。しかし、中には本当に慈善活動として行い、今でも安全に稼働している施設などもありますので……」

 バン!(善場の席の窓ガラスにゾンビが張り付いて来た)

 島民ゾンビ:「アァア!」
 善場:「!!!」
 愛原:「びっくりした!」
 隊員:「下がります!」

 隊員は1度、装甲車をバックさせた。
 そして、再び装甲車を前進させ、ゾンビを轢き殺した。

 隊員:「αチーム103号車よりHQ!只今、スペードエリア入口にて感染者に遭遇!現車にて轢殺した。繰り返す……」
 HQ:「了解。αチームは注意して施設内の検索にあたれ」

 本部との無線交信を終えた隊員は、私達を振り向いて言った。

 隊員:「安全を確保してきます。ここでしばらくお待ちください」
 愛原:「分かりました」

 装甲車の中なら、例えゾンビに囲まれても侵入されることはない。
 窓ガラスは強化ガラスだし。
 マシンガンを所持した隊員は車から降りると、辺りを確認しに行った。

 愛原:「リサ、ネメシスの気配はあるか?」
 リサ:「分かんない」

 リサは首を横に振った。
 いきなりロケランで撃たれても困るぞ。

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