[3月3日12:00.天候:曇 東京都墨田区菊川 愛原学探偵事務所]
私の名前は愛原学。
都内で小さな探偵事務所を経営している。
リサ:「ただいま」
新型コロナウィルスの影響で春休みの開始時期が異様に早まり、今日はリサが修了式を終えて帰って来た。
愛原:「おう、お帰り」
リサ:「これ、通知表と修了証」
愛原:「そうか。あっという間の1年だったな。そろそろ高校受験……あ、無いのか」
リサの通う東京中央学園は中高一貫校である為、そのまま東京中央学園に留まる場合には高校受験は無い。
但し、高等部からの新規入学生もいるので、必ずしも中等部全員が高等部に上がる(または上がれる)とは限らない。
また、中等部の校舎と高等部の校舎は別の位置にある。
工業科のある校舎は池袋、普通科は上野にある。
リサは後者を選ぶだろうから、高校からは電車通学になるだろう。
どうしてこんなにバラけているのかというと、廃校になった学校を東京中央学園が買い取ったからである。
高野:「リサちゃん、斉藤さんに『出発は明日』って伝えてくれた?」
リサ:「うん。大丈夫」
愛原:「後で俺もおかしいと思ったんだ。今週末じゃなくて、平日に行くことになっていたからな。確認しておいて良かったよ」
如何に研究所であっても、土日祝日は休みだからだろう。
いや、地上の宿泊施設は営業しているだろうけどな。
愛原:「高橋、レンタカーの予約はOKか?」
高橋:「OKっす。前に乗ったNVでいいんスか?」
愛原:「十分だ。但し、今回は絵恋さんも一緒だから、さすがに5ナンバーでよろしくな?」
高橋:「一応、商用バンじゃなくて、乗用ワゴンで予約したんで大丈夫だと思います」
4ナンバーの方が料金安いのだが、絵恋さんもいるようではな。
それでも普段は3ナンバーの車に乗っているのだから、見劣りはされるだろう。
愛原:「それならいい」
高野:「お昼買って来ますね。今日は何がいいですか?」
愛原:「ほっともっとでいいだろう。唐揚げ弁当」
高橋:「先生と同じので」
高野:「何言ってんの、マサ?アンタも来るのよ」
高橋:「リサに行かせろよー」
高野:「リサちゃんは学校から帰って来たばかりでしょ。いいから、早く来な。先生がお腹を空かせておられるのよ?」
高橋:「早く行くぞ、アネゴ!今すぐに!」
愛原:「慌てなくていいからな。リサは何がいい?」
リサ:「ハンバーグ~、ハンバーグ~」
愛原:「ハンバーグ弁当」
高野:「リサちゃんはハンバーグが好きだねぇ」
高野君は高橋を連れて事務所を出て行った。
愛原:「今日もあんまり忙しくないから、早めに事務所を閉めて明日に備えよう。政府機関の研究所だからな、かなり大掛かりになるかもよ?」
リサ:「何ですと?……服は何着て行ったらいい?」
愛原:「普通の私服でいいだろう」
リサ:「それで大丈夫?セーラー服とか着させられて、白い仮面とか付けさせられない!?」
愛原:「日本アンブレラの研究所に行くわけじゃないんだから」
私は自分の机の上に置いてあるPCを操作し、受信箱の中から1通のメールを印刷した。
それは善場主任からの確認メールだ。
愛原:「これを見ろ。どこにも服装については何も書いていない。あるのは……」
その時、事務所の電話が鳴った。
愛原:「! 仕事の依頼かな?」
私は電話に出た。
愛原:「はい。愛原学探偵事務所です」
ボス:「私だ」
愛原:「ボス!あれ?やっぱり仕事の依頼ですか?」
ボス:「中らずと雖も遠からず、だな。仕事に関しての連絡ではあるが、新規の依頼ではない」
愛原:「じゃあ、何なんですか?」
ボス:「明日から神奈川へ出張だろう?」
愛原:「ええ。お土産なら後で買って来ますよ?」
ボス:「おー、こりゃすまない。……って、そういう話ではない。斉藤社長から御令嬢の御守りの依頼だ。そちらに依頼書をメールするので、契約書を作成してファックスして欲しいとのことだ」
愛原:「うちの契約書、随分と軽く見られてますなぁ……」
ボス:「軽く作成した契約書で、あれだけの報酬がもらえるのだ。素晴らしいことだと思わんかね?」
愛原:「ま、そりゃそうですけど……」
私がボスと電話している間、リサはブレザーを脱いで空いている椅子に掛けると、鞄の中からベルトを出してスカートの裾を上げた。
スカートの裾を短くするベルトで、よくJKが使っているらしいが、JCも使うようだ。
学校では(特に中学校では)女子のスカートの丈の長さについて厳しいので、学校では規定値を維持しつつ、外では規定外の短さにするという。
リサもそうするようになったか。
他の女子生徒の入れ知恵であろう。
愛原:「あれ?もう来た」
ボス:「? 別件ではないかね?私のこの確認の電話を以って、送信される手筈になっているはずだ」
愛原:「……あー、本当だ。これは善場主任からのメールだ」
私はそのメールも印刷した。
明日のことについての内容だと思ったからだ。
その時、リサが打ち合わせコーナーの椅子に移動し、鞄の中から本を取り出した。
椅子の上に足を置いて、随分と縮こまった体育座りのような体勢になっている。
だが、私のいる角度からスカートの中が見えてしまっている。
白いショーツが見えることから、中に短パンははいていないらしい。
ボス:「明日のことで忙しいのは分かるが、定時連絡は怠らないでもらいたい。私はキミの仲介役なんだからね?」
愛原:「分かってます。ちゃんと進捗状況の報告はしますよ。問題は向こうでパソコンが使えるかどうかですがね」
ボス:「政府機関の施設なのだろう?電波状況については確保されていると思うがね?」
リサがまるで私に見せるかのように足を開いてくる。
愛原:「そうじゃなくて、むしろ政府機関の施設だからこそ、機密保持の為に外部との連絡も制限されていやしないかということです」
ボス:「それも一応確認した方がいいな」
愛原:「もしかしたら、今送られてきた資料の中に書いてあるかもしれませんね。後で確認してみます」
ボス:「うむ。もし難しいようなら、また連絡を頼む。さすがに電話くらいはさせてもらえんとな」
愛原:「まあ、そうですね。それじゃ、失礼します」
私は電話を切った。
愛原:「リサ、行儀悪いぞ。ちゃんと座って読め」
リサ:「……はぁーい」
リサは何故かむくれた様子で足を閉じて下ろした。
愛原:「気持ちだけは受け取っておくよ」
リサ:「……気持ちだけでなく、手も出して欲しい」
リサがボソッと言った。
愛原:「え、何が?」
リサ:「何でも無い。トイレ行ってくる」
リサは本をテーブルの上に置くと、トイレに行った。
トイレはビルの共用部にある為、一旦事務所の外に出ることになる。
私の名前は愛原学。
都内で小さな探偵事務所を経営している。
リサ:「ただいま」
新型コロナウィルスの影響で春休みの開始時期が異様に早まり、今日はリサが修了式を終えて帰って来た。
愛原:「おう、お帰り」
リサ:「これ、通知表と修了証」
愛原:「そうか。あっという間の1年だったな。そろそろ高校受験……あ、無いのか」
リサの通う東京中央学園は中高一貫校である為、そのまま東京中央学園に留まる場合には高校受験は無い。
但し、高等部からの新規入学生もいるので、必ずしも中等部全員が高等部に上がる(または上がれる)とは限らない。
また、中等部の校舎と高等部の校舎は別の位置にある。
工業科のある校舎は池袋、普通科は上野にある。
リサは後者を選ぶだろうから、高校からは電車通学になるだろう。
どうしてこんなにバラけているのかというと、廃校になった学校を東京中央学園が買い取ったからである。
高野:「リサちゃん、斉藤さんに『出発は明日』って伝えてくれた?」
リサ:「うん。大丈夫」
愛原:「後で俺もおかしいと思ったんだ。今週末じゃなくて、平日に行くことになっていたからな。確認しておいて良かったよ」
如何に研究所であっても、土日祝日は休みだからだろう。
いや、地上の宿泊施設は営業しているだろうけどな。
愛原:「高橋、レンタカーの予約はOKか?」
高橋:「OKっす。前に乗ったNVでいいんスか?」
愛原:「十分だ。但し、今回は絵恋さんも一緒だから、さすがに5ナンバーでよろしくな?」
高橋:「一応、商用バンじゃなくて、乗用ワゴンで予約したんで大丈夫だと思います」
4ナンバーの方が料金安いのだが、絵恋さんもいるようではな。
それでも普段は3ナンバーの車に乗っているのだから、見劣りはされるだろう。
愛原:「それならいい」
高野:「お昼買って来ますね。今日は何がいいですか?」
愛原:「ほっともっとでいいだろう。唐揚げ弁当」
高橋:「先生と同じので」
高野:「何言ってんの、マサ?アンタも来るのよ」
高橋:「リサに行かせろよー」
高野:「リサちゃんは学校から帰って来たばかりでしょ。いいから、早く来な。先生がお腹を空かせておられるのよ?」
高橋:「早く行くぞ、アネゴ!今すぐに!」
愛原:「慌てなくていいからな。リサは何がいい?」
リサ:「ハンバーグ~、ハンバーグ~」
愛原:「ハンバーグ弁当」
高野:「リサちゃんはハンバーグが好きだねぇ」
高野君は高橋を連れて事務所を出て行った。
愛原:「今日もあんまり忙しくないから、早めに事務所を閉めて明日に備えよう。政府機関の研究所だからな、かなり大掛かりになるかもよ?」
リサ:「何ですと?……服は何着て行ったらいい?」
愛原:「普通の私服でいいだろう」
リサ:「それで大丈夫?セーラー服とか着させられて、白い仮面とか付けさせられない!?」
愛原:「日本アンブレラの研究所に行くわけじゃないんだから」
私は自分の机の上に置いてあるPCを操作し、受信箱の中から1通のメールを印刷した。
それは善場主任からの確認メールだ。
愛原:「これを見ろ。どこにも服装については何も書いていない。あるのは……」
その時、事務所の電話が鳴った。
愛原:「! 仕事の依頼かな?」
私は電話に出た。
愛原:「はい。愛原学探偵事務所です」
ボス:「私だ」
愛原:「ボス!あれ?やっぱり仕事の依頼ですか?」
ボス:「中らずと雖も遠からず、だな。仕事に関しての連絡ではあるが、新規の依頼ではない」
愛原:「じゃあ、何なんですか?」
ボス:「明日から神奈川へ出張だろう?」
愛原:「ええ。お土産なら後で買って来ますよ?」
ボス:「おー、こりゃすまない。……って、そういう話ではない。斉藤社長から御令嬢の御守りの依頼だ。そちらに依頼書をメールするので、契約書を作成してファックスして欲しいとのことだ」
愛原:「うちの契約書、随分と軽く見られてますなぁ……」
ボス:「軽く作成した契約書で、あれだけの報酬がもらえるのだ。素晴らしいことだと思わんかね?」
愛原:「ま、そりゃそうですけど……」
私がボスと電話している間、リサはブレザーを脱いで空いている椅子に掛けると、鞄の中からベルトを出してスカートの裾を上げた。
スカートの裾を短くするベルトで、よくJKが使っているらしいが、JCも使うようだ。
学校では(特に中学校では)女子のスカートの丈の長さについて厳しいので、学校では規定値を維持しつつ、外では規定外の短さにするという。
リサもそうするようになったか。
他の女子生徒の入れ知恵であろう。
愛原:「あれ?もう来た」
ボス:「? 別件ではないかね?私のこの確認の電話を以って、送信される手筈になっているはずだ」
愛原:「……あー、本当だ。これは善場主任からのメールだ」
私はそのメールも印刷した。
明日のことについての内容だと思ったからだ。
その時、リサが打ち合わせコーナーの椅子に移動し、鞄の中から本を取り出した。
椅子の上に足を置いて、随分と縮こまった体育座りのような体勢になっている。
だが、私のいる角度からスカートの中が見えてしまっている。
白いショーツが見えることから、中に短パンははいていないらしい。
ボス:「明日のことで忙しいのは分かるが、定時連絡は怠らないでもらいたい。私はキミの仲介役なんだからね?」
愛原:「分かってます。ちゃんと進捗状況の報告はしますよ。問題は向こうでパソコンが使えるかどうかですがね」
ボス:「政府機関の施設なのだろう?電波状況については確保されていると思うがね?」
リサがまるで私に見せるかのように足を開いてくる。
愛原:「そうじゃなくて、むしろ政府機関の施設だからこそ、機密保持の為に外部との連絡も制限されていやしないかということです」
ボス:「それも一応確認した方がいいな」
愛原:「もしかしたら、今送られてきた資料の中に書いてあるかもしれませんね。後で確認してみます」
ボス:「うむ。もし難しいようなら、また連絡を頼む。さすがに電話くらいはさせてもらえんとな」
愛原:「まあ、そうですね。それじゃ、失礼します」
私は電話を切った。
愛原:「リサ、行儀悪いぞ。ちゃんと座って読め」
リサ:「……はぁーい」
リサは何故かむくれた様子で足を閉じて下ろした。
愛原:「気持ちだけは受け取っておくよ」
リサ:「……気持ちだけでなく、手も出して欲しい」
リサがボソッと言った。
愛原:「え、何が?」
リサ:「何でも無い。トイレ行ってくる」
リサは本をテーブルの上に置くと、トイレに行った。
トイレはビルの共用部にある為、一旦事務所の外に出ることになる。
如何お過ごしでしょうか?
今そのビルは取り壊され、現在はその跡地から目と鼻の先にある別のビルで勤務しています。