家の近くに「めんちゃんこ亭(百道店)」という食堂があります。特別豪華とか、広いとか、お洒落とかいうわけではなく、どこにでもある普通の食堂です。夜は居酒屋にもなるようですが...。
現在、福岡市内に6店舗、長崎に1店舗、そしてハワイに1店舗あるらしいですが、私の家の近くの、このお店が本店なのだそうです。麺とちゃんこ鍋の美味しさが手軽に味わえる≪めんちゃんこ(600円)≫いうメニューがこの食堂の人気メニューのようです。
<めんちゃんこ亭(百道店)>
先日このお店に入りました。店内に入るとすぐ左側に一台のレジスターが展示してあります。
<レジスター>
お店の説明によると、このレジスターは、「めんちゃんこ亭」がニューヨークの世界貿易センタービル(WTC)内に支店を出していた2001年にアメリカ同時多発テロが起こり、その時、支店内で使われていたレジスターなのだそうです。
<WTC内の「めんちゃんこ亭」>
当時、この「めんちゃんこ亭」は世界貿易センタービル南棟1Fに出店していて、100席程のテーブル席があり、お寿司をテイクアウト出来るコーナーやカウンターバーも併設されていたそうで、百道店のメニュー≪めんちゃんこ≫も人気メニューの一つだったとか。
2001年9月11日8時46分、世界貿易センタビルの北棟に一機目の飛行機が突っ込み、9時3分に2機目の飛行機が南棟に突っ込みました。その時丁度、お店の中では1人の社員と3人のアルバイト店員が開店準備中でしたが、お店は出口が近いこともあり4人とも難を逃れました。
当時世界貿易センタービル内には多くの飲食店が入居していましたが、日本食店は「めんちゃんこ亭」1軒だけだったそうです。
悲劇の舞台となった世界貿易センタ-ビル内の両隣のお店は崩壊しましたが、がれきが膝くらいまで積もっていたにもかかわらず、「めんちゃんこ亭」だけは奇跡的に完全な形で残っていて、店の奥に置いてあった3台のレジスターも原型をとどめていました。その3台のレジスターの一つが上の写真のレジスターなのだそうです。
「テロや戦争について考える契機になればと思い、2007年からここに展示しています」とお店の方は言われていましたが、私の家の近くの普通の食堂が世界貿易センタービル内に支店を出していたことに驚くとともに、この物言わぬ事件の生き証人は、テロのむごさを静かに伝えている様に思いました。