アルルの街歩きでは、よく知られたゴッホの絵の「夜のカフェテラス」に描かれたカフェ、「ヴァン・ゴッホ」があるフォーラム広場にも立ち寄りました。
ゴッホの絵では広場の端にあるロマンティックな夜のカフェが描かれていますが、今回行ってみると、広場中がカフェ席で埋まっていて、絵の雰囲気とはまったく違っていました。絵が描かれてから100年以上経っているので当然でしょうが、がっかりしましたね~。
アルルには古代ローマ時代に出来た円形闘技場があります。ここは多くの観客を集めて血なまぐさい闘技が行われた場所ですが、身分の違う人同士が決してすれ違う事がない様に工夫されていたのだとか。
ローマ時代の観客が歩いた通路が今でもそのまま残っています。
アルルからエクサンプロヴァンスへはバス移動しましたが、車窓には緑一杯の初夏のプロヴァンスの野が広がっていました。
この地方には、冬から春にかけて、アルプス山脈から地中海に吹き降ろす、ミストラルと呼ばれる冷たく乾燥した強風(北風)が吹くそうです。その為でしょうか、家の北側に背の高い防風林を張り巡らした農家が多くみられました。
エクサンプロヴァンスは、大噴水ロトンドからまっすぐ伸びる、樹齢数百年のプラタナス並木が美しいミラボー通りがメインストリートの街(人口14万人)です。この街は、通りの両側に並ぶオープンカフェや所々にある小さな噴水、道行くオシャレな人々など、プロヴァンスの他の都市とは何となく違う、洗練された街の様に感じました。
画家セザンヌはこの街の出身で、彼自身が設計し晩年に使ったアトリエが、街の中心部から少し離れた場所に残っています。絵の題材にした、リンゴ等の静物や骸骨、又制作中に着ていたらしい絵の具が付いた上着などがそのまま置かれていました。(室内は撮影禁止でした)
アトリエから少し坂(マーガレットの小道?)を上がった所には、セザンヌが毎日のようにカンバスを立てていた高台がありました。この高台からずっと向こうに、絵の題材となったサント・ヴィクトワール山が見えました。
エクサンプロバンスから30分位のバス移動でマルセイユの旧港に着きました。旧港に着いたのは午後でしたので、旧港の市の賑わいは感じられず、静かな街の雰囲気でした。テレビにマルセイユが出ると、丘の上のノートルダム・ド・ラ・ギャルド・バジリカ聖堂が必ず写りますが、その聖堂が思っていたよりずっと近くにあるのには驚きました。
プロヴァンスの町をバスで移動中に、車窓から豊かなフランスの田舎をかいま見ることが出来ました。野原いっぱいのコクリコには出会えませんでしたが、畑の所々に可愛い朱色のコクリコが咲いているのや、斜面に鮮やかな黄色のエニシダが咲いているのが見えました。
「ああ皐月 フランスの野は火の色す
君もコクリコ われもコクリコ」
与謝野 晶子