「復讐劇を見た!」、こんなふうにいうと、何かただならない場面に遭遇したかの様な感じですが、なに、福岡市民劇場6月例会で「王女メディア」という平幹二郎主演の復讐劇を観劇したお話です(笑)
パンフレットによると、この「王女メディア」はギリシャ悲劇をベースにしたもので、主役の平幹二郎さんは、今まで何回もメディアを演じ、1983年にはアテネの舞台に立ち、ギリシャでギリシャ以外の国の人間がギリシャ悲劇を演じて、初めて絶賛されるという快挙も成し遂げられたのだとか。
平さんが言われるには、ほとんどの役は公演が終われば、自身の中で消えていくものなのだそうですが、このメディア役だけは心の中に居座り続け、78歳になられた今でも別れが言えないのだそうです。それで、とうとう今回、新しい演出、スタッフで「さようならメディア」をやることになったということです。
劇のあらすじは、[妻子を捨てその国の王女と結婚しようとする夫に復讐するため、王女とその父親を殺し、2人の息子を自らの手にかけるメディア]というギリシャ悲劇をベースにしたもので、いわゆる復讐劇です。
王女メディア役の平さんは、地声で演じ、動きも女形の動きではありませんが、まったく違和感はありません。それは女性というより、すべての人間の中に潜む情念、浅ましさなどが演じられているからなのかもしれません。
王女メディアの心の動きに合わせて、効果的に和太鼓が響いていたのも印象的で、芝居全体にまとまりを与えていた様に思います。
ギリシャ悲劇がベースになっている芝居ですが、劇中では固有名詞が普通名詞に置き換えられているので、あまりその感じはしません。登場人物の衣装や舞台装置に、イメージの中のギリシャ悲劇の味が少し出ている感じがしましたが...。
幕あいも無い2時間近くの熱演は、78歳の平さんには相当応えたのではと思いますが、スタンディングオベーション(総立ちとまではいきませんでしたが)となり、掛け声もかかり、それにこたえ舞台上に何度も姿を見せられ、最後に幕となりました。はたして、平さんは「王女メディア」に別れを告げる事が出来たのでしょうかね~。
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