久しぶりに天神まで出て映画を見てきました。その映画は『アクトレス ~女たちの舞台~』。
フランスの女優ジュリエット・ピノシュ演じるマリアは、世界的な女優で彼女の世に出るきっかけの舞台は『マローヤのヘビ』。この舞台で彼女は若く美しい主人公シグリットを演じました。
若く有能な演出家から『マローヤのヘビ』のリメイク舞台の出演依頼が来ますが、今回のマリアの役は昔と同じ役ではなく、主人公に翻弄され自殺する中年上司の役でした。
今回、主役のシグリットを演じるのは、クロエ・グレース・モレッツ演じるハリウッドの若手女優ジョアンでした。
この役に戸惑うマリアにマネージャーのヴァレンティンは、才能ある演出家の作品なら出るべきだと勧めます。マリアもそれを受け入れ、この作品の作者であった人の山荘で、ヴァレンティンと共に台詞の稽古をするシーンがあり、そのシーンの演技は、なかなか味があるものでした。
マリアはこの役を演じることの苦しさというか葛藤を胸に秘めながら台詞の練習をヴァレンティン相手にし、ヴァレンティンはそれを理解しながらも、率直な考えをマリアに言ったりする場面には、マリアの孤独感がうきぼりになり、この映画の隠れた見せ場ではと感じます。
パンフレットによると、この映画の原題は「シルス・マリア」だそうです。シルス・マリアは地名で、それはスイスの高級山岳リゾート地で知られるサン・モリッツからバスで20分程のところにある村(町?)なのだそうです。
そこにある4つの湖が神秘的で、マローヤ峠に雲海がゆったりと流れるさまは「マローヤのヘビ」といわれているそうで、それ自体がマリアが出演する舞台の題名になっています。そして亡くなったこの舞台の作者の山荘も、このシルス・マリアにあるのです。
映画ではすばらしい音楽と共に美しいシルスマリアの雲海が映し出され、その雲海はおそらく時の流れを象徴しているのでしょうが、私はその息をのむような美しさに、ただただ引き込まれて見ていました。
もう一つ、主役のシグリットを演じることになっている、ハリウッドの若手女優ジョアン役(クロエ・グレース・モレッツ)の台詞の小憎らしいこと!(笑)。マリアの年齢をはるかに超えた私としては、ひょっとしてこの若いジョアン役に嫉妬したのかもしれません(^-^)