夢の人

心はいつまでも子供のまま。生活感無き こだわり人は、今日も夢を追いかけて多忙です。

初めての外国文学

2010-10-08 02:23:00 | Weblog
 ノーベル化学賞受賞が決まった米パデュー大学特別教授の根岸英一氏及び北海道大学名誉教授の鈴木章氏であるが、根岸氏はパデュー大での会見において
「(日本の)若者よ海外に出よ、と言いたい」
 と奮起を促し、鈴木氏は北海道大での祝賀の席で
「若い皆さんと頑張って、いい成果を上げたい」
 と語った。
 日本人2年ぶりのノーベル化学賞は、内憂外患状態のこの国にとって現在唯一と言っても過言でない喜ばしいニュースである。 しかし、御当人たちはそれぞれの喜びとは別に、祖国に対する忸怩たる思いが今も昔もあると考えられる。

 ノーベル文学賞に関してはペルー出身のバルガス・リョサ氏に授与されることが決まった。 リョサ氏は本国に焦点を当てた『緑の家』、ブラジルで起きたカルト集団の事件を題材にした『世界終末戦争』他の小説を代表作とし、ルポ『イラク日記』や戯曲なども著している。
 期待された村上春樹氏は残念ながら受賞を逃したが、村上氏もオリジナル作品執筆以外に、スコット・フィッツジェラルドやレイモンド・チャンドラーら数多の海外作品の翻訳を行なっていることを改めて記しておきたい。

 
 初めて私が外国文学に触れたのは、小説ではなく詩であった。 外国詩は小学校高学年の頃から読み始めたので、深い内容が全て理解できる道理もない。 もちろん翻訳文だから、和文の妙なる調子というような感覚に単に惹かれて読んでいた記憶が、この度の文学賞云々の件で、ふと甦った。
 往時に読んだ中で想い起した作家はポーランド人の詩人で小説家、シュルレアリスムの先達であるアポリネール。 作品は有名な『ミラボー橋』、堀口大學の対訳。


ミラボー橋の下をセーヌ川が流れ
われらの恋が流れる
わたしは思い出す
悩みのあとには楽しみが来ると

日も暮れよ 鐘も鳴れ
月日は流れ わたしは残る

手と手をつなぎ 顔と顔を向け合おう
こうしていると
二人の腕の橋の下を
疲れたまなざしの無窮の時が流れる

日も暮れよ 鐘も鳴れ
月日は流れ わたしは残る

流れる水のように恋もまた死んでゆく
恋もまた死んでゆく
命ばかりが長く
希望ばかりが大きい

日も暮れよ 鐘も鳴れ
月日は流れ わたしは残る

日が去り 月がゆき
過ぎた時も
昔の恋も 二度とまた帰ってこない
ミラボー橋の下をセーヌ川が流れる

日も暮れよ 鐘も鳴れ
月日は流れ わたしは残る


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