道路沿いの緑色が濃い季節となった。
春雨という名なのに梅雨かの如き日もあるが、着実に前進する季節の証しを実感できている。
真夏にも似た陽射しだった先日、自転車でゆっくりと専用道を走行している時に、道沿いの長く四角い植え込みがきらきらと光り輝く様子に見惚れた。 よくある街路樹でマメツゲ?と思うが、緑葉の先端が日光で悉くプラチナ色に煌めいている。
さらに植え込みの中をじっくり見てゆけば、芥子の橙色、小菊の白色、黄緑色のイネ科植物の花々が幾つも顔を突き出している。 他にも桃色に紫色に濃紺色と、何処からか飛んできた種が芽吹いて色とりどりの花を咲かせていた。
花見は派手な花だけではない。 周辺を見渡せば都会の街中でも密やかな美を見ることが可能だ。
このような瞬間には「足るを知る」の言葉が頭に浮かぶ。
「足るを知らない」種類の人間の愚かさを知るにつけ、なおさら残念至極に思う。