我が友の誕生日

　21日は我が友である音楽家の、43回目の誕生日。
勿論私はお祝いの言葉を伝える筈だった。
此処に先日来書いていたように、今日を迎えることなく彼は亡くなった。

今月のライブで、ステージでは珍しい彼の歌声が聴けると思っていた。
変わらずキーボード又はギターの熱い音が、周囲を圧倒してくれると思い込んでいた。

これからも続くと信じて疑わなかった物語に突然の幕が下りた時、私は無限の喪失感の只中に放り出された気がした。


清冽な寂寥に満ちた作品群をアルバムで聴けば、共有した時間が切なくよみがえる。
初めて会った時、折角の一張羅を予期せぬ人助けの為に、台無しにしてしまった彼。
食べることが大好きで、美味しい店を厳選して皆を誘った彼。

打ち上げ先では、メンバーの演奏で「Born to Be Wild」を一緒に歌ったね。
こだわりのある靴下をプレゼントしたら、物凄く喜んでくれたね。
ネタ話や馬鹿話で大盛り上がりしつつも、深く物事を把握していたね。


お誕生日、おめでとう。