日々是好日

身辺雑記です。今昔あれこれ思い出の記も。ご用とお急ぎでない方はどうぞ・・・。

朝日新聞対NHK、『取材源の秘匿』は騙しの手口にもなる

2005-02-18 13:52:54 | 社会・政治
久しぶりに朝日新聞からNHKとの『バトル』にかかわる記事が現れた。

私がこのブログ上で朝日新聞にこのような注文を述べた。
《・・記事の根拠となった取材経緯、取材内容をそれらを裏付ける具体的な証拠と共にまず読者につまびらかにすることが、「欠陥商品」を売ることを許されない商売人に課せられた最低の義務であろう》と。

ほぼ一ヶ月経って紙面に現れた記事は、朝日新聞とNHKの応酬を適当に縮めて報じているだけで、私のような疑問を感じる読者が納得できるような内容からはほど遠いもの、その意味では読者不在の記事である。

何をもって読者不在というのか。その記事の一節を引用しよう。

『NHKの公開質問状は1月21日付で出されていたが、質問状の中に虚偽が含まれていることや、取材の経過を明かすよう迫るなど「ジャーナリズムに携わる者として信じられない内容だ」とし、朝日新聞社は回答を保留していた。しかし、今月1日付の文書でNHKが「取材の経過を明かすようにとは求めていない」と表明したことや、元放送総局長に対する再調査が実施されていることが16日の記者会見で明らかになったと判断したことなどから、この日、回答書を送付した』

私が強調したいのは『取材の経過を明かすよう迫るなど「ジャーナリズムに携わる者として信じられない内容だ」とし、朝日新聞社は回答を保留していた』の部分。

私は『記事の根拠となった取材経緯、取材内容をそれらを裏付ける具体的な証拠と共にまず読者につまびらかにする』を注文した。ところが朝日新聞はNHKが取材の経緯を明かすよう迫ったことに対して『ジャーナリズムに携わる者として信じられない内容だ』と噛みついている。『同業者』としての仁義を欠いていると責め立てているのである。そして『ジャーナリズムに携わる者』の馴れ合いは『NHKが「取材の経過を明かすようにとは求めていない」と表明したこと』から以降のくだりでさらに裏付けられる。なぜNHKが引き下がったのか、これはこれでまた問題ではあるが。

『読者の知る権利』が記事内容そのものに止まるのではなく、場合によればその取材経緯までにも及ぶことを『ジャーナリズムに携わる者』が一顧だにしていない理由が、これでも明々白々、私が『読者不在』を言い立てる所以である。

読者を念頭におかない今や'olds'になった'news'のことは実はもうどうでもいい。ここで'quality paper'を目指す新聞社があるとすれば、一言だけ提言しておきたい。

『取材源の秘匿』がマスコミ関係者にとって後生大事な呪文であることは、或る意味ではよく分かる。『弱い立場にある情報提供者』を守るというよりは、信頼性の低い記事に至る杜撰な取材経緯を隠すために使うには格好の口実になるからである。ウソかホンマか確かめようのない記事は『ヨタ記事』同然である。そこで『取材源の秘匿』なんて、正義の騎士ぶったもっともらしいスローガンをまず撤廃していただく。

そして、取材は事実の確認に始まり確認で終わる。それで必要且つ十分。記事の信憑性は必ず検証可能でなければならない。
そのために、また記事の正確さを期するために、このITのご時世、取材対象者とのやりとりは全て録音するなどして記録を残す。表に出したくても出せないような隠し録りをして、卑屈な思いをすることはこれでなくなる。
必要とあれば公開を前提とした取材に協力を得られない相手からは取材しない。無駄金を使うことはない。
そうそう、取材対象者には応分の謝礼を支払うのである。情報の価値を一番知るはずの『ジャーナリズムに携わる者』が、情報の提供者に対価を支払うのは当然のことである。情報を買うと思えばそれなりに取材も慎重になる。『情報提供者』も情報を売り渡した以上は、その使われ方にそれなりの覚悟を持つであろう。

そんなことでは取材が出来なくなるとお嘆きのジャーナリズムに携わる諸氏へ。不可能を可能にする工夫をこらすのがプロなんです。


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