日々是好日

身辺雑記です。今昔あれこれ思い出の記も。ご用とお急ぎでない方はどうぞ・・・。

「皇太子ご一家オランダ静養」に思う

2006-07-02 12:04:31 | 社会・政治
昨夜というか早朝というか、イングランドとポルトガルの試合を前半だけ観て寝てしまった。6時過ぎに目が明き、結果を知りたくてスイッチを入れたテレビが、このたびシンガポール、マレーシア、タイ国を訪問された天皇・皇后両陛下のご様子を伝えていた。

目が覚めてしまったのでテレビのチャンネルを廻していると、教育テレビで英語のレッスンをやっていた。「through」の使い方で、「You've been through a lot.」(いろいろとご苦労されましたね)という云い方が出て来て、ふと皇后さまに思いが戻った。

皇后さまはわたしより少しお年上ではあるが、全くの同世代であるだけに同じ時代を歩んできた親近感はひとしおである。2004年に「皇后さま:70歳の古希の誕生日迎え文書回答」でこのようなことを述べておられる。

「陛下のお側(そば)でさせていただいたさまざまな公務は、私にとり、決して容易なものばかりではありませんでしたが、今振り返り、その一つ一つが私にとり必要な経験であったことが分かります。陛下がお優しい中にも、時に厳しく導いてくださり、職員たちもさまざまな部署にあって、地味に、静かに、私を支え続けてくれました。まだ若かった日々に、社会の各分野で高い志を持って働く多くの年長の人たちの姿を目のあたりにし、その人々から直接間接に教えを受けることができたことも、幸運でした。とりわけ、自らが深い悲しみや苦しみを経験し、むしろそのゆえに、弱く、悲しむ人々の傍らに終生よりそった何人かの人々を知る機会を持ったことは、私がその後の人生を生きる上の、指針の一つとなったと思います。」

私は皇后さまは『自己改造』を上手に成し遂げられたすばらしく賢明なお方だな、とかねてから思っていた。「身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ」を文字通り実践されたようにも映る。それにつけても、と私の連想が皇太子ご夫妻に及ぶのである。そして近年世間に蔓延している親が元気なのをいいことにして、手伝うどころか何時まで親に甘えているような『モラトリアム若者』にも。

天皇・皇后両陛下もそれぞれ古希を過ぎられいいお年である。ひたすら公務第一に長年刻苦勉励を重ねてこられた。公には隠居という制度がないだけに、激務を皇太子ご夫妻に徐々に肩代わりしていただけたらとも思いが湧いてくる。しかしこう申してはなんであるが、皇太子ご自身はともかくも、雅子妃殿下ともども公務に勤しんでいるお姿が国民の目に映らない事態が長く続いている。そうこうするうちに「皇太子ご一家が8月中旬から下旬にかけて私的にオランダを訪問し、雅子さまの治療を兼ねて静養される」との動静が伝えられた。

そのような短期間のオランダご訪問が治療に役立つとは素人だけに信じられないが、それはともかく、『私人』としての妃殿下のご健康状態にはご私も同情申し上げる。またなんとか回復していただきたいと願う気持ちもひとに劣るものではない。しかし、『公人』としてみる限り皇太子ご夫妻の存在感があまりにも薄く、その分を補うかの如くご精励の天皇・皇后両陛下にご同情の念を禁じ得ない。

云うまでもないが皇室は国民の同情ではなく支持があってこそ存続しうるものである。その支持を弱めないためにも現状をズルズルと引きずってはならないと思う。皇太子妃には早期の公務復帰を目指して、療養に専念していただきたいものである。その成否は『皇室改革』ではなくて皇后さまがなされたような『自己改革』にかかっていると私は思うが、いかがであろう。


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