日々是好日

身辺雑記です。今昔あれこれ思い出の記も。ご用とお急ぎでない方はどうぞ・・・。

一弦琴の糸をもとめて そして「須磨」を演奏

2010-04-25 18:45:55 | 一弦琴

「絹の調べ 湖国にあり 琴糸(滋賀県長浜市)」の見出しが目に飛び込んできた。次のように始まるasahi.com(2010年4月10日)の記事である。

 滋賀県・琵琶湖の北に位置する長浜市木之本町。江戸時代に北国街道の宿場町として栄え、本陣跡や古い商家が面影を残す。

 3月半ば。初春の冷気に包まれたこの旧宿場町の一角で、琴糸づくりが進められた。

 和楽器糸製造の「丸三ハシモト」。工場1階の板張りの部屋に400本の糸が張り巡らされている。極細の生糸から撚(よ)りあげた絹の糸が、窓から差し込む陽光を受け、つややかに輝く。

 白が琴、黄色が三味線の糸。三味線の糸はウコンの染色だ。糊(のり)で煮込んだ糸を、余熱のあるうちに張っていく。さらしで糸を挟んで引っ張り、余分な糊を取り除き乾燥させる。「糸張り」で仕上げにさしかかった。琴糸づくりの工程は計12。ほとんどが手仕事だ。

ネットで調べてみると一弦琴の糸も製造している。かなり以前に太さのことなる糸を張り替えて演奏を試みたことがあったが、それは三味線用の糸であった。もし一弦琴用に太い糸があればいいなと思い、「丸三ハシモト」に電話をした。娘さんと名乗る女性が私の数々の問いかけに親切に答えて下さったが、百聞は一見にしかず、ということで約束を交わした上、昨日工場に車で出向いたのである。

かってのお師匠さんも「丸三ハシモト」さんから糸を入手しておられたようである。話をしているうちに分かってきた。その糸に加えてさらに太い糸が一弦琴用として作られていたことも分かり、とりあえずそれを五巻分けていただくことにした。ほかにも三味線用の糸を数巻、遠いところからわざわざ来ていただいたので、とサンプルとして下さった。


せっかくだからと工場内を案内していただき、製造工程もくわしく説明していただいた。物づくりの現場をゆっくりと拝見できて、それが珍しいことばかりなので興奮のしっぱなしであった。全ての工程がすんなりと頭の中に納まったわけではないが、実に繊細で根気の要る仕事であるはよく分かった。まゆは一年の間に何回かとれるが、春まゆだけを糸の製造につかっていること、また出来上がった糸を餅糊で煮込んだり、また表面をコーティングするが、その餅も一年分を作っては保存しておくとか、自然の素材が昔ながらの伝統技術で琴糸に加工されていく現場に深い感動を覚えた。ちなみに上の写真で糸を束ねている色つきのものであるが、これは撚りに強い和紙でこれも伝統技術品だそうである。色とその組み合わせにより太さなど糸の規格が分かるようになっているとのことで、そういう先人の智慧に嬉しくなる。

帰宅後、まずは一弦琴用の太口糸を張り、ためしに弾いてみた。以前の一弦琴「秋の御幸」男性版と同じような条件である。糸の太さを変えただけで徽(つぼ)の位置が微妙に変わるし、また弾き方によって音色も変わりやすいのでいろいろと奏法に工夫が必要になるが、私の唄いやすい音程に調節できるのが嬉しい。しかし欲も出てきた。私の思うような糸を作っていただけると、より美しい音色が期待できるような気がしてきたのである。無理を承知でお願いをしてみよう。



自宅を出たのが朝の9時15分で帰宅が午後6時45分。往きは東行きのいつものコースで阪神高速7号線から中国道、名神高速、北陸道を通り木之本インターチェンジで出た。家を出てから2時間半ほどで、高速料金が2450円。車をJR木之本駅の無料駐車場に駐め、木之本一?の料亭で食事してから工場を訪問した。そのあと、街の中を散策したが北国街道あとが「うだつのある街並み」になっており、山内一豊が馬を買い求めた馬市がここにあったようである。

帰りは以前も通ったがいったん小浜に出て舞鶴若狭道に入った。渋滞もなく高速料金は1000円で済んだ。往復がほぼ420キロメートル。高速では瞬間時速が140キロメートルは出さないように心がけたが、思ったより早く帰りついた。




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