日々是好日

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一弦琴「秋の御幸」男性版

2006-11-08 16:15:58 | 一弦琴
現在の一弦琴の調弦は女性向きにされている。

大西一叡著「一弦琴 一つ緒のみち」(京都修学社)に次のような記述がある。

《東京の糸は、関西にくらべて、やや太めである。しかし、関西でも、明治ごろまでは、今よりも、太い糸を使っていた。もともと男性によって弾かれていた一弦琴が、明治時代になって女性にとってかわられるようになると、声に相応して、糸も細くなったようである。細ければ細いほど、音は軽く、優美にきこえる。》(84-85ページ)

その結果として、現在の調弦では、弦の振動数と女声の振動数は同調するが、男声は2オクターブも低い振動数の音声で歌うことになってしまう。明治時代以前の弦は今より太かった、と云うことなので、取りあえず邦楽器店で一番太い絹糸の弦を買い求めて張った。ちなみに直径は1.0ミリ、従来のが0.75ミリである。

その張り方であるが、一番低い音である一弦琴の開放弦(0)を、自分の歌える一番低い音に合わせた。調子笛でFシャープ(十)の2オクターブ下、振動数では92ヘルツである。「十二」の徽を押さえて弦を弾くと2オクターブ上の声を出すことになるが、それでも一点fis、370ヘルツである。これより高音を出す曲は滅多にないので、最低音を引き揚げるつもりでG(98ヘルツ)で調弦してもいいし、逆に高音の部分を1オクターブ下げて歌うつもりなら、A(110ヘルツ)で調弦しても良いと思う。

弦を太くしたことで弦の振動数と音声の振動数が一致するようになった。そして弦の響きに落ち着きと深みがあるように感じられる。倍音の寄与が効いているのだろうか。「秋の御幸」をFシャープの調弦で唄ってみた。

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