日々是好日

身辺雑記です。今昔あれこれ思い出の記も。ご用とお急ぎでない方はどうぞ・・・。

生野コリアンタウンのあたりをぶらぶら 牡蠣キムチ

2010-04-16 17:31:30 | 旅行・ぶらぶら歩き
朝鮮語教室の仲間に桃谷が面白いですよといわれた。JRで一駅北隣の鶴橋はよく出かけるが、いつもその周辺で満足してさらに足を延ばすことはしなかった。この辺りが昔は猪飼野と呼ばれていたことは知っていたが、それ以上のことは何も知らない。それで急に行ってみたくなったのである。

JR大阪環状線の桃谷駅で下車しておおよその見当をつけて桃谷商店街を歩き出した。天神橋筋商店街のミニチュアのようも見えるが長さもかなりあり、探訪するのも面白そうである。歩いていても先がなかなか見えてこないものだから、すたすたと歩いてく男性に声をかけてコリアンタウンへの行き方を尋ねたところ、まっすぐ歩いて行って広い通りに出たら左に曲がり、やがて神社が見えてくるからそこの信号で右に曲がりなさいとのことだった。とても分かりやすい教え方に感謝する。

この神社が御幸森天神宮(みゆきもりてんじんぐう)である。境内に「御幸森」なる地名の由来の説明板があった。

この辺りは、百済野(くだらの)といい、三韓(百済、新羅、高句麗) とくに、百済の人たちが多く住み、優れた文化の華をさかせていた。
又、この地は水鳥の群棲する景勝地であり、仁徳天皇は鷹狩りの為にしばしば行幸したり、この地の人々の状態を見聞するための道すがら度々当地の森に休憩したことから、この所を「御幸の森」と称するようになったと言われている。

天皇崩御の後、この地に社殿を建立して仁徳天皇を主祭神として祀り、御幸の宮と称したとのことである。

国史大辞典に次のような項目がある。


『日本書紀』にある「猪甘津に橋をつくる。この処を小橋と名付く」の猪甘津(いかいのつ)とは猪甘の港の意味で、猪甘は猪飼、猪養と同じく、朝廷に献ずるための猪(完全に家畜化した豚ではなく、半野生の猪といわれる)を飼うことを意味する。津、すなわち入り江が後には陸地化して「猪飼野」となったと言われているが、ここに猪飼部の民が多く居住していたのである。この由緒ある地名が1973年(昭和48年)2月の住居表示制度導入により生野区の町名から消えたとのことである。

『日本書紀』に出てきた小橋、または『古事記』の「難波の堀江を掘って河水を海に通し、また難波に小椅江(おばしのえ)を堀り」にある小椅は、いずれがいずれかはともかく、現在天王寺区小橋町と東成区東小橋にその地名を残している。小橋町と東小橋は地図を見るとJRと近鉄の鶴橋駅のそれぞれ北西と北東にあるが、では鶴橋と小橋の関係はとなると、神社の説明板によると、鶴橋のもともとの呼び名は「つるのはし」。歴史上の小橋には水辺のことゆえ鶴がよく飛んできて群れ集まったことからいつの間にか鶴橋と呼ばれるようになったとあった。長い年月の間に川の流れも変わり、橋も架け替えられ、歴史上の小橋の位置は分かっていない。

境内に歌を日本語とハングルで記した歌碑が建っていた。


「難波津に咲くやこの花冬籠もり今は春べと咲くやこの花」という歌は、約千六百年前、百済からの渡来人・王仁博士が、当神社の祭神である仁徳天皇のご即位を、春の到来になぞらえて祝い、難波津の歌を詠んだと伝えられている。2009年(平成二十一年)十月吉日「王仁博士「難波津の歌」和文・ハングル歌碑建立委員会とその説明板にあったが、歌碑はつい最近建てられたようである。ハングルは歌を朝鮮語に訳したものかと思ったがそうではなくて、日本語の読みをハングルで表したものである。江戸時代、対馬藩の元通訳官雲明の手によるものである。ハングルの縦書きははじめて目にしたが、なかなか味がある。毛筆で書くのも面白そうである。

そして目指す生野コリアンタウンである。入り口の門が三宮の南京街を思い出させたが、それよりも鄙びた感じでまた鶴橋よりも通り抜けやすい。食材やお総菜の店が目についたが、鶴橋と違って焼き肉屋など料理店はきわめて少ない。お昼を過ぎていたので入った店ではしばらく待つことになった。注文したのは1000円のスンドゥブチゲ定食。毎週朝鮮語教室の後何人か連れだって韓国料理の店でお昼を一緒にするので、いろんなメニューは経験済みであるが、スンドゥブチゲはメニューにないのではじめての試みとなった。まあこんなものか、という感じであった。寒い日だったが発汗覿面、頭皮から汗が噴き出るのが分かった。


店先に何十種類のお惣菜の瓶を並べている店に差し掛かった。ここまで来ないとお目にかかれないような珍しいものばかりである。たまたま店の人が牡蠣のキムチをお杓文字ですくって持ち帰りの容器に小分けしているのを見たらよだれが出そうになって、1パックを500円で買った。後で思ったことであるが、お杓文字で適当にすくうだけで、重さを量るわけではない。まったくの目分量であろう。それならそれで「三つ四つ、おまけに入れてよ」と言うべきであったのだが後の祭りである。ここで朝鮮語を使わなければせっかく勉強が無駄になる。返す返すも残念であった。

昨日は妻が出かけていないので私はひとり、さっそく牡蠣キムチを味わうことにした。大根、白ネギ、鶏肉、冷凍シーフーヅなど、それぞれ適当な大きさに切り、味覇(ウェイパァー)スープでやや煮込む。白飯を加えて雑炊とし、仕上げに溶き卵を垂らす。器に移しその上に牡蠣キムチを三粒置いて出来上がりである。


ひゃー、美味しい。牡蠣の味がなんとも濃厚で、凝縮した旨味がスープでほどほどに薄まると甘味がやや強まり、まろやかで豊饒の味となる。牡蠣をもう二粒足してしまった。


最新の画像もっと見る