日々是好日

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尖閣ビデオ映像の取り扱いをめぐって 現場を知らなかった官邸

2010-11-12 11:59:47 | Weblog
一昨日(10日)の午後、衆議院予算委員会で尖閣ビデオ映像流出問題が取り上げられた際の実況中継をたまたま観て、午後1時に始まった衆議院予算委員会で尖閣映像流出問題がの中で私は次のように述べた。

映像を流出させた巡視艇乗組員はどのようにして映像を手に入れたのだろう。国民に対してはビデオ映像の公開に勿体をつけて、未だに政府としては公開を決定したわけではないが、海上保安庁内部では日常の活動記録としてのビデオ映像に、誰でも自由に接していたのではなかろうか。

私の推測は当たっていたようで、1日後のasahi.comはこう報じている。

 保安官は聴取に対し、映像について、職場で共有されているパソコンから、外付けの記録媒体に移してネットカフェに持って行ったと説明したという。「映像は巡視艇の共有パソコン上のフォルダーに入っており、ほぼすべての保安官が見られる状況にあった」とし、職場では機密として扱われていなかったという認識を語ったという。ただし、映像の入手方法に関する説明はあいまいで、捜査当局は捜索などを通じて裏付けを急いでいる。
(2010年11月11日15時2分)

たまたまこの保安官は自分が入手した映像をYouTupeにアップロードしたが、このように映像を外部に持ち出したのが彼一人だけとは常識では考えにくい。他にも映像を持ち出した保安官がいて、外部の人間に見せたりしていたはずと私は思う。仕事上のデータを職場から持ち出さないようにいくら厳しく指導しても、何らかの形でそれを外に持ち出す人が後を絶たないことを考えても分かることである。この際、尖閣ビデオ映像を外部に持ち出した現場の公務員がどれほどいるのか、徹底的に調べてその実情を明らかにすべきであろう。

私が海上保安庁内部ではこのビデオ映像に誰でも自由に接していたのではなかろうかと思ったのは、44分あまりの流出映像を観たときに次のようなクレジットを目にしたからである。


YouTube上に公開された6本のビデオ映像の2番目と4番目の後で出て来た。「企画・製作」とあるからにはこのビデオ映像がある意図でもって作られたのであろう。その意図は制作者に質せばよいが、常識的には部内で経験を共有するというか、研修材料として作られたと考えるのが素直であろう。日常的にこの作業が行われていたことは、制作者が「PL63巡視船よなくに」となっていることからも推測される。現場に出動する巡視船それぞれが活動記録をこのように編集して部内で公開していたのであろう。これが通常の業務であったのである。となれば海上保安庁内部では誰でもこのビデオを観ることができるのは当たり前のことであるが、今回は思いがけないことで海保があたふたとせざるを得ない状況が生じたのであろう。このビデオ映像が海保内ではすでに公開されているのを官邸がおそらく知らずに、かなり時間が経ってから映像の管理を厳しくするように指示したからである。

ビデオ流出後もこのような報道がなされている。

 当日、巡視船から撮影された映像は、合計で10時間近くになる。海保はこれまで、映像について「厳重に管理している」「鍵のかかる金庫に入れてある」などと説明してきた。9月の事件後に前原誠司国土交通相(当時)や海保幹部らが視聴した映像も、しばらくは本庁で管理していたが、10月に処分したという。
(asahi.com 2010年11月5日13時0分)

 衝突時のビデオ映像は、海保と那覇地検が協議して慎重な取り扱いを要望した結果、1日の国会議員の視聴が非公開となった経緯がある。だが、流出した映像は国会に提出したものよりずっと長かった。鈴木長官は「(映像は)封印して金庫に保管するなど厳重に管理し、外部に流出する可能性は少ないと思っていた」
(毎日新聞 2010年11月5日 23時49分(最終更新 11月5日 23時57分))

ふだんから現場をよく知っておればこのような脳天気な答弁が出来るはずがないと思うが、鈴木長官はこれで「でくの坊」ぶりを露呈してしまった。官邸に現場の状況がが伝わっていなかったのも当然で、すべてがちぐはぐになったのだろう。

なぜ官邸がビデオ公開に消極的であったのかは分からないが、仙石官房長官を見ていると「策士策に溺れる」という言葉が自然に浮かび上がった。これからの成り行きをしばらく見守っていくことにする。


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