もう40年以上も前になるが、米国の西海岸、サンタバーバラに住んでいた頃に買ったLP2枚組セットがある。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5a/77/b2bc0106b154f90318fcf397e85ec9e4.jpg)
歌曲の伴奏ピアニストとして一世を風靡したGerald Mooreが67才で引退するのを記念して、1967年2月20日に催されたコンサートの記録である。おそらく発売されたばかりのセットを買ったのだろう。伴奏ピアニストだからと言ってピアノだけの演奏では様にならない。そこでこの三人の名だたる歌手が歌で華を添えたのである。そして意表を衝かれたのがVictoria de los AngelesとElisabeth Schwarzkopfによる「猫の二重唱」であった。私がとやかく言うよりもこの時の演奏がYoutubeに素敵な猫のアルバムと一緒に登録されているのでまずお聴き頂きたい。この楽しい曲を作ったのがロッシーニであった(偽作との説もあり)。もう2曲、二重唱曲が収められていたがなかなか軽妙で音楽性も高く、すぐに好きになってしまった。これが彼の室内歌曲・重唱曲とのつきあい始めでる。
ロッシーニは生涯に39のオペラを作曲したが、1829年に「ウイリアム・テル」を発表したのを最後に、まだ37才でオペラ作曲からは足を洗い、それからは宗教曲や小品のみを作曲するようになった。その一つのジャンルが、貴族や上流階級がそれぞれの舘で催す音楽会で演奏する声楽・器楽曲であった。もともとロッシーニはこうした階級の洗練されたアマチュア音楽家の要望に応えて、おもに個人的に演奏される楽曲を数多く作曲してきた。彼らには自分たちの世界があり、公な場で演奏するなんて発想がなかったのである。ロッシーニ自身もアマチュアとプロフェッショナルが出会い一緒になるような音楽夜会をよく主催した。歌曲の作曲ではロッシーニはいろいろなところから歌詞を探し出してきて組み合わせを楽しんだり、またオペラの曲を組み替えたりしている。私が気付いた「アルミーダ」のなかの合唱曲がその一つであったようだ。
ロッシーニの室内歌曲・重唱曲のCDを探し始めた頃は国内盤はほとんどなく、輸入盤に頼ったり外国で見つけたりした。そのうちの一部をお目にかける。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/55/8f/a4fa559a2d5ed9dc208a03c30f45ad87.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/75/36/3268d5c94dab4b3a0f6d3bc5f657153a.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/03/6d/c27773b8c5cafa0a9436195d6602697d.jpg)
メトロポリタン・オペラ「アルミーダ」のなかに出てきた私が慣れ親しんだ歌が、一番左上のCDでは5番目に、その右隣のCDでは9番目に「Ridiamo cantiamo che tutto sen va」として入っている。次のような曲である。
歌詞の英訳を引用しておく。
Let us laugh, sing, for all passes on
If we lose it, our good age will not return
Life last but a moment,to be enjoyed,
With a single breath the wind may carry us away.
最後がこのように終わる。
Let us laugh, sing,
While we have our precious youth.
ソプラノ、メッゾソプラノ、テナー、バリトンの4人が歌っているが、ロッシーニの時代にアマチュアがこれだけのアンサンブルを作り上げていたとすると、相当の技倆をマスターしていたことになる。そして右側CDの解説に次のような一文がある。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/03/99/1fbfa16730c73ea335a909422b4138e0.jpg)
「アルミーダ」では妖精が合唱していて、そのタイトルが「Canzoni amorose」となっているが、歌っている内容は両者とも似ているようである。面白いのはロッシーニが「アルミーダ」から転用したこの曲をちゃっかりとAlvancey卿に捧げていることで、解説にある’carpe diem’とは「現在を楽しめ」ということらしい。曲が軽快に楽しく響くのは納得がいく。その世界を「アルミーダ」の束の間のシーンでお楽しみあれ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5a/77/b2bc0106b154f90318fcf397e85ec9e4.jpg)
歌曲の伴奏ピアニストとして一世を風靡したGerald Mooreが67才で引退するのを記念して、1967年2月20日に催されたコンサートの記録である。おそらく発売されたばかりのセットを買ったのだろう。伴奏ピアニストだからと言ってピアノだけの演奏では様にならない。そこでこの三人の名だたる歌手が歌で華を添えたのである。そして意表を衝かれたのがVictoria de los AngelesとElisabeth Schwarzkopfによる「猫の二重唱」であった。私がとやかく言うよりもこの時の演奏がYoutubeに素敵な猫のアルバムと一緒に登録されているのでまずお聴き頂きたい。この楽しい曲を作ったのがロッシーニであった(偽作との説もあり)。もう2曲、二重唱曲が収められていたがなかなか軽妙で音楽性も高く、すぐに好きになってしまった。これが彼の室内歌曲・重唱曲とのつきあい始めでる。
ロッシーニは生涯に39のオペラを作曲したが、1829年に「ウイリアム・テル」を発表したのを最後に、まだ37才でオペラ作曲からは足を洗い、それからは宗教曲や小品のみを作曲するようになった。その一つのジャンルが、貴族や上流階級がそれぞれの舘で催す音楽会で演奏する声楽・器楽曲であった。もともとロッシーニはこうした階級の洗練されたアマチュア音楽家の要望に応えて、おもに個人的に演奏される楽曲を数多く作曲してきた。彼らには自分たちの世界があり、公な場で演奏するなんて発想がなかったのである。ロッシーニ自身もアマチュアとプロフェッショナルが出会い一緒になるような音楽夜会をよく主催した。歌曲の作曲ではロッシーニはいろいろなところから歌詞を探し出してきて組み合わせを楽しんだり、またオペラの曲を組み替えたりしている。私が気付いた「アルミーダ」のなかの合唱曲がその一つであったようだ。
ロッシーニの室内歌曲・重唱曲のCDを探し始めた頃は国内盤はほとんどなく、輸入盤に頼ったり外国で見つけたりした。そのうちの一部をお目にかける。
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メトロポリタン・オペラ「アルミーダ」のなかに出てきた私が慣れ親しんだ歌が、一番左上のCDでは5番目に、その右隣のCDでは9番目に「Ridiamo cantiamo che tutto sen va」として入っている。次のような曲である。
歌詞の英訳を引用しておく。
Let us laugh, sing, for all passes on
If we lose it, our good age will not return
Life last but a moment,to be enjoyed,
With a single breath the wind may carry us away.
最後がこのように終わる。
Let us laugh, sing,
While we have our precious youth.
ソプラノ、メッゾソプラノ、テナー、バリトンの4人が歌っているが、ロッシーニの時代にアマチュアがこれだけのアンサンブルを作り上げていたとすると、相当の技倆をマスターしていたことになる。そして右側CDの解説に次のような一文がある。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/03/99/1fbfa16730c73ea335a909422b4138e0.jpg)
「アルミーダ」では妖精が合唱していて、そのタイトルが「Canzoni amorose」となっているが、歌っている内容は両者とも似ているようである。面白いのはロッシーニが「アルミーダ」から転用したこの曲をちゃっかりとAlvancey卿に捧げていることで、解説にある’carpe diem’とは「現在を楽しめ」ということらしい。曲が軽快に楽しく響くのは納得がいく。その世界を「アルミーダ」の束の間のシーンでお楽しみあれ。