日々是好日

身辺雑記です。今昔あれこれ思い出の記も。ご用とお急ぎでない方はどうぞ・・・。

生体認証にすると『指切り』がはやりそう

2005-02-08 12:26:37 | 社会・政治
暗証番号より優れている個人認証の手段として、個人特有の身体的特徴を使う生体認証システムの開発が進められていると聞く。指紋、掌紋にそれぞれの静脈、虹彩に網膜、声紋に顔。

確かに個人確認の手段としては暗証番号より遙かに優れていると思う。ところがこれが犯罪防止にも有効であるかと云えば必ずしもそうではない。私に云わせると犯罪に対しては極めて脆弱、いや、かえって犯罪を助長する可能性が高い。

例えば指紋。このごろの『強盗』なら指なんか簡単に切り取ってしまう。
ハンコならまだ隠せるけれど、指は隠しようがない。
掌紋についても同じこと、手首から切り落とされる。

眼も危ない。眼球ごとくり抜かれる。
顔なんて、首ごと持っていかれる。

「お持ち頂いた指や眼球はご使用できません」なんて掲示を出しても、「試してみなくちゃ」と『やる気』をかき立てるだけ。それにあまり強調するのもかえってやぶ蛇、「やっぱり使えるんだ」と受け取られてしまう。

たとえ技術的に『身体にくっついた』状態でないと識別機能が働かないように出来たとしても、何事であれ『犯罪者』の方が上、必ずやそのバリアーをクリアーしてしまうだろう。とにかく、切り取るかくり抜けばいい、と『犯罪者』に短絡的に思わせることが恐ろしい。

生体認証の実効性の根本ににかかわるこのような問題を、開発者側はどう考えているのだろう。私は少なくともキャッシュカードのように現金を引き出す手続きには採用すべきではないと考える。

『生体認証』の実用化におけるこの落とし穴の怖さを味わいたいお方にお勧めなのが、私の大好き、ダン・ブラウンの"Ageles and Demons"、邦訳「天使と悪魔」である。