「蝋梅」が咲いていた。
師走から睦月にかけてのこの時節には、寒気に堪えて蝋梅が咲き、心を和ませて くれる。だが、寒風が吹き荒び、或は小鳥たちが集まれば、忽ち花びらが傷ついて、折角の蝋梅が「狼狽する」ことになるから気の毒だ。
幸いにも無疵の「蝋梅二輪」が、虚庵夫妻を迎えてくれた。
あまり高くない枝先に寄り添って咲く姿は、睦まじい夫妻を観る思いであった。年老いた虚庵夫妻が揃って見上げるのは、何やら「こそばゆい」想いであったが ・ ・ ・ 。
久方に風のおさまる昼下がり
ふくよかに咲く 蝋梅の花は
見上げれば花びらあまた傷つくは
小鳥がつどうや木枯らし荒ぶや
枝先に仲睦まじく咲く二輪
肩を並べて見上げる じじばば
斯くばかり厳しき寒気に堪えて咲く
蝋梅の花のこころをおもひぬ
ひとひらの花びらに見るは連れそふる
妹子を気遣う仕草にあらずや