「虚庵居士のお遊び」

和歌・エッセー・フォート 心のときめきを

「夕暮れの水仙」

2014-01-15 01:18:10 | 和歌

 陽が西に傾くと、あっと云う間に夕暮れになるこの頃だ。
群れ咲く水仙にも傾きかけた西陽がさして、それぞれに持たれ合う水仙の風情は、大勢の乙女等がお互いに肩を寄せ合って、お喋りに夢中の姿を思わせる。 

 そんな時の乙女等は、制服やスカートの乱れなど意にも介さず、お喋りの声や、キャッキャと笑いころげる賑やかな声すら聞こえそうだ。 



 何時もの遊歩道に戻った時には夕暮れ近くになって、水仙の面影は清楚そのものであった。暮れかけた陽光は並木や民家に遮られ、水仙は暮れゆく冬の表情を凛と湛えていた。

 同じ種類の水仙だが、冬の陽光が為せる業か、或いはそれぞれの水仙に備わった、真の姿の違いを観ているのであろうか。我々人間の姿は、時と場合によって千差万別の様相を示すが、それぞれの個人が持つ雰囲気は替え難いものがある。

 人の姿や滲み出る人間性は、その人の人生そのものなのであろう。 




           冬の陽は西に傾き群れて咲く

           水仙の花に重なる乙女ら


           もたれ合い寄り添い咲くかな水仙の

           群花見れば乙女等の声聞く


           身を捩りじゃれ合う仕草か水仙の

           群れ咲く姿に乙女等見るかな


           陽がかげり清楚に咲くかな水仙は

           冬の寒気に身を凛として


           凍てつける寒気もものかわ水仙の

           花に観るかも己の世界を