庭先の鉢に、何時からか「オキザリス」が根付いて莟が綻びかけた。
真冬で、花が少ないこの季節に可憐な花を付けるのだから、この花の逞しさには脱帽だ。花図鑑によれば、全世界に分布してその種類は、何と800種にも及ぶと云うから驚きだ。国境に関係なく、地球上の様々な人々に、この草花が如何に可愛がられているかの証しだ。
肉眼で見た時には気が付かなかったが、画像にしてみて、初めて羽毛の存在に気付いた。改めて拡大鏡を携えて庭先に降り立ち、観察したら、葉の裏から縁にかけて、さらには花の萼の部分にもごく繊細な羽毛が生えていた。
画像で見れば、真冬の寒気をこの羽毛が凌いでいるかの如く見えるが、虚庵居士の勝手な解釈かもしれない。「オキザリスの羽毛」はこの草花にとって、無くてはならぬ使命が秘められているに違いあるまい。
翻って己自身は、無くてはならぬ存在であったろうか、そのような務めを果たしたであろうかと、つられて自問する虚庵居士であった。
何時からか鉢に根付くやオキザリスは
寒さ厳しき真冬に咲くとは
稚くも緑葉ひろげその中に
莟みをもたげ綻び初めにし
オキザリスの莟みを歓び写真をば
撮れども微細な羽毛に気付かず
画像にはひかり輝く羽毛あれば
拡大鏡持ち語らい重ねつ
柔らかき羽毛の務めは何ならむ
無くてはならぬ使命を帯びるや