「虚庵居士のお遊び」

和歌・エッセー・フォート 心のときめきを

「防寒着の琵琶」

2014-01-05 00:04:29 | 和歌

 日本列島は厳寒の日が続き、日本海側は連日の吹雪だ。

 最近の天気予報では気圧配置の天気図に続き、観測衛星が写した日本列島と雲の映像がTVで報道されるが、大陸からの烈風が吹き荒ぶ「スジ雲」には目を瞠る。

 風速30メートルを超える北風は、吹雪を伴って総てを覆い尽くす。
富山に住む義兄弟の家族は、正月もさぞや大変なことであろう。

 それに引き替え三浦半島では、厳しい寒気とは言え、正月に琵琶の花が咲いている。 真冬のまっ只中に咲くとは、迂闊だがこれまで花時を正しく認識していなかった。

 厚手の葉を逞しく拡げ、枝の先端に莟と群花を無造作に付ける琵琶だ。
30~40個ほどの莟と花が押し合いへしあって、子供達の「押しくら饅頭」を連想させるが、よく見るとそれぞれが分厚い防寒着を着込んでいるではないか。

 真冬に咲く琵琶の備えに感服しつつも、「ふっくら」とした琵琶の実を連想して、涎を垂らす虚庵居士であった。




           烈風と吹雪の荒ぶ列島に

           目を瞠るかな花咲く琵琶に


           見上げれば逞しき葉は群花を

           いだく気配ぞ琵琶の姿は


           群花の押し合いへし合う琵琶みれば

           子等の「押しくら饅頭」おもほゆ


           身を寄せる琵琶の莟も咲く花も

           防寒着にて身を護るとは


           ふくよかな琵琶の果実を口に食み

           種を吐き出す仕草も思ひぬ