「虚庵居士のお遊び」

和歌・エッセー・フォート 心のときめきを

「小エビ草と造化の神様」

2012-08-12 17:51:14 | 和歌

 ご近所の「小エビ草」が、今を盛りと咲いていた。

 この花は、入梅ころに咲き始めて梅雨明けまでかなりの期間を愉しませてくれる優れものだが、今年は花の時節が秋口まで続きそうな気配だ。このブログでも嘗て取り上げたことを想い出して調べたら、何と2006年のことで、「小海老草」とのタイトルであった。


 
 それにしても、造化の神様は随分と粋な計らいをしてくれるものだ。
花に「海老」の姿をさせて、退屈がっている人間どもを楽しませてやろうと考えたに違いない。頭を捻り手先を器用に使って、苞を何枚か重ねて蝦の体に見立て、一番先端に本物の小さな花を咲かせるという、手の混んだ芸当をやってのけたのだ。

 想像の物語であるが、本当のところは造化の神の方が楽しんだに違いない。
人間どもを驚かせてやろうと、思ひをめぐらし、心躍らせて工夫を重ねた造化の神の顔が、瞼に浮かぶようだ。

「こんな花を見たら、人間どもは腰を抜かすに違いあるまい、ウフフ・・・」
などと、独りごちていたろうか。出来上がって「小エビ草」を咲かせたら、

「あら! これ花なの!」 
「見てみて! こんな花、初めて見たわ!」
てな、人間どもの反応に、膝を打ち、手を叩いて喜んだのは、造化の神様だったに違いあるまい。





          梅雨明けて蝉しぐれかな小エビ草の

          花観て思ひをめぐらすじじかな