「虚庵居士のお遊び」

和歌・エッセー・フォート 心のときめきを

「酔いにけらしも」

2012-08-28 00:19:49 | 和歌

 窓を開け放って寝ていたら、早朝の時雨れで目が覚めた。

 昨夜は些か酒量が過ぎた様で、目覚めたとは申せ意識は朦朧としていた。窓を閉めて、再びまどろみ夢うつつであったが、ふと気が替わった。普段の生活は深夜族そのもので、眠りに就くのは午前2時・3時だから、目覚めるのは8時頃だ。時雨で目覚めたのは千載一隅だ、早朝の散歩を試みることにした。

 時雨はいつの間にか止んで、朝の冷気が誠に心地よい。
何時もの散歩と違って、ごく「のんびり」と歩いていたら、百日紅の花が時雨に濡れて、何時もより色濃く見えた。自宅に取って返して、カメラ持参で戻った。



 カメラのレンズを通して観ても、色濃い百日紅は「酔いにけらしも」といった風情であった。虚庵居士は、昨夜の酔いが残っていて酔眼朦朧としていたからかもしれないが、百日紅が「酔ふて候」などと言わんばかりの景色に、甚くこころが通じるものがあった。

 相手が人間様であれば、肩を組み千鳥足で「もう一杯呑もう」などと、意気投合するところかもしれない。



 

            朦朧とまどろむ朝の時雨れかな

            いまひと時を 酔いも残るに


            醒めやらぬ夢みごこちが捨て難く

            枕を抱きてしばしかも寝む


            何時になく朝の時雨に目覚めるは

            あらまほしきぞ散歩に行かなむ


            百日紅しぐれの雫はご酒なるや

            酔いにけらしも色濃き花は


            百日紅の濃き紅の色合いに

            「酔ふて候」つぶやき聞くかな 


            吾もまた酔いの残れる身にしあらば

            明けの迎えに一献如何か