「虚庵居士のお遊び」

和歌・エッセー・フォート 心のときめきを

「黄色のプチトマト」

2012-08-17 10:18:06 | 和歌

 幼稚園の送迎バスを待つ8時頃は、ご近所の子供たちが集まって毎朝まことに賑やかだったが、このところ静かな朝を迎えている。幼稚園も夏休みなのであろう。

 見送りの定番はヤングママだが、じじと手をつないで駆けて来る元気な男の子がいる。虚庵ジジにも、「オハヨウゴザイマス」と丁寧なご挨拶をしてくれる好い子だ。その子のお宅の玄関脇に、背の高い黄色のプチトマトが見事に育っている。

 お爺ちゃんは、トマトに合わせて孫の成長を念じて栽培しているに違いあるまい。玄関前を通る都度、トマトの生育を見るのが楽しみだった。そろそろ赤く色づくかと思っていたら、意外にも赤くはならず黄色のプチトマトであった。

 孫息子のママは、早朝からビジネスにお出掛けなのであろう、週末にしかお目に掛れないが、過日は息子と一緒にプールから帰って来たのだろうか、爽やかなご挨拶だった。

 翌朝、大きめの黄色のプチトマトは数が減っていた。昨晩はトマトパスタを食べながら、幸せな家族団らんを過ごしたことだろう。

 黄色のトマトは、ベータカロチンが赤トマトの10倍も多いらしい。グルタミン酸というアミノ酸が豊富なトマトは、調理には欠かせない食材だ。虚庵夫人のトマトパスタは絶品で、機会があれば読者の皆様にもご馳走したいところだ。
が、ヨーロッパには「トマトの季節には、ヘボ料理も美味くなる」との諺があるそうだから、虚庵夫人の料理自慢は控えめにしておこう。





          朝時雨れ もろ皆濡れるにプチトマトの

          ふくらむホッペは雫も湛えず


          じじ様は孫の手をひき朝なあさな

          笑みつつ見送りバスに手を振る


          プチトマト育てる思ひを偲ぶれば

          トマトに託すや孫の育ちを


          プランターのトマトの数が減る朝は

          孫と語らう夕餉を偲びぬ