子供たちが「あかみち」と呼ぶ赤レンガの遊歩道については、道沿いに咲く花の紹介で、これまでも
何回か触れたが、全長二キロ程の遊歩道には様々な庭木や草花が咲いていて、散歩の愉しみの一つでもある。十二月に咲く花は限られているが、思いもかけない花が咲いていた。以前から葉姿が珍しいので注目して来たが、花に出会ったのは今回が初めてだ。
これの若葉はサラダに入っていて食べたことがあったが、名前を知らなかったので取敢えずカメラに
収めて帰り調べたら、「ディル(イノンド)」だと知れた。腰から胸の高さ程の草丈の頂部に、花火のように花茎を開いて、黄色な米粒ほどの蕾と花をつけていた。これとよく似た姿形をしたセリの白い花は、清流のほとり等で見かけるが、「ディル」と出会えるのは此処だけだ。
ものの本に拠れば紀元前三千年程も昔から香料植物として、或いは薬草として用いられて来たらしい。ここのお宅ではその様な事情を弁えていて、お料理や薬草として一株を植えて愉しみ、道行く人々にも
お裾わけをして来たのかもしれない。
そぞろ行けば師走の道にほの淡く
黄花の小花ぞ揺れて迎えぬ
枯れ葉舞う師走の風をあしらふや
ディル嫋かな会釈の仕草は
紀元前三千年もの昔から
種を繋ぎ来て ディルは咲くかな