アクセス解析をみてみると、「PTA再活用論」や「PTA進化論」関係で、このサイトを見つけてくるれ人が増えている今日この頃です。
たぶん、来年度のPTAの「改革」を考えている現役員さんやら、新年度役員に内定した人やら、お子さんが就学を控えた「もうすぐ会員かも」な人たちが検索してくれているのだと想像します。
そういう方は、上の「PTA再活用論」を読んでいただいたり、その後新聞連載した「PTA進化論」(
ここで読めますし、印刷・配布に適した形のPDFならコメント欄に書き込んで頂ければお送りします)を読んでいただければ「ためになる」こと請け合い。
類書・類文書(今、手に入りやすくまとまったものとして。ほかにも「岩竹論文」というのがありますが、それはおいおい)はありませんから。
しかし、それぞれ「過去に考えたこと」であることも否めず、今の言葉で伝えたいこともあったりいたします。そこで、特別企画として、来年度に向けて、PTAを変えようと考えている役員さんや役員内定者さんたちに送る提案シリーズ。もちろん、一般会員が、役員に提案するというのもアリですよ。その方が、役員さんたちが動きやすかったりすることもありますからね。
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さてさて、提案の前に、何はともあれ、無理は禁物。
体力・気力・価値観はみなそれぞれ、疲れたと思ったら休みましょう。
その上で、ぼくなりの「改革案」を書いておきます。これは「再活用論」よりはずっと具体的で、「進化論」にはちらりと書いたことでもあります。
まず、簡単に言ってしまえば、多くの場所で
「義務・強制・負担」の団体になってしまたったPTAを名実ともに「できる人ができる時に」というボランティア活動として再構成するためのアクションプラン。名付けてPTAサークル化計画!。今やっている事業をなにひとつ、一方的に「不要である」と決めつけず、なおかつ、ニーズがなかったり、保護者ができる身の丈にあっていなかったりするものを淘汰するための簡単な方法。
そのためには……まず
(1)自由な入退会を徹底する。
というのが大事。
PTAは戦後、GHQ(連合軍総司令部)の指導のもとに各地で「自主的」に立ち上げられた組織だということになっています。ボーイスカウトや老人クラブ、青年会などと同じく、社会教育関係団体として位置づけられていて、世の中の多くの「会」と同様、会員はみずからの意志で入会・退会を決めることができます。
ただ、このことを自明のこととして知っている人は意外にこれまで少なかったのではないかと思うのですね。全員が入ることが既定なら、会は見直されることなく惰性で動いていってしまうことが多くなる道理です。
ぼくはこのことが、PTAの「義務・強制・負担」の要素を肥大させる原因のひとつだったと考えていて、今後、会の規約でも明記し、実際の運営においても「PTAは参加したい人が参加し、したくない人は会員にならなくてもよい。また、いったん会員になっても、退会することはできる」ことを周知すべきだと考えています。
ちなみに、規約で会員条項のところに。
会員資格
この会の会員は、本校に在籍する児童の保護者、またはこれに代わる者、および本校の教師とする。
みたいな文面になっているPTAは多いんじゃないでしょうか。
そういうのは、次の総会で、ちゃっちゃっと変えちゃいましょう。
理由は、「自動加入・全員加入は、まだ会員ではない人に会則を押しつけることになり、不適切」とか、「だって、おかしいもん」で十分です。
本にも書きましたし、最近はこういうことも書きました。参考までに。
http://blog.goo.ne.jp/kwbthrt/d/20100201
というわけで、
会員資格
この会の会員になることができるのは、○○学校に在籍する児童の保護者、またはこれに代わる者、および○○学校の教師(あるいは、教職員)とする。
(なお、「本校」を○○学校と置換したのは、学校とは別組織であるPTAが学校を「本校」と呼ぶことに違和感を抱いたからですが、違和感のない人も多いかもしれません)
さらに、入退会条項を付け加えて、
会員資格
(1)この会の会員になることができるのは、○○学校に在籍する児童の保護者、またはこれに代わる者、および○○学校の教師とする。
(2)この会に入会する者は、入会届を提出する。
(3)この会を退会したい者は、退会届を提出する。
とすれば完璧。
ただ、毎年発生する大量の入会届けを処理するのは、事務局(役員)にとって大いに負担になることは、目に見えています。そこで、現実的な方法として、興味深いPTAの事例を紹介しておきます。
三鷹市第二小学校PTA規約
第29条
本校に新しく入学した児童の父母は、会長に入会しない意志を明確にした者を除き、総べて本会に入会したものとする。
第30条
本会に入会していない父母が入会する場合は、本会にその旨を通知すればよい。
第31条
本会を脱会しようとする者は、その理由を明記した脱会届を本会に提出すればよい。
もっとも、これでは自動加入を踏襲することになってしまうので、やっぱりそれはいかんだろうという意見もありえますね。事前に加入は任意であることう周知することがとても重要になります。
また、同じ東京都で、このようなユニークな事例もあるので、それも紹介。
八王子みなみ野小・みなみの会(PTAに相当)
3.「会」の構成員
(1)会員・・・・みなみ野小学校在校生の保護者と教職員
(2)準会員・∴・みなみ野小学校卒業生と学区内の地域住民
(3)権利.①自由意志で入会し、また退会できる。
②会員が等しく立案・提案できる。
⑧会員は賛同した活動に平等に参加できる。
4.入会・退会
(1)「会」の主旨に賛同した人は入会できる。
(2)書類に入会の意志を記入し、定められた会費を添えて提出する。
(3)加入後は、申し出が無い限り、自動的に継続される。
(4)卒業時に、自動的に退会となる。
(希望があれば、準会員として「会」に参加できる。)
(5)準会員の入会・退会については、細則を参照。
みなみの会は、役員もいないそうで、本当にユニークですね。
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さて、規約が改正できましたとします。
でも、規約はあくまでも規約。
それに基づいた運営が行えないと、絵に描いた餅です。
規約やらパンフレットになんと書いてあろうと、
1年生の最初の保護者会でいきなり委員決めなんてことになると、結局、全員参加が前提の運営をしていることになってしまいます。
ですので、委員ですとか係ですとか、そのようなものを決める前に、入会の意思確認をする必要があります。
これ、実はすごく難しいんですよね。
本当に時間がない。入学前保護者会には全員が来るわけではないし、比較的出席割合の高い入学式も、時間はタイト。でも、最近、あるPTAで入学式後の「記念写真撮影待ち」の時間を活用している事例を知りました。工夫していただければと思います。
それでも、無自覚なまま会員になってしまう保護者がある程度いるであろうことは、想像できます。また、説明を理解し、希望を抱いてPTAに入会した後、活動内容に失望したり、別の理由で退会を希望する人もいるはずですので、退会希望者への速やかな対応もできるようになるとよいですね。
今のPTAは、活動が本当に複雑化しており、入会前に説明をいくらしても、結局は「入らないと分からない」ということの方が多いかもしれません。そのためにも、「やってみたら案外良かった」というのと同じくらいいるかもしれない「やってみたら、意義を見つけられなかった」人たちが退会できる仕組みというのはとても大事だと思います。
もう一点、大事なのは、
会員と「会員の子ども」をはっきりと分けること
非会員が会員サービスを受けられないのは当然ですが、児童はすべてもともと会員ではありません。多くのPTAでは、会の目標として、「児童の健全な育成」を挙げています。
そして、
児童には会員・非会員の区別はありません。現在は、保護者が全員会員になっていることを前提にした事業があると場合が多いと思いますので、非加入世帯が増えた場合は事業そのものを適宜見直してくださるのがよいと思われます。
これは非加入が1パーセントか10パーセントか50パーセントかで、ずいぶん考え方も変わってくると思いますので。
もう一点、
説明責任について書いておきますね。
自由な入退会を含めて、会の性質や活動内容の説明責任について、最近、消費者契約法の適用内にPTAが入っていることを発見しました(教えてもらいました)。経企庁(現在では消費者庁の管轄)の解釈では、PTA執行部は事業者、会員は消費者とみなされ、契約(入会)においての充分な説明などが義務づけられていると読めます。つまり、多くのPTAで採用されている自動加入の方法は違法ですらある可能性が高く、はっとさせられました。会費をとって活動する会なわけですから、ある意味、当たり前といえば当たり前なんですね。
この件について、下記のリンクで読めます。
http://www5.cao.go.jp/2000/c/0608c-abridgment2.pdf
つらつら、書くとずいぶん長くなってしまいました。
実は、これ、本当に書きたいことの前段です。
ここまでのことは、最低限、まとも「会」になるために実現しなきゃならないだろうという部分でもあって、本題に入る前に地ならし、ということろ。
次のエントリで、「(2)ボランティアであることを再確認し活動を再構築すること」を書きますね。