川端裕人のブログ

旧・リヴァイアさん日々のわざ

非実在関連でこんなところに、どうしてぼくは……

2010-05-01 01:27:59 | トンデモな人やコト
http://www.daimokuroku.com/?index=intsai&date=20100501
ここに出てました。
非実在関係です。
すでにメルマガで読んだ方も多数のはず。
とはいえ、ご連絡まで。
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長崎大学教育学部ですごい授業がされていた。(ニセ科学について)

2010-02-05 23:29:23 | トンデモな人やコト
長崎大学教育学部数理情報講座の長島雅裕さんが「情報社会と科学」という授業のスライドPDFをアップしているのを発見。Tweetから見つけたので、なんだか、誰が紹介してくださったのかわかんなくなってごめん。
いずれにしても、とてもよい授業だったと思われます。
教育学部で、こういうのをやってくださるのは本当にうれしい。
特に1回目の血液型の回が気合いが入っていると思われます。学生さんたちが、かなり信じているであろうことを粉砕するようなテーマをいきなり持ってきたことで。
非常に感謝。

血液型
http://astro.edu.nagasaki-u.ac.jp/~masa/lecture/pseudoscience/slide091102.pdf

マイナスイオン
http://astro.edu.nagasaki-u.ac.jp/~masa/lecture/pseudoscience/slide091109.pdf

水からの伝言
http://astro.edu.nagasaki-u.ac.jp/~masa/lecture/pseudoscience/slide091116.pdf

波動・ホメオパシー・EMなどなど
http://astro.edu.nagasaki-u.ac.jp/~masa/lecture/pseudoscience/slide091130.pdf
で、追記しておくと、血液型について、ぼくが痺れるのは、

関係あってもいいです。あるかもしれないし、ないかもしれ ない。
(中略)
日常生活でわかるほどの関係は、血液型と性格との間に はない、ということ。


ということだなあ。

思い切り大規模な調査をすれば、ひょっとすると性格と血液型の関係が多少分かるかもしれない。
けれど、それは、ほんの少しの偏り。せいぜい、1パーセントとか2パーセントとか。
それだけの違いしかないものを、性格の違いの判定に用いるなんて、不可能。
だから、関係あることは誰にも否定できないけど、我々が日常生活で「活用」できるほどの差がないことは、もう確認済みだと思っていいってこと。

血液型性格判定を擁護した人は、「関係あるかないか」にばかり議論を集中して、「どの程度」はスルーしてきた気がするので。

PTA脳の恐怖!

2009-05-25 12:42:56 | トンデモな人やコト
R0010771R0010782PTA枝葉剪定委員会によると、「各地に点在するPTA(Peanut butter Toast for Asagohan・ピーナーッツバタートーストを朝食に!)という謎の団体で、長年所属しているメンバーの脳に異変をきたす場合がある」という。

非常に恐ろしいリポートは下のリンクで読むことができる。
http://www3.kcn.ne.jp/~tomate/shuho/2009/20090523.html

この「ピーナッツバタートーストフォーアサゴハン」(PTA)という団体は日本各地に浸透しており、学齢期の子を持つ親なら会員である可能性が高い。「わたしももしかしたら」と心配な方はページの下の方にある、PTA脳判定テストを活用するとよい。

実はぼく自身もこの団体に属しており、判定テストの結果、脳に変質をきたしていないことが分かり、胸を撫で下ろした次第だ。
さて、ぼくは、本委員会によって指摘される前より、なぜ、「ピーナッツバタートーストフォーアサゴハン」(PTA)では、世の常識と思えるものが、通用しないのか疑問に思ってきた。

たとえば、この団体は多くの場合、ある学校に入ってきた児童・生徒の保護者の意志を確認することな自動的に会員にする。会員は、自由な入退会ができる事実を知らない。

そもそも、「ピーナッツバタートーストフォーアサゴハン」(PTA)は、戦後の食糧難の時期に、子供たちを栄養障害から守るため、GHQの主導のもと、文部省の旗ふりで実現したもの。
結成時に文部省が配布したパンフレットでは、「子どもたちのために、志を持った保護者、教員が参加し、教育民主化にも役に立つ」とされ、自由意志に基づいて集まった会員により任意に結成された社会教育関係団体と位置づけられた。

実際の活動としては、団体名「ピーナッツバタートーストフォーアサゴハン」(PTA)に象徴されるとおり、落花生栽培が有名である。
痩せた土地でも育つ落花生などを学校周辺の荒れ地で栽培し、朝食に高カロリーの食材を提供するため、保護者と教員がともに額に汗して畑を耕したという逸話は、各地で聞かれる。金のピーナーッツ、黒いピーナッツなど、様々な品種改良に成功し、地場産業の育成に貢献した例もある。

もっとも、戦後の復興が進み、初等教育での完全給食が実現して以降、形骸化が指摘されるようになり、今では、役員決め、委員決めの負担のために、保護者があえぐ構図が定着した感がある。

そこで、ぼくは「ピーナッツバタートーストフォーアサゴハン」(PTA)は、全員参加の義務があるわけではなく、自由に入退会できるのだと説き続けている。著書『PTA再活用論──なやましきメタボを超えて』や、新聞連載『PTA進化論──落花生栽培から校庭芝生化へ』などを参照のこと。

で、やっと本題なのだが、そういった議論をする際、非経験者がわりと普通に「そりゃあそうだよね」と納得しがちなのに対して、深くかかわったことがある人ほど、すんなりと受け入れられず、様々な程度、様々な形の拒絶反応があるのである。

その背後に、PTA脳、という現象が全国的に広がっているのだとしたら、まさにぼくのこれまでの経験を裏付けるものになる。
今この時点で、ぼくは非常にリアリティを感じており、このエントリで紹介するとともに、『PTA脳の恐怖!』と続編『脳内ピーナッツ汚染』という著作の企画書を某出版社に提出した。

ぼくが「ピーナッツバタートーストフォーアサゴハン」(PTA)とかかわりはじめてすでに6年目。
実際、もう面倒なことはごめん、という気分もある。しかし、いまだ謎の多いこの団体をめぐって、大変なことが起きているかしれないという客観的な可能性について、現場に身を置くものとして、またこ問題について考え、取材し、考察し、論述してきた者が、口を閉ざしていることは、やはり不誠実だと思うのだ。
なにしろ、このままPTA脳がふえてしまったら、日本からまともな保護者かいなくなり、亡国の危機にすらなりかねない。

とりいそぎ、ブログにて警鐘を鳴らし、今後の言論活動においても問題にしていく所存。

以上(ネタですからね)

********************

ネタじゃなく、付け加えておくとすると……やはり、「自由な入退会」について、「なぜすんなり伝わらないのか」、ずっと不思議に思っている。

PTA(保護者と先生の会、ですよ(笑))が自由な入退会ができることは規約になんと書いてあろうと事実なので、焦点はそれを周知するかどうかなのだが、それすらうまく伝わらないこともあって、コミュニケーションの難しさを感じる。

その人なりの重要な理由があって、「任意加入にすべきではない」「しない方がいい」「周知しないほうがいい」というようなトーンの議論成分が入ってくるわけだけれど、その際に、ぼくがいつも分からないのは、

自分の価値観を普遍化して、他人の行動を制御することに、なぜ、そこまで無頓着でいられるのか。

ということ。
PTAの意義について、高く評価するのはもちろん、その人の考え。
しかし、「わたしはPTAはすばらしいと思う」「自分は強制でも入って、結果的によかった」「わたしもやったのだから、あなたも」といった理由から、違う考えや事情や感覚を持っているかもしれない人に「網をかける」ことがなぜ正当化されるのか、本当にぼくには分からない。

とすると……

PTA脳って実在するんじゃあ……

なんて、単純すぎる結論には飛びつきませんってばっ。

ただ、PTAが思考の自由さや柔軟さを奪うメカニズムについては考え続けていて、いずれ書くと思う。

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疑似科学を教育委員会が後援する構図

2008-12-18 09:23:00 | トンデモな人やコト
 毎日新聞の岡山支局の石戸記者が疑似科学関連の記事をものしたと連絡あり。
 残念ながら、中四国版のみの掲載らしいのだが、

「世界教師マイトレーヤが人類の平和を実現する」
「地球は新しいアクエリアス星団に入っており、人間の意識が変わる」
「原発はエーテル界に影響し、若い世代がアルツハイマーになりやすくなる」

 などと訴える団体の講演会を、岡山県教委・岡山市教委・倉敷市教委が後援していたことが分かり、問題になっているのだそうだ。

 以下、主要部を抜粋。毎日新聞1/17朝刊、中四国版より。
 講演会は県内の市民グループが後援申請し、11月3日に開催。費用の補助はないが、催事告知に各教委後援と記載された。当日は団体責任者の女性が「全人類のための世界教師マイトレーヤ」の到来を予言。「地球は新しいアクエリアス星団に入っており、人間の意識が変わる」「原発はエーテル界に影響し、若い世代がアルツハイマーになりやすくなる」と訴えた。

 主催した市民グループは環境問題などを中心に活動しているといい、県教委は「グループの活動が地元紙に取り上げられたことも信頼した理由の一つ」と釈明。要綱で教育的見地から奨励するものが対象と定めている岡山市教委の易寿孝・生涯学習課長は「申請資料を検討したが、講演団体に関する調べが足り不適切だった。要綱に照らして大問題だと認識している」と話した。

 札幌市教委は05年、後援を決めたイベントについて外部から「科学的に不確かな内容がある」と指摘を受け調査。「『ありがとう』と文字を見せた水はきれいな形の結晶を作る」などの内容が含まれていたため後援を取り消した。

 大阪大の菊池誠教授(物理学)は「内容は少し調べれば分かるはず。星と人間の意識は関係がなく、エーテルは19世紀の物理学の考えで現代では通用しない。原発とアルツハイマーも証拠がなく、安易な後援は問題」と批判。一方、主催グループは「希望が持てる内容で多くの人に聴いてほしかった」とし、講演した団体は「(後援を)要望したことはなく、コメントする立場にない。科学にはいろいろな立場があり、どちらが正しいかはいずれ分かる」としている。


 個別のコメントをするまでもなく、見事なトンデモっぷり!

 ぼくの個人史的は、世田谷区教育委員会と健康づくり課が主催・後援した、ゲーム脳講演を思い出すわけだが、あれはそもう2年半以上前のことなのだ。思い出しただけで、疲れる。
http://blog.goo.ne.jp/kwbthrt/d/20060404

「アクエリアス星団」やら「エーテル界」は、「ゲーム脳」よりもずっと、トンデモ度が判別しやすいはずなのだけれど、かかわってしまった三つの教育委員会は、どこもだれも検索ひとつしなかったのだろうなあ、と想像。




別にトンデモネタではないのですが

2007-06-15 20:50:35 | トンデモな人やコト
ITmedia News:「ネット・ゲーム中毒を精神障害に分類」??米学会が推奨

このニュースは納得できるわけですね。ゲーム脳の議論とは根本的に違う。ゲームが持つ嗜癖性ってのは、やはりあるだろうし、それを節度ある立場からコントロールするのは必要だと思うので。

実際ぼく自身、ゲームやらないのは、やめられなくなるからだし、子どもにもあんまりやらせないのは同じ理由。先日、平日のゲームは一度だけで(五日間のうちの)で一時間までってルールを、息子が破ったので、今、取り上げ中だったりもする。
ちなみに、元ネタはこちら。
Results for 'MMORPG'

ただ一点、このニュースで不可解なのは、AMAを、米医療情報学会と訳していること。
これ、普通には、米国医師会とか、訳されている団体のことではないでしょうか。
ちなみに、日本医師会は、JMA。

7人のうちの1人です

2007-03-01 20:22:08 | トンデモな人やコト
R0010162MSN-Mainichi INTERACTIVE 理系白書/過熱、脳ブーム
ゲイムマンさん経由で、読む。
元村さんらによる「理系白書07」の第五回が、「過熱、脳ブーム」だった。
例の町田市でのゲーム脳講演が導入部になってます。
町田市教育委員会によれば、『「ニセ科学を教育に持ち込むのは問題だ」との意見が7件、後援する市教育委員会に寄せられた』とのこと。
7件……、そのうち1件はぼくです。
ちゃんと集計してくださったのね……。
ありがとうございます。

また、同時に「脳トレ」ブームも扱われていて、川島教授が、「(脳トレは)脳研究の重要性を理解してもらうための社会貢献の結果。もちろん、ここまできてウソだったら科学者の資格はないと覚悟しているが、社会への出方を完全に制御はできない」とコメント。
これはこれで誠実なコメントだと思う。

ちなみに、元村さんは、ゲーム脳の恐怖」が出た前後に、毎日新聞の一面で、本の内容紹介に近いとりあげかたをした人だと認識しているのだけれど、あの「結果」から、ずいぶんと考えを深められたのだと思う。
これもまた別の誠実なとりくみ。

岩波の「科学」で脳科学特集(読了して、追記)

2007-02-25 08:11:33 | トンデモな人やコト
科学 2007年 03月号 [雑誌]科学 2007年 03月号 [雑誌]
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発売日:2007-02-27
「教育を変える脳科学」という特集のタイトル。
「ゲーム脳」についても話題になっており、ぼくも
「《座談会》“神経神話”が問いかけるもの──科学と社会の関係を考える」
というのに参加しています。「ふたこと」くらいしか発言は出ていないんですけどね(サイエンスアゴラでの座談会を採録したもの)。

読了して、追記。
 まず、津本忠治による特集の「巻頭言」は、

 脳科学の知見から教育や子育てへの示唆を得ようとする試みは有意義な場合もあるが、誤解あるいは拡大解釈に基づいている場合も多い


 と警句めいたもの。

その上で彼自身の論考は、「"臨界期"概念の成立、展開と誤解」というもの。
早期教育が一部の脳機能の発達には有効かもしれないが、普遍化できるほどのものではないと解説している。
なるほど、これはスロースターター万歳なぼくには意を得たりな概説だった。

坂元章による「テレビゲームが子どもに及ぼす影響」という概説もある。これはゲーム脳理論を意識したもので、直接の言及もある。

あと、発達障害について今の脳科学が到達している地点についてのもいくつかの論考が掲載されており興味深い。

ぼくが参加している「《座談会》“神経神話”が問いかけるもの──科学と社会の関係を考える」は、よくまとまっている。編集者の剛腕ぶり。
座談会を終えた後での松村京子(兵庫教育大学)の「教育現場で「神経神話」がはびこる背景」は一読の価値有り。ゲーム脳や水からの伝言への言及がある。

よい特集だと思う。
にもかかわらず、一番琴線に触れたのは、特集外のエッセイで、神経心理学の田中茂樹による「子育て?最高の体験を生きるために」。

親の過大な期待を背負ってしまう子どもが多くいる現状に心を痛めてこう書く。

……ごく?部にはイチローやヨーヨー・マのような人も出てくるだろう。しかし、しばしば指摘されるように,そのレベルにあとー息,二息でたどり着けなかった何百何千の人たちがいる。彼らは気楽に過ごせたはずの子ども時代を捨てて親の選んだ目標に挑むことに、大人になってからでは同意しなかつたかもしれない。

(中略)

私は地元のスポーツ少年団で小学生のサッカーの世話をしている。毎年冬になると,受験の準備のために4年生や5年生の何人かがクラブをやめていく。三度の飯よりサッカーが好きな子どもたちが、大人のような表情とあらたまった口調で、お世話になりましたと言った後,背中を向けてから泣きはじめた子もいた。そんな彼らの姿にはなんともいえないものがある。塾に行くために退部することになったある子どもの母親は「プロ選手になるわけじやないから……」と言った。稼ぐ手段にならないサッカーではなく、稼ぐ手段になる勉強をするために塾へ行く,というのだろうか。それじゃあまるでもう仕事が始まっているようなものではないか。サッカーは楽しむためにやるものだ 。そして,そもそも私たちは楽むために生きているのではないのか? その年齢でしか楽しめない仲間がありサッカーがある。それを捨てる(奪う)リスクに見台うゲインが、母親には見えているのだろうか。


しんしんと胸が痛い。

理系白書’07:第1部 科学と非科学

2007-02-02 06:00:00 | トンデモな人やコト
R0010176小林さんからの情報。毎日新聞で「理系白書’07:第1部 科学と非科学/1 万能うたう「波動」」と銘打ったシリーズがはじまりました。気合いが入っています。シリーズなので、この後、どういうことを取り上げていくのかドキドキ。「ニセ科学」の問題がまさに「問題」として社会的なテーマになりつつあるのだと意を強くします。要はゴリゴリの科学信仰と、ニセ科学は実は通底しているってこと。そこのところが分かっている人がどれだけいるかで、ずいぶんちがうはず。



岐阜県の教育委員会などにも意見を送っておく

2007-01-22 07:16:45 | トンデモな人やコト
メルマガ@かかみはら 第9号
すでに行われた岐阜県での森氏の講演について、情報をいただいたので、一応、意見というか、情報提供のメールを、この高校と教育委員会にお送りしておく。
このメルマガの当該記事を書いた方も、鵜呑みにはしていない雰囲気がありありと伝わってくるのだけれど、それをもう一押し。
以下、引用文。かわりばえしませんが、またコピペします。「いわれない若者叩きに使われる」ことの不当性についても言及しました。
 はじめまてして。
 小説家の川端裕人と申します。
 たまたま知人から、貴教育研究会にて森昭雄氏の講演行われたと知りました。
「ニセ科学」の蔓延やその教育現場への影響を憂慮する者として、注意を喚起させていただきます。
 
 森氏のゲーム脳についての議論は、今や「ニセ科学」の代表格と目せられています。
 
 今、書店に並んでいる「論座」のニセ科学特集では、山形浩生氏がこのような論文を書いておられます。インターネットで閲覧できます。
 http://opendoors.asahi.com/ronza/story/index.shtml
 また、引きこもり研究の第一人者である精神科医、斎藤環氏は古くからこのような批判をされています。
 http://www.tv-game.com/column/clbr05/
 
 ニセ科学にくわしい「と学会」の山本弘氏の批判もあります。ちなみに、「ゲーム脳の恐怖」はその後、2002年の「トンデモ本」の次点に選ばれました。
 http://www.tv-game.com/column/clbr02/
 
 ゲーム脳についてさらに突っ込んだ評価をお望みなら、ウィキペディア(インターネット上の百科事典)が、よい「入口」になります。
 http://ja.wikipedia.org/wiki/ゲーム脳
 
 もちろん、ゲームが脳の発達に影響を与える可能性はゼロてはないかもしれせんし、研究はすすめるべきでしょうが、すくなくとも、森氏がこだわったアルファ波とベータ波の比率などは、多くの科学者にとって、首を傾げざるを得ないもののようです。ましてや、そのことと子どもが「キレ」ることを結びつけるのは、非常に短絡的で、なんら立証されたものではありません。森氏の論文でも、これについてはまったくの印象論でしから語られていません。
 多くの研究者、識者が、森氏の「ゲーム脳」理論を、ニセ科学、擬似科学だと感じています。
 
 今回、このようなメールをお送りするのは、教育の現場を担う方々が、ニセ科学を支持し、旗を振るようなことはするべきではないと考えるからです。
 森氏が、主張するように「ゲームばかりしていてはいけない」のは当然のこと。それは、テレビばかりみていても、本ばかり読んでいてもいけないのと同じことであって、むしろ躾の問題です。その根拠をニセ科学に求めるのはいかがなものでしょうか。
 
 ニセ科学は、「ただのあやまった理論」で留まるうちはともかく、それを教育の現場に持ち込んだ途端に、実害を生じることが多々あります。これについては、やはり「ニセ科学」の代表格である「水からの伝言」の問題に関わっておられる学習院大学の田崎晴明教授、大阪大学の菊池誠教授のウェブサイトが参考になります。
 http://www.gakushuin.ac.jp/~881791/fs/
 http://www.cp.cmc.osaka-u.ac.jp/~kikuchi/nisekagaku/mizuden_doutoku2.html
 
 また、ことゲーム脳理論については、いわれなき「若者叩き」に活用されてきた経緯もあり、心を痛めています。「最近の若いもんは、ゲームをして育ったから」と、根拠なく繰り返されるのは当事者としては、たまったものではないのてじょうか。
 
 なお私自身が意図せずしてかかわることになった、昨年、世田谷区での「ゲーム脳」講演(世田谷区教育委員会共催)の顛末は、私のブログにてごらんになることができます。ぜひ目を通して頂ければと考えます。
 最終的に区の担当者が、講演の聴講者に対して「ゲーム脳について、家に帰ったらネット検索してみてほしいと思う」と、ゲーム脳理論をめぐる客観的な議論を理解するように促した点に注目を願います。
 http://ttchopper.blog.ocn.ne.jp/leviathan/2006/04/post_fc55.html
 
 以上、ニセ科学の蔓延と、それが教育の現場にまで影響を及ぼしかねない現状に心を痛めている者として、情報提供させて頂きました。
 
 川端裕人

なぜか愛おしい

2007-01-20 09:06:55 | トンデモな人やコト
Chonosuke Okamura, Visionary
キクログ経由で知ったChonosuke Okamura氏についての記述。
なんと1996年にイグ・ノーベル賞生命多様性部門に選ばれていたんですね。
岩手県の石灰岩(あるいは熱変成した花崗岩?)の中から、ミニ人類やゴリラや馬や恐竜を発見した偉人中の偉人。

彼の論文や、関係する文献は以下の通り。

1. "Period of the Far Eastern Minicreatures," Chonosuke Okamura, Original Report of the Okamura Fossil Laboratory, no. 14, 1980.
2. "New Facts: Homo and All Vertebrata Were Born Simultaneously in the Former Paleozoic in Japan," Chonosuke Okamura, Original Report of the Okamura Fossil Laboratory, no. 15, 1983.
3. [Something entirely in Japanese.] Chonosuke Okamura, privately published, 1983?
4. The Best of Annals of Improbable Research (AIR), Marc Abrahams (ed.), W.H. Freeman and Co., New York, 1997.
5. Abrahams, Marc (ed.). Der Einflu? von Erdnu?butter auf die Erdrotation: Forschungen, die die Welt Nicht Braucht Best of Improbable Research, Marc Abrahams (ed.), translated by Dr. Gabriele Herbst, Birkh?user Verlag, Basel, 1999.
6. Abrahams, Marc (ed.). La Scienza Impossibile; Il Meglio degli "Annals of Improbable Research," Marc Abrahams (ed.), translated by Sylvie Coyaud, Garzanti, Milano, 1999.

1と2が、「岡村化石研究所報」で発表された原著論文にあたるもので、とにかくすべての脊椎動物は古生代前期に、日本で生まれた(その頃、日本列島ってあったんですか??)という野心的なもの。
3は、日本語で書かれたもので、このリストを作ったフィラデルフィアの先生は読めなかったようです。だから、「なにやら日本語で書かれたもの」としか紹介されていない。[Something entirely in Japanese.]
4番以降は、、イグ・ノーベル賞以降なので、それがらみの紹介ってことでしょうか。

いやあ、それにしても……すごいなあ。
Visionaryって、直訳すると夢想家とか空想家という意味だけれど、例えばポジティヴな使われ方をされることも多くて、たとえば、スティーヴ・ジョブスは、Visionaryなわけです。ヴィジョンを描き、それをたぐり寄せた人という意味で。そういう時の使われ方は、とてもよい褒め言葉。

で、岡村氏もVisionary。こちらは直訳の意味で。

愛しさがこみ上げるのはなぜだ。

もちろん、この理論(?)が巧妙なプレゼンテーションによって、「真実」として流通したりすると困るけれど(ましてや、教育の現場に入ってきたり、日本はすべての生き物の故郷だとか変な国粋主義にリンクしたり……想像するだけでいやだ!)、でもなんか愛おしい。

つまり……実害がない限りにおいて、こういうVisonを追いかけてしまったひとりの人間の情熱やら、妄執やらを、笑ったり、皮肉ったりできないなあと感じるわけです。
ぼくだって、きっと局所的には、後の人からみれば(時には今の人から見ても)おかしなVisonを追いかけているかもしれないし、ね。

あ、でも、岡村氏がいきなりやってきて古生物学会で発表したひにゃあ(そういうことがあったそうです。当時、学会発表は要旨の提出も求められなかった)、迷惑した人もたくさんいたのでしょうが。

森氏の業績(?)一覧

2007-01-17 15:45:08 | トンデモな人やコト
コメント欄で、氷川君が、検索してくださいました。
ちなみに、医学中央雑誌の検索って、どれくらいの網羅性があるんですか。
日本語の医学系学術誌はだいたいわかるんでしょうか。

ぱっとみたところ、原著論文は21の「脳波による痴呆の解析」のみで、あとは会議録やら解説記事が多いですね。本人がよく述べている通り、痴呆の研究→ゲーム脳理論という、森氏個人の研究史が見て取れると思います。ただ、少なくとも日本語での、通常の意味での論文はゲーム脳関連では書かれていないようです。もちろん、この検索の網羅性の問題もあるわけですけど。

以下、氷川君が検索してくださったものをコピペしておきます。
1 2006090362
コンピュータ使用による前頭前野への影響
Author:安住文子(日本大学 大学院文学研究科), 森昭雄, 飯塚人美, 小沢徹, 高寄正樹, 新島啓介
Source:臨床神経生理学(1345-7101)33巻5号 Page438(2005.10)
論文種類:会議録
シソーラス用語:前前頭皮質; コンピュータ; 脳波; 時間因子
チェックタグ:ヒト; 青年期(13~18)

14 2005195648
【前頭前野をめぐって-何故いま前頭前野なのか】 臨床的側面 コンピュータゲームと前頭前野
Author:森昭雄(日本大学), 安住文子
Source:Clinical Neuroscience(0289-0585)23巻6号 Page695-698(2005.06)
論文種類:解説/特集
シソーラス用語:前前頭皮質; 注意欠陥多動性障害; 学習障害(病因)
医中誌フリーキーワード:コンピュータゲーム
チェックタグ:ヒト; 特集

16 2004226866
【依存症のニューロサイエンス】 臨床心理面のトピックス テレビゲーム依存症と前頭前野
Author:森昭雄(日本大学 文理学部), 岩館雅子, 瀬戸眞弓
Source:Clinical Neuroscience(0289-0585)22巻6号 Page710-712(2004.06)
論文種類:解説/特集
シソーラス用語:前前頭皮質; ビデオゲーム; ベータリズム; 認知; アルファリズム; アンケート; 側坐核; Dopamine; 神経線維; Serotonin
医中誌フリーキーワード:ドーパミン作用性線維
チェックタグ:ヒト; ラット; 動物; 特集

17 2004190972
今の子どもを考える 神経生理学の専門から「ゲーム脳」
Author:森昭雄(日本大学 文理学部)
Source:柔道整復・接骨医学(0918-7979)12巻3号 Page129-135(2004.03)
論文種類:解説
シソーラス用語:脳波; 神経生理学; ベータリズム; 前前頭皮質; 脳診断; 小児の発達
医中誌フリーキーワード:コンピュータゲーム
チェックタグ:ヒト; 乳児(1~23ヶ月); 小児(6~12); 青年期(13~18); 成人(19~44); 男; 女

18 2004182855
運動と脳 運動の熟練と脳の可塑性
Author:森昭雄(日本大学 文理学部)
Source:体力科学(0039-906X)53巻1号 Page53(2004.02)
論文種類:会議録
シソーラス用語:体性感覚誘発電位; 神経可塑性; シナプス伝達; 運動(生理学)
医中誌フリーキーワード:運動準備電位
チェックタグ:ヒト

20 2003264267
常識のエビデンス ゲームばかりしてると頭のはたらきが悪くなる? テレビゲームと前頭前野の関係
Author:森昭雄(日本大学 文理学部), 岩館雅子, 喜田安哲
Source:EB NURSING(1346-0137)3巻2号 Page246-252(2003.03)
論文種類:一般
シソーラス用語:ビデオゲーム; ベータリズム; 脳診断; 神経伝達物質; Dopamine; 小児の発達; 前前頭皮質
チェックタグ:ヒト; 幼児(2~5); 小児(6~12); 青年期(13~18); 成人(19~44)

21 2003242378
脳波による痴呆の解析
Author:森昭雄(日本大学 文理学部), 大友英一
Source:認知神経科学(1344-4298)3巻1号 Page45-48(2001.03)
論文種類:原著論文
シソーラス用語:痴呆; 知能検査; Alzheimer病; 痴呆-血管性; ナーシングホーム; アルファリズム; ベータリズム
医中誌フリーキーワード:脳波計; 長谷川式簡易知能評価スケール
チェックタグ:ヒト; 老年者(65~79); 老年者-80歳以上; 男; 女

23 2003211226
コンピュータゲームによる前頭前野の脳波活動への影響
Author:森昭雄(日本大学 文理学), 岩館雅子, 喜田安哲, 中谷大典
Source:臨床神経生理学(1345-7101)31巻2号 Page149(2003.04)
論文種類:会議録
シソーラス用語:脳波; 脳マッピング; アルファリズム; ベータリズム; テレビジョン; 前前頭皮質
医中誌フリーキーワード:コンピュータゲーム
チェックタグ:ヒト; 青年期(13~18); 成人(19~44)

26 2002230686
テレビゲームが及ぼす脳活動低下の恐怖 大脳皮質の前頭前野
Author:森昭雄(日本大学 文)
Source:東京都歯科医師会雑誌(0912-4462)50巻5号 Page255-262(2002.05)
論文種類:解説
シソーラス用語:恐怖; 大脳皮質; 脳; 脳波; 前前頭皮質
医中誌フリーキーワード:コンピュータゲーム
チェックタグ:ヒト

32 2001180435
脳波出現様式と老人性痴呆の関係
Author:森昭雄(日本大学 文理), 大友英一
Source:臨床神経生理学(1345-7101)29巻2号 Page130(2001.04)
論文種類:会議録
シソーラス用語:痴呆-老年期; 脳波



町田市でゲーム脳講演

2007-01-17 08:37:31 | トンデモな人やコト
ゲームマンの府元さんからの情報。
町田市で教育委員会後援のゲーム脳講演が行われるそうです。
http://www.septjp.co.jp/~machidashi/framepage.html
(音あり注意 「お知らせ」のページ)
(主催:町田市私立幼稚園協会 後援:町田市教育委員会)
いちおうやることはやっておこうと、ぺぺっと市長と市役所に意見をおくっておきました。おまえにそんなことやっている暇があるのかと突っ込まれそうですが。
以下、全文。
15分で書いて(以前書いたものを手直し)、誤字脱字が多いまま、慌てて送ってしまった後で反省。気づいたところは手を入れてありますが、文意はまったくこのままです。町田市役所の方、市長さん、一部、読みにくくてごめんなさい。
 はじめまてして。
 小説家の川端裕人と申します。
 たまたま知人から、町田市私立幼稚園協会の主催、町田市教育委員会の後援にて、森昭雄氏の講演(2月6日町田市民ホール)が、行われると知りました。
 
 町田市外に居住しておりますが、「ニセ科学」の蔓延やその教育現場への影響を憂慮する者として、注意を喚起させていただきます。
 
 森氏のゲーム脳についての議論は、今や「ニセ科学」の代表格と目せられています。
 
 今、書店に並んでいる「論座」のニセ科学特集では、山形浩生氏がこのような論文を書いておられます。インターネットで閲覧できます。
 http://opendoors.asahi.com/ronza/story/index.shtml

 また、引きこもり研究の第一人者である精神科医、斎藤環氏は古くからこのような批判をされています。
 http://www.tv-game.com/column/clbr05/
 
 科学を装った非科学、いわゆる擬似科学にくわしい「と学会」の山本弘氏の批判もあります。ちなみに、「ゲーム脳の恐怖」はその後、2002年の「トンデモ本」の次点に選ばれました。
 http://www.tv-game.com/column/clbr02/
 
 ゲーム脳についてさらに突っ込んだ評価をお望みなら、ウィキペディア(インターネット上の百科事典)が、よい「入口」になります。
 http://ja.wikipedia.org/wiki/ゲーム脳
 
 もちろん、ゲームが脳の発達に影響を与える可能性はゼロてはないかもしれせんし、研究はすすめるべきでしょうが、すくなくとも、森氏がこだわったアルファ波とベータ波の比率などは、多くの科学者にとって、首を傾げざるを得ないもののようです。ましてや、そのことと子どもが「キレ」ることを結びつけるのは、非常に短絡的で、なんら立証されたものではありません。
 多くの研究者、識者が、森氏の「ゲーム脳」理論を、ニセ科学、擬似科学だと感じています。
 
 今回、このようなメールをお送りするのは、教育委員会のような、市の教育の舵取り役が、ニセ科学の講演を支持し、旗を振るようなことはするべきではないと考えるからです。
 森氏が、主張するように「ゲームばかりしていてはいけない」のは当然のこと。それは、テレビばかりみていても、本ばかり読んでいてもいけないのと同じことであって、むしろ躾の問題です。その根拠をニセ科学に求めるのはいかがなものでしょうか。
 また、森氏がこれまでのゲーム脳講演の中で、自閉症児などに対して差別的な発言を行ってきたことにもご留意下さい。
 
 ニセ科学は、「ただのあやまった理論」で留まるうちはともかく、それを教育の現場に持ち込んだ途端に、実害を生じることが多々あります。これについては、やはり「ニセ科学」の代表格である「水からの伝言」の問題に関わっておられる学習院大学の田崎晴明教授、大阪大学の菊池誠教授のウェブサイトが参考になります。
 http://www.gakushuin.ac.jp/~881791/fs/
 http://www.cp.cmc.osaka-u.ac.jp/~kikuchi/nisekagaku/mizuden_doutoku2.html
 
 なお私自身が意図せずしてかかわることになった、昨年、世田谷区での「ゲーム脳」講演(世田谷区教育委員会共催)の顛末は、私のブログにてごらんになることができます。ぜひ目を通して頂ければと考えます。
 最終的に区の担当者が、講演の聴講者に対して「ゲーム脳について、家に帰ったらネット検索してみてほしいと思う」と、ゲーム脳理論をめぐる客観的な議論を理解するように促した点に注目を願います。
 http://ttchopper.blog.ocn.ne.jp/leviathan/2006/04/post_fc55.html
 
 以上、ニセ科学の蔓延と、それが教育の現場にまで影響を及ぼしかねない現状に心を痛めている者として、意見させて頂きました。ご善処をお願い申し上げます。
 
 川端裕人


家庭教育学級とサイエンスアゴラ

2006-11-25 03:33:30 | トンデモな人やコト
きょうは午前中、家庭教育学級の「親子で竹とんぼづくり」があって、そのあと、サイエンス アゴラ 2006へ。こういう やつに出てきます。「脳科学はなぜ擬似科学に利用されやすいのか」的なことが語られる討論会で、ゲーム脳講演に対応した時の経験をフィードバックせよ、ということだと認識しているのだけれど、かなり出たとこ勝負。
それにしても……ぼくってフリージャーナリストなんだろうか。最近、あんまりジャーナリスティックな活動をしているわけでもなし、看板に偽りな気が致します。
さらに言うと……こういうことがダブルで来たりするのが、これから先の自分の生活なのかもしれんと、先行きの展望が思いやられる(変な日本語!)なり、です。