Chonosuke Okamura, Visionary
キクログ経由で知ったChonosuke Okamura氏についての記述。
なんと1996年にイグ・ノーベル賞生命多様性部門に選ばれていたんですね。
岩手県の石灰岩(あるいは熱変成した花崗岩?)の中から、ミニ人類やゴリラや馬や恐竜を発見した偉人中の偉人。
彼の論文や、関係する文献は以下の通り。
1. "Period of the Far Eastern Minicreatures," Chonosuke Okamura, Original Report of the Okamura Fossil Laboratory, no. 14, 1980.
2. "New Facts: Homo and All Vertebrata Were Born Simultaneously in the Former Paleozoic in Japan," Chonosuke Okamura, Original Report of the Okamura Fossil Laboratory, no. 15, 1983.
3. [Something entirely in Japanese.] Chonosuke Okamura, privately published, 1983?
4. The Best of Annals of Improbable Research (AIR), Marc Abrahams (ed.), W.H. Freeman and Co., New York, 1997.
5. Abrahams, Marc (ed.). Der Einflu? von Erdnu?butter auf die Erdrotation: Forschungen, die die Welt Nicht Braucht Best of Improbable Research, Marc Abrahams (ed.), translated by Dr. Gabriele Herbst, Birkh?user Verlag, Basel, 1999.
6. Abrahams, Marc (ed.). La Scienza Impossibile; Il Meglio degli "Annals of Improbable Research," Marc Abrahams (ed.), translated by Sylvie Coyaud, Garzanti, Milano, 1999.
1と2が、「岡村化石研究所報」で発表された原著論文にあたるもので、とにかくすべての脊椎動物は古生代前期に、日本で生まれた(その頃、日本列島ってあったんですか??)という野心的なもの。
3は、日本語で書かれたもので、このリストを作ったフィラデルフィアの先生は読めなかったようです。だから、「なにやら日本語で書かれたもの」としか紹介されていない。[Something entirely in Japanese.]
4番以降は、、イグ・ノーベル賞以降なので、それがらみの紹介ってことでしょうか。
いやあ、それにしても……すごいなあ。
Visionaryって、直訳すると夢想家とか空想家という意味だけれど、例えばポジティヴな使われ方をされることも多くて、たとえば、スティーヴ・ジョブスは、Visionaryなわけです。ヴィジョンを描き、それをたぐり寄せた人という意味で。そういう時の使われ方は、とてもよい褒め言葉。
で、岡村氏もVisionary。こちらは直訳の意味で。
愛しさがこみ上げるのはなぜだ。
もちろん、この理論(?)が巧妙なプレゼンテーションによって、「真実」として流通したりすると困るけれど(ましてや、教育の現場に入ってきたり、日本はすべての生き物の故郷だとか変な国粋主義にリンクしたり……想像するだけでいやだ!)、でもなんか愛おしい。
つまり……実害がない限りにおいて、こういうVisonを追いかけてしまったひとりの人間の情熱やら、妄執やらを、笑ったり、皮肉ったりできないなあと感じるわけです。
ぼくだって、きっと局所的には、後の人からみれば(時には今の人から見ても)おかしなVisonを追いかけているかもしれないし、ね。
あ、でも、岡村氏がいきなりやってきて古生物学会で発表したひにゃあ(そういうことがあったそうです。当時、学会発表は要旨の提出も求められなかった)、迷惑した人もたくさんいたのでしょうが。