川端裕人のブログ

旧・リヴァイアさん日々のわざ

日本PTA、千葉研究大会、お疲れ様でした!

2010-08-31 00:56:53 | 保育園、小学校、育児やら教育やら
Jimurenraku日程の読み違えおよび、家庭的事情にて出席できなかったのですが、日本PTAの全国研究大会(千葉)が金曜・土曜に開かれました。なにはともあれ、開催のためにがんばった方々、お疲れ様でした!

さて、聞きに行けなかったので、話題にされたかどうか分からないのですが、第一分科会(組織運営)や特別第2委員会(新しい公共とPTA)で、大事なテーマとして議論されるに値する(そろそろちゃんと議論しとかなきゃならんとぼくが信じている)ことを述べておきます。

上の写真は、文科省から各都道府県の教育委員会事務局にあてた事務連絡。
「平成22年度優良PTA文科大臣表彰について」というタイトルで、 「PTAが任意加入の団体であることを 前提に......組織運営や活動内容の工夫を している団体を適切に評価」できるように出されたものです。

なぜ、こんなことをわざわざ言っているかというと、今のPTAって、規約になんとかいてあろうと任意なのに、多くの場合事実上強制といわれても仕方がないからです。

文科省の委託事業での調査では「PTA役員経験者の半分が、PTAは任意の団体であると知らない」という結果まで出ていて、この件、かなり深刻です。
調査についてはこういうエントリを以前書きました。

http://blog.goo.ne.jp/kwbthrt/d/20100211
http://blog.goo.ne.jp/kwbthrt/d/20100221

本来機会であるものが、義務として定着してしまったがゆえに、とんでもない負荷が日本の保護者にかかってしまっているとぼくは感じています。
それが、自身の学びのため、子どものために還元されるものであればまだよいでしょうが、今のPTAでは、自ら学び成長する保護者よりも、学校から遠ざかる保護者の方を量産してしまっているのではないかと危惧します。

一人のPTA成功体験者を生む背後で、十人、いや数十人の保護者(特に母親)が、悩みに悩んだり、学校に行きたくなくなったり、下手をするとメンタルな病気になったり、その際まで追い込まれているのではないかと、ぼくはこれまでの個人的体験、取材、講演などでの対話を通じて感じています。

そんなこともあって、大会の特別第2委員会でも登壇した、岸裕司さんや、寺脇研さんと一緒に、「フォーラム・PTAは新しい公共を切り拓けるか」を、8月7日に開催しました。その中でも提言のひとつとして、

*****
加入を義務ではなく機会と捉え「やりたい人がやりたい時」にできる仕組みにしたいなあ。入退会の自由は当然のこととして、できない人ややりたくない人の意向も尊重し、同時にやりたい人の参画機会を拡大したいなあ。
*****

などということを述べています。
さらに、PTAの連合体が、従来の活動を拡大していくよりも、むしろ、個々のPTA(単Pという言葉はぼくはあまり使いません)の実情に即した支援をしていくべきではとも提言しました。

*****
個々の学校のPTA支援を第一にしてほしいなあ。PTAの正常な運営のために、ヘルプデスクなどを設置して(デスク担当者はPTA体験者であることより、むしろ法律知識、人権問題にかんする知識を持っている者がふさわしいカワバタ注)、運営に悩む役員だけではなく、PTAを重荷に感じる人、PTAに悲鳴をあげている保護者の援助も行ってくれたら素敵! きっとできるはず!

*****
全文はこちらからお読みいただけます。
http://pta-forum.seesaa.net/article/158112960.html

また、ぼく自身が、発起人の一人であるThink PTA!というサイトでは、「PTAの入退会自由に関する要望書」というものも試みています。
http://www.shomei.tv/project-1539.html

本来こういうことは「お役所」にお願いすることではありませんが、ぼくはこの試みを支持しています(Think PTA!は、PTAに問題意識を持つ者が参加していますが、すべての活動や主張にすべての参加者が賛同しているわけではありません)。
理由はこちら。
http://blog.goo.ne.jp/kwbthrt/d/20100520

以上、だだだと書き連ねましたが、日本のPTAの将来のために、ぜひクリアしていくべきことではないかと考え、まとめてみた次第。

なにはともあれ、大会運営、お疲れ様でした!
今回の大会で、上で述べたような問題意識が、どこか前に出て積極的な意見交換がなされたなら、ぜひ教えてくださいませ。
そうでなくても……千葉県のPTAのみなさんは、今後しばらく日本PTAとのやりとりをされることになるのでしょうから、このようなコメントが寄せられたことも念頭に置き、また、お伝えいただければさいわいです。


追伸
たまたまぼくがテレビ局出身者だということも関係あるのかもしれませんが、「子どもに見せたくない番組」に関する調査にも、長年、疑問をいだいており、また、この調査が不適切な統計処理により、PTA一般について社会的な信用を減じているかもしれないと懸念しています。

その件についてのエントリはこちらより。
http://blog.goo.ne.jp/kwbthrt/d/20081117

さらに追伸
今のところブログなどでの大会報告は数えるほど。
興味深い報告などを発見しましたら、コメント欄に付け足していきますね。



ニッポンにただいま!

2010-08-27 21:31:01 | 自分の書いたもの
Mt_001_225回にわたって書き連ねてきた「ニッポンをお休み!」が完結しました。

半年間の滞在を、2週間に1回ずつ、およそ1年にもわたって書き連ねてしまったことになります。

でも、それだけ密度の濃い月日だったってこと。
最終回は、ミルフォードトラックから戻ってから、帰国までの淡々とした日々……のはずが、そこに突如影を落としたハウスクリーニング問題と、最後の最後にやってきたニュージーランド固有のカウラ(大きなザリガニ)捕獲大作戦について。

きのうのことのような、ずっと前のことのような。
滞在中、ぼくたちを支えてくれた方々にあらためて感謝です。
本当に、このジンセイの中の珠玉とでもいうべき日々でした。

そうこうするうちに、月日は流れ……来年の年始に、またクライストチャーチに行くかもしれない計画が着々と進行中。きっと、これからも縁深き国であり、街でありつづける予感。



ヘヴンズドア

2010-08-27 19:44:13 | 日々のわざ
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たぶん、ツッコミ所は満載なんだろうけど、長瀬ファンが見たら感涙ものなんだろうか。
ぼくたちとしては、福田麻由子つながりでこれを観たのだけれど、そっちの方がきっと正解でした。

ちなみに、ツッコミ所なんですが、ひとつだけ述べると、余命一ヶ月と宣告されているはずの麻由子ちゃんが元気すぎ。や、でも、それでいいんだけど。

ああいう子に励まされたら、がんばるぞーと思うもん。
しかし、彼女、入院役がはまるなあ。ミイラ人間タマキー、に続き。


イルカと水銀(WOL連載コラム3回目)

2010-08-26 03:14:59 | 川のこと、水のこと、生き物のこと
02この写真は千葉・和田浦のツチクジラの解体。エントリとは、直接の関係はナッスィングです。

で、日経ウーマンオンラインの連載コラムで、ザ・コーヴでも話題になった、イルカ肉の水銀値について、軽く解説しました。
個別のニュースは報じられているけれど、あまりまとまったのを見たことがなかったので、あくまでファクトベースで言えることを言ってます。
こちらをどうぞ。
http://wol.nikkeibp.co.jp/article/column/20100818/108208/?P=1

ただ……これを書く時、編集者と少し議論したのは、ネット上で散見される「水銀の毒性をセレンが中和する」とか、「母親が水銀値の高い魚を食べた方が、子どものIQがよくなるという研究もある」といった、どちらかというと水銀の有害性を小さく印象づけようとする話について解説を入れ込むかという点。
でも、これは、あくまで散見される程度で、あまり広がってもいないように感じたので、書きませんでした。
かなり煩雑になっちゃうし。

だから、ここで本当に軽く解説。

セレンが水銀の毒性を中和することについては、Pubmedの検索をしてみるとかなり出てきます。
動物実験では、かなり効果有りとも。

ただ、疫学研究が見付けられないんですよね(あったらおしえてください)。ひっかかるのはほとんど毒性学方面の研究。自然な喫食の中で、毒性抑制効果がどの程度働くのか明らかにしようとした疫学研究は現在のところなさそうです。というわけで、有望だけど未知数と考えた方がいいでしょう。

ちなみに、イルカ肉は魚に比べても、特段、セレンが多いわけではないそうです(ネットで書かれていた知識(笑))。

あと、「母親が水銀値の高い魚を食べた方が、子どものIQがよくなるという研究もある」という話は、大元になったアメリカのFDAの研究の一部を意図的にミスリードする形で紹介しているようです。
思い切り簡単に言ってしまうと、有機水銀の神経系や心臓への害を所与のものとして、しかし、魚食がもたらすほかのメリットとどの程度釣り合うものなのかを見定めるための研究から、「水銀値の高い魚でも気にせずに魚をたくさん食べている方が、水銀の害を上回る魚食のメリットがあった」というひとつの結果のさらに一部分だけを取り出したものです。

ツッコミがありましたら、その文献など示しますが、きょうはここまで。(ね、コラムに書くには煩雑でしょう?)

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日経ウーマンオンラインにてイルカについての連載コラム

2010-08-20 19:20:18 | 川のこと、水のこと、生き物のこと
01実は先々週あたりから、日経ウーマンオンラインにて、the coveネタともいえる内容で、4回連続のコラムを書いています。
今は盆休みを挟んでちょうど2回目が出たところ。
それぞれのリンクを張っておきますね。

第一回かわいいイルカ、獲っていいですか
第二回「耐久消費財」のイルカを見に行く?

この問題はThe coveにあおられたせいで、かなり感情的な議論が飛び交いがちみたいだけど、まあ、とりあかず、はっきりしたファクトレベルから、彼らの主張を考えてみるところから、始めてます。

で、当然のごとく(?)、ぼくがこんなことを述べている背景を知りたくなったら、出たばかりのこの本を読んでね、って話でもあったりするわけですよ。
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ホメオパシー問題について軽く書いておきます

2010-08-18 22:00:51 | 喫煙問題、疫学など……ざっくり医療分野
R0013266ええっと、ですね。
ホメオパシー問題について、とっても簡単に書きます。
自分のTwitterのタイムラインじゃ、当たり前のように流れているので、つい、みんな知っていると思っていたんですが、考えてみたら、このブログを観てくださる方は、別に疫学に興味がある人(きっとホメオパシー問題についても知っている)ばかりじゃなく、むしろ、PTA関連だったり、生き物関連だったり、作品情報だったりに興味を持っている人も多いわけですよね。

そういうわけで。

で、ホメオパシーは、いわゆる代替療法です。
プラセボ以上の効果はないという疫学証拠があり、つまりは、効かないって分かっています。


でも、人間が元来持っている治癒力を引き出すという触れ込みからか、自然派なかんじの人達にウケがよくて、この前の非実在青少年条例で主要なアクター(アクトレス)だった、「バースコーディネーター」の大葉ななこ氏など、「今や21世紀育児の3種の神器のひとつ」とまで持ち上げております。

でも、実際は効かない。
プラセボ以上の効果がないということは、逆に害もないということで、別に目くじらたてることないじゃん、という考えもあり得るのですが、ホメオパシーの場合、それを信じるあまり、本来通常医療を受けるべきときに、通常医療から遠ざかるような仕組みが内蔵されているのが困りものなんです。

たとえば、好転反応という概念。
効かないレメディ(ホメオパシーのクスリですが、薬事法的にはクスリではないです。でも、クスリのように投与されます)を摂取して、症状が悪化しても、それは治癒力が高まって悪いものを排除している証拠だから、むしろよいことだ、捉えるわけですよ。

これが、ほうっておいても「自然な治癒力」で快癒する風邪くらいならともかく、がんだったりすると、目も当てられないわけで……。
実際に、命にかかわる重たい病気なのに、ホメオパシーにたよるあまり、さんざん苦しんだあげく(好転反応ですからね)、亡くなる方というのはいるようです。その際、ホメオパス(施術者)からあたかもマインドコントロールされるかのような形で、通常期医療を拒否する場合もあるようなのです。

今回ホメオパシー問題が一気に吹き出したのは、昨年、山口県の助産院で、新生児に当然投与すべきビタミンKをあたえず、レメディで代用した結果、乳児がビタミンK欠乏性出血症で亡くなったのがきっかけです。この場合、親の同意もなく、助産師がそのような処置をとったわけですが、親自身がホメオパシーの信奉者だったりすると、子どもが通常の医療を受けるべき時に受けられず、いわゆる医療ネグレクトの状態になることもありそうです。

以上、簡単な問題提起というか、「こいういことがいまあるよ」という話。知っている人は知っているけれど、まだ知らなかったという人が、たまたまここを通った時のために書いておきました。
というわけで、深入りせずに、あとはリンクを張ります。

今回がんばっている朝日新聞の記事。入門編ということで。
http://www.asahi.com/health/feature/homeopathy.html

そして、メインの記者、長野剛氏によるブログ。
https://aspara.asahi.com/blog/kochiraapital/entry/kNKQFuNbTK

さらに、悪性リンパ腫なのに通常医療を受けずに亡くなった女性についての経緯。ホメオパスと女性とのメールやりとりを読んでいるとクラクラしてきます。強烈に切なくも哀しくなります。
http://www012.upp.so-net.ne.jp/mackboxy/Health/summary.pdf

ひるがえって「ホメオパシー側」ですが、関連諸団体が、朝日新聞などの報道に対して反論を試みています。いずれも、自らに非がないことや、前述の「内蔵された問題性」から論点をずらすのに必死になっているように読めます。少なくともぼくには。
http://www.jphma.org/
http://www.nihon-homeopathy.net/
http://www.homoeopathy.co.jp/index.html

特に最後のサイトにあるこちらの記事など、
http://jphma.org/About_homoe/jphmh_answer_20100817.html
記者とのファクスのやりとりをすべて公開した上で、質問への回答はやはり論点ずらし系の対応。あるいは最初から立脚点があまりに違うので、議論が成立しない、てなかんじです。

「日本国民がホメオパシーの恩恵に与る機会を失わせるような記事が世に出るとしたら、それは大変残念」とまで書かれていますが、ぼくはその恩恵はいりません。
むしろ、今もすでに起きている害をなんとかしてほしいです。

とりいそぎ、書きました。
みなさんの参考までに。

やはり、参考書はこれですかね。
代替医療のトリック代替医療のトリック
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河明かりを読む

2010-08-16 12:55:15 | 川のこと、水のこと、生き物のこと
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富山で息子のクライミング大会に付き合ってダラダラしている間に、「河明かり」を読んだ。
調べれちくまの全集などに入っているのだが、正直に申し上げると、青空文庫に入っているものをiPadで通読したのだった。

岡本かの子というと、岡本太郎の母さんで。とにかく川に執着した作品を多く書いた人。多摩川沿いをただ乙女が走るだけといっていいストーリーの「快走」とか、そのものずばりのタイトル「川」だとかが印象的。

そんな中て、「河明かり」は、小説家の手記という形式を取りつつ(書き進めている小説のキャラ設定に悩み、環境を変えようと、川沿いの仕事部屋を借りるところから話は始まる)、めっちゃくちゃ「川」小説なのだ。

東京下町の複雑な血管網のような水系を、細々と記述するし、川への執着が半端ではない。

前半は東京下町でのわりとちまちました話なのだけれど、後半になって新嘉坡(シンガポール)に話が飛ぶと、いきなりこんな記述。

すべてが噎《むせ》るようである。また漲《みなぎ》るようである。ここで蒼穹《あおぞら》は高い空間ではなく、色彩と密度と重量をもって、すぐ皮膚に圧触して来る濃い液体である。叢林《そうりん》は大地を肉体として、そこから迸出《ほうしゅつ》する鮮血である。くれない極まって緑礬《りょくばん》の輝きを閃《ひらめ》かしている。物の表は永劫《えいごう》の真昼に白み亘《わた》り、物陰は常闇世界《とこやみせかい》の烏羽玉《うばたま》いろを鏤《ちりば》めている。土は陽炎《かげろう》を立たさぬまでに熟燃している。空気は焙《あぶ》り、光線は刺す??????

 濃密であり色鮮やかだ。
 ある意味観念的だし、突飛でもあるのだけれど、単に観念的で片付けられないとも思うのは、背後に「川」があるからだと感じる。
 液体・鮮血といったあたりに、なんだか川へのつながりを感じてしまうし、実際にその直後、新嘉坡の川の話へと繋がっていくのだ。
 
 そして、彼女が新嘉坡での所用を終えて、帰国した後の弁。
 
 だが、こう思いつつ私が河に対するとき、水に対する私の感じが、殆《ほとん》ど前と違っているのである。河には無限の乳房のような水源があり、末にはまた無限に包容する大海がある。この首尾を持ちつつ、その中間に於ての河なのである。そこには無限性を蔵さなくてはならない筈《はず》である。
 
 結果、彼女は、書きかけの小説のキャラそのものをゼロから練り直す決意をするのだが、その作品というのは、「女体開顕」や「生々流転」のことなのだろうな。実は大作すぎて、通読できたことがないのだ。いつも読みかけてつまみ食い。
 しかし、これからはiPadがある。
 いつでもゆっくり読めるのでした。
 
 なお、岡本かの子は、本当に川に執着した人だけれど、そこに生き物賑わいを書き込むことはあまりない。
 川そのものへの執着を前に出す。
 そのあたり、岸由二さんとはかなり違う。でも、通底するところもある。

ニッポンをお休み!「15少年からエレホンへ」

2010-08-15 22:36:04 | 自分の書いたもの
Mt_001_2集英社文庫のウェブサイトでの連載、「ニッポンをお休み!」の第24回がアップされています。
25回連載予定の最後から2回目。つまり、ラス前。

ぼくにとってニュージーランドは「15少年の島」というイメージが強かったのたけれど、滞在中、そのイメージに付け加える要素が出てきたという話。

具体的には、「エレホン」の著書、サミュエル・バトラーが開拓時代のカンタベリー地方で、辺境の牧羊者として、15少年さながらの暮らしをしていたということ。そして、英国に帰ったあとで、「エレホン」をものした、ということ。

そこから、なにをどんなふうに感じたというのは、本文をどうぞ。

ちなみに、「エレホン」は、Amazonではこんなかんじ。
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エレホン―山脈を越えて (1952年) (岩波文庫)
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いずれも絶版で、中古価格が高くなっているのが残念。


イルカ本の表紙写真

2010-08-12 03:35:59 | 川のこと、水のこと、生き物のこと
Photo今回文庫に入った「イルカと泳ぎ、イルカと食べる」の表紙写真に使われたのは、ぼくが1995年に御蔵島で撮った写真。

NIKONOS Vに、ベルビアかなにかで撮ったのではないか、と。

ずーっと、フィルムのまま眠っていたのを、このたびスキャンして、ディジタルにしてもらえたので、公開します。

大した写真じゃないけれど、でも、この火山岩ゴロゴロの海底と、ハンドウイルカというランドスケープ(?)は、そうそうあるもんじゃないですよ。

viva、御蔵島ってことで。



楢山節考を娘と見る

2010-08-10 17:01:15 | 日々のわざ
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前からみたいと思っていたのを、やっと娘と一緒に見られた。
重たいテーマだけど、それ以前に、現代ではない昔のニッポンの村の生活、言葉遣いに衝撃を受けたみたい。
楢山様にいく、というのは、山に行くことだということはずっと分かっていた。
けれど、最後のシーンで、それが山に死にに行く「姨捨」であることを理解して、少しは魂を揺さぶられたのではないかと想像。

もっとも、彼女は、映画の中での母と息子ではなく、たとえば、ぼくがぼくの母(娘の祖母)を負ぶって山に捨てに行く、みたいなところに引き寄せて、はじめて、当時の貧しさや、やりきれなさに思いをはせた。
いずれにしても、一緒に見てよかった。


あらためて、「イルカと泳ぎ、イルカを食べる」を紹介します

2010-08-09 23:49:08 | 自分の書いたもの
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発売日:2010-08-09
本日、「イルカと泳ぎ、イルカを食べる」(ちくま文庫)が書店にならんだはずなので、あらためて作品を紹介いたします。


これは、1997年に世に出た「イルカとぼくらの微妙な関係」という本の大部分を収録し、長目の後書きをつけた、ものです。要するに13年も前の本なのですが、このところ、イルカ漁について注目が高まっており、逆に資料性が高まってしまった部分があります。

 
もっとも、内容は、題名からも察していただける通り、イルカ漁の問題だけでなく、ドルフィンスイムや、ドルフィンウォッチングなど、野生のいるかとの交流系統のこともふくめ、イルカという生き物を中心に、我々が「野生」と取り結ぶ様々な関係の地図を描くような構成になっています。
 

章立ては下記の通り。
 桃色海豚の午後/新兵衛どんのツチクジラ/オポの夏/モンキーマイヤのイルカたち/ケイトの青春/フリッパー問題、とんがる/くるくるイルカ、飛び跳ねる/がんばれ、御蔵島/笑うマダライルカ/カナリアは歌わない/イルカを食べる/富戸オキゴンドウ事件

 
 そして、「文庫版のための少し長い後書き」では、ザ・コーヴのことも含めた、現在のイルカ漁事情、水族館のこと、水銀汚染のことなどにふれています。

 
 解説は、「いのちの食べ方」の森達也さん。

 
 17年前は一部でしか話題にならなかった本だけれど、今の方がより、読まれる必然性が高くなっている気がしています。
 たとえは、ザ・コーヴをどのへんのところに、位置づけたらいいのか分からず、悶々としている人など、読んでみる価値はあると、自分で推薦しておきます。


古い方はこちら。こっちには、収録しなかった2章ほどが入ってます。
イルカとぼくらの微妙な関係イルカとぼくらの微妙な関係
価格:¥ 1,680(税込)
発売日:1997-08


PTAのフォーラムにまつわる顛末というか反省

2010-08-08 10:59:32 | 保育園、小学校、育児やら教育やら
Ptaforum論客はたくさん。
ぼく以外はそれぞれいいことを言った。短い持ち時間の中で、実に味わいのある名言レベルの認識やら警句やら、いろいろ。
それは、いずれアーカイヴされるだろう。

しかし、ぼくはあかんかった。
あかんだけじゃなくて、消耗した。
理由はいろいろあるんだけど、一番大きなことは、自分で思うより、PTA問題のトラウマは深く心に突き刺さっており、そのために頭を充分にCoolにできなかったこと。

だいたい自分の「現場」での体験は、多くのトラウマと小さな成功体験でできている。でも、今では距離を取っているわけだし、とっくに整理できていると思っていた。それが、同じ区のPTA連合体のトップにいた宮澤さんの前で、生々しく蘇ってしまった。

考えてみれば、そう簡単に整理できる性質のものでもなく、だからこそ、ぼくはこの問題系にくらつき続けているのだろうけれど。

さて、午後のパネルディスカッションで、ぼくの問題提起は、同じ区で似たものを見てきたはずの宮澤さんとぼくとの間にある観点のギャップはなにだろう。そこになにか、大切なものが埋まっているのではないか、ということ。
別に歩み寄れるとかそういうのではなく、その「間」の領域。ギャップの構造を見たかった。

それに対して、宮澤さんは、「あなたがしてきたこと、そして出会った問題。それにどのような対処をしてきたのか知りたい」というような主旨のことを聞いてくださった。
これは、たしかに、自分が逆の立場だったら聞いたであろう問題。
だって自分と違う認識を示す相手がどのようなプロセスでそこに痛かったか知りたいものね。

ただ、それを説明するのは難しい。
ぼくがCoolになれなかったのはこの部分だった。

どうやったら分かっていただけるか、瞬時に最適な選択ができなかった。分かってもらう、というのは、宮澤さんだけでなくほかのバネラーそして来場者を含む。

自分が出会ってきたエピソードは実体験(自己の体験、目の前で起きた悲劇的現象の目撃)、そして取材やネットで知り得た直接情報などあまたある。

その中で、ぼくは自分自身の一番生の体験を語ってしまった。
これか一番いかん選択だったと、今ではぼくは思っている。自分自身の生の体験は、一回性のものであり、ぼくのPTAヒストリーにすぎない。ただの苦労話になってしまう。

それよりもむしろ、自分が身の回り目撃したり取材したことの中で、今のPTAを象徴することを、持ってくれば一番良かったのだ。

やり直せるなら、ぼくは、委員や役員選びの現場の苦痛について語るだろう。
ぼく自身何度も参加した。
選ばれる側としても、選ぶ側としても参加した。
そして、ちょっとした雰囲気づくりや、気配りやらを、組織的かつ周到に準備し、気持ちよく役員に立候補してもらおうとか、さんざん議論をつくして準備をしたこともある。

一方、選ばれる側としては、自分がクラス代表として互選会に行くことが多かったので、それほど役員選出では大変な目にはあわなかったが、年初の委員決めでは、閉口することがあった。

これは大変だと認識を新たにしたのは、役員として(役員の仕事を説明する係)として参加した役員候補決めのクラス会議の時。

たとえば、ぼくは自分の実働時間の数字を持っていたし、それを公開するのがフェアだと思ったが、やめてほしいと言われる。
役員業務の説明役なので、各クラスをまわるわけだが、高学年になるほど、すでに委員経験が多かったり、役員経験があったりで、「まだやってない人におねがい」という雰囲気になりやすい。
出席しなかった人の欠席裁判や、事情がある人が追い込まれて本来人に言わなくてもいいような個人・家族の事情について延々と語り続けたり……ということが普通に起きていた。

ほんのこのことだけをとっても、おそろしいプレッシャーで、不登校になったり(親が)、会議の後で足腰立たなくなったり、泣き出したり、吐いたりする人がいるのだ。

そして、ぼくは主催や講演やネットでの出会いから、これがPTAという組織のほとんどかかえる構造的な問題だと理解している。

ぼくは宮澤さんにそのことについて言えばよかった。
宮澤さんは、おそらくは、「子どもたちのためなら、という原点に立ち返れば」といった原則論や、心の持ちよう、話の持っていき方といったスキルのレベルでだいたい解決できるみたいな見解かもしれないし、実際に、ぼくなんかよりも何倍もの時間をPTAに注ぎ込み、何倍もの修羅場をくぐり抜け、素晴らしい調整力を磨かれてきたことは想像に難くないのだが、それでも、そのスキルを身につける人間としての成長(P連の会長ができる器を育て上げるまでの間に)の背後に、100人や1000人くらいの母親(時には父親)が倒れているかもしれない。

実際、ぼくが取材をしたり、向こうから連絡をくれた世小P役員経験者の中には、世小Pでの経験で疲弊し、また、教育行政とPTAの関係に失望し、むしろその後、PTA嫌いやPTA批判派、学校嫌いになってしまった人だっているのだ。そのうちの一人は、宮澤さんが会長だった代の世小P役員だったりもする。

といったことをうまく説明できなかった。

で、パネルディスカッションが終わった後でのごくごく短いやりとりの中で、宮澤さんと話したら、やはり、「もうつらい時期は終わったわけですね」というふうな、ねぎらいのようごとき(?)言葉をかけていただいた。つまり、ぼくが、個人的につらい思いをしたから、このような言論活動をしているのだ、というふうに感じてらっしゃるようであった。

そこんとこ、決定的に、話題の選択ミスだった。
落ち込んだ。

一方、ぼくの方も、PTAというのが、行政もP連も、個々の学校PTAに無理をしてくれとはなにも言っていないのに、なぜかくもきつくなってしまうのか、そのメカニズムはどうなっていると認識しているか、というようなことをパネルの中で聞いたのだけれど、明確な回答はなかった。
むしろ、ぼくが「ソーシャル・スキル」とその場で名付けた、気遣いや、声かけ、などの人間関係の部分でそれはなんとかできるのだ、という回答だったと記憶している。(会場から発言した練馬区の元P連会長さんも同意見、一方、終了後に話した杉並区のP連会長さんは、むしろぼくの意図を汲んで、同じことに頭を悩ませているとおっしゃっていた)。

というわけで、充分にCoolでなかったカワバタは、宮澤さんとぼくとの間にある見解の相違をもたらしているものの構造をあぶり出すことに、それほど成功しなかった。

聞いてくれた人、ごめんなさい。
もしも、客観的にみて、その構造が見えた!という人がいたら教えてください。

ほかのパネラーの方々、ぼくのパートだけ変にぼこっとしててごめんなさい。
とりわけ、わざわざ、こんな手弁当の会に来てくださって、かみ合わない議論のまま終えてしまった宮澤さん、ごめんなさい。

そして、すべてのごめんなさいのあとに、ありがとう。

というわけで、次、いきましょ、次。

また機会がありましたら、といいますか、機会をつくります。
その時は、また宮澤さんに声をかけさせていただきます(しつこく)。
今度はワークショップ形式がいいかな、なんて考えています。

あ、さっそく次のことを話しておりますが、次の前に、今回のフォーラムでよかったこともたくさんあるので、あらためて報告します。
でも、この反省を整理しとかないと、なにも考えられなかったんです。

PTA再活用論―悩ましき現実を超えて (中公新書ラクレ)PTA再活用論―悩ましき現実を超えて (中公新書ラクレ)
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この本を書いた頃から、ずいぶん遠くへきてしまったけれど、一応いまでも基礎文献。

イルカ本の見本が届いた!

2010-08-03 23:37:24 | 自分の書いたもの
Img_4054いよいよですが、「イルカと泳ぎ、イルカを食べる」の見本が届きました。
ぱらぱらとめくってみると、本当に懐かしい。
いわゆる「若書き」というやつなんだけど。会社をやめると決めてからはじめて出た本でもあって、やはり思い入れあるなあ。イルカ漁から、ドルフィンスム、さらに、当時、台頭していたスピリチュアル系イルカ愛好家のことまで追いかけている、ある意味無節操な本。

イルカ漁関連では、岩手の大槌、伊豆の富戸、そして、クジラと呼ばれるけれど、イルカの親分みたいな千葉・和田浦のツチクジラの取材をしております。当然のごとく、Coveにも触れてあって、漁協担当者からの聞き取りなどもして書き加えました。

しかし、こういう取材の場合、一見、すごく難しいそうな取材でも、現場の漁師さんに近いところにいけばいくほど、率直に答えが返ってくるというのは、特筆すべき事実。「イルカっていくらですか」というのを役所で聞いても教えてくれないけど、漁協は別に隠さない。

なお、解説は森達也さんにお願いしました。
森さんは、Coveについても主に上映問題について積極的に発言していたし、「いのちの食べかた」という名著もある。
まさにこの本とその周辺について語ってもらうのに適していると思ったわけです。

ぼくはたしか「A」の試写会かなにかで一度、挨拶しただけなんだけど、快く引き受けてくださいました。
ありがとうこざいます。

いのちの食べかた (よりみちパン!セ)いのちの食べかた (よりみちパン!セ)
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イルカと泳ぎ、イルカを食べるイルカと泳ぎ、イルカを食べる
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