このたび、講談社より、色覚についての科学絵本『いろ・いろ 色覚と進化のひみつ』(川端裕人 中垣ゆたか 講談社)を上梓しましたのでお知らせします。
これまで眼科の診断名としては「先天色覚異常」とされてきたものが、生物学的には「異常」ではなく「進化型」だと捉えられていることをご存知ですか?
人類は、同じ集団の中に、様々な色覚を持つ個体を混在させている不思議な生き物です。
なぜ、そのような現象が起きたのか、今の進化生物学的な理解をたどります。
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(はじめに、より)
わたしたちが感じるさまざまな色は、目と脳のはたらきで、頭の中にできるものです。だから、人によって見え方はいろいろです。たとえば、多くの人にとってはっきり違って見える「赤と緑」が、「近い色」に見える人たちがいます。100人のうち、数人が持っている特別な見え方です。この絵本では、わたしたちの色の見え方がどのようにできたのか、恐竜時代にさかのぼり、進化の歴史から振り返って見ていきます。
さあ、色の見え方のふしぎな世界をいっしょに探検しましょう!
この世に生きるすべての子どもと大人に伝えたい、色覚と進化の驚きとふしぎに満ちたひみつ!
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本書が届いてほしいと願っているのは、次のような方々です。
・「あなたは、先天色覚異常です」と言われた児童、生徒。
・そういうお子さんをお持ちの保護者の方。
・学校の先生など子どもにかかわる仕事の方。
子ども時代に色覚検査を受けて「先天色覚異常」だと診断された場合、「自分は劣っているのだ」と刷り込まれるリスクがあります。確かに、生活の中で「困りごと」がある人もいるのですが、とはいっても、それは多数派の色覚に合わせなければいけないことに由来しており、感覚に「優劣」などない、というのが本書の最大のメッセージです。(その困りごとにどう対処するといいのかは、本書のテーマではなく、参考文献を紹介しています。)
関心のある方はぜひ、ご覧になってくださいませ。
また、身近に当事者がいる方、ぜひ紹介していただけましたらと思います。