川端裕人のブログ

旧・リヴァイアさん日々のわざ

ヴェロキラプトルの「鳥」解釈!

2008-08-31 20:36:20 | ひとが書いたもの
ヴェロキラプトル―はねのある小さな肉食恐竜ヴェロキラプトル―はねのある小さな肉食恐竜
価格:¥ 1,575(税込)
発売日:2008-07
小田隆さんの新刊。
『アパトサウルス』に続くポプラ社刊で、個別人気恐竜シリーズがここで確立しないかと期待する次第。
今回の『ヴェロキラプトル』では、昨年、羽毛の印象を持つ化石が発見されたことを期に、完全に「鳥解釈」のやつらを見せてくれる。
クジャクのように華やかなオスと地味なメス。樹上での営巣。かぎ爪の「新用途」。
「見たことがないヴェロキラプトル」が見たい人は是非ごらんくださいませ。

で、小田さんというと、この力作も最近刊。
恐竜の復元
価格:¥ 4,725(税込)
発売日:2008-08



翻案する、ということ

2008-08-29 20:45:45 | ひとが書いたもの
講談社の「痛快シリーズ」を息子と一緒に読んでいるのだけれど、時々、すごい翻案に出会う。
フランケンシュタイン 痛快世界の冒険文学 (3)フランケンシュタイン 痛快世界の冒険文学 (3)
価格:¥ 1,575(税込)
発売日:1997-12

これなんて、シェリーの原作を使いつつも、主人公は、前世が「フランケンシュタインの怪物」だと信じてしまう現代の少年で、彼の目を通してシェリーの主題の現代的な側面を引き出す。

失われた世界 痛快世界の冒険文学 (13)失われた世界 痛快世界の冒険文学 (13)
価格:¥ 1,575(税込)
発売日:1998-10
こちらも原作にないエピソードを各所に挟み込み、なによりラストシーンが違う。やはり現代的な、自然保護的メッセージとリンクするエンディング。

いずれのものも、子どもに読ませる分には確かによい。翻案文化のなせるわざ? いずれ、原作に触れてもらいたいと切に願うものではあるけれど。


青春文学紀行

2008-08-28 21:18:36 | ひとが書いたもの
私の青春文学紀行 (とんぼの本)私の青春文学紀行 (とんぼの本)
価格:¥ 1,470(税込)
発売日:2008-07
松本侑子さんの作品には、作家・物語の来歴を訪ねる系統のノンフィクション(?)の系統があるけれど、その中の最新刊。
『赤毛のアン』のプリンスエドワード島はもちろんのこと、『あしながおじさん』『ラスカル』『若草物語』『月と六ペンス』『車輪の下』『サウンド・オブ・ミュージック』などなど、様々な地域、様々な作品の舞台や、著者ゆかりのちを訪ねる。写真もきれいだし、かつて読んだ名作のイメージを補ったり、ひっくり返したりしてくれる。
『サウンド・オブ・ミュージック』がほとんど「実話」だと知ってました? びっくり。
これ、買わなきゃですよ。
サウンド・オブ・ミュージック (Modern Classic Selection)
価格:¥ 1,785(税込)
発売日:1997-11
サウンド・オブ・ミュージック アメリカ編 (Modern Classic Selection)サウンド・オブ・ミュージック アメリカ編 (Modern Classic Selection)
価格:¥ 2,100(税込)
発売日:1998-12


さらにアメリカにわたってから、トラップ一家が出したアルバムなど。
トラップ・ファミリー・シンガーズトラップ・ファミリー・シンガーズ
価格:¥ 1,835(税込)
発売日:2000-03-23

個人的にがつんときたのは『あしながおじさん』でたずねるプキープシー。
そうか、あしながおしざんのおかげでジュディが進学できたVasser College はプキープシーなんですね。これはぼくにとってもすごく懐かしいところ。伝説的フォークシンガーであるピート・シーガーとの出会いのきっかけになった場所でもあって……。

1998年の日記より。のちに「緑のマンハッタン」に書かれることになったある一日。

2月18日
Hudson River Sloop Clearwater INCへ。
これはスループ(一本マストの帆船)をシンボルにした川の環境保護の試み。
茨城県庁から、霞ヶ浦の環境教育を考えるセクション横断的な人たちが来ていて、このNGOをインタビューするというので便乗させてもらったわけ。
所在地のPoughkeepsieはプキープシーと表記するけど、最初のプを小さな文字で書きたくなるほど。ほとんど発音しない。これはマンハッタンから列車で2時間の小さな町。ハドソン線というのが川に沿って走っていて、州都の オーバニーまでつながっている。

まずハドソン川の地誌。
ニューヨーク北部のアディロンダック山系の「雲の涙」湖からマンハッタンまで315マイル、つまりおよそ520キロ。アルバニーからマンハッタンまでの175マイル(280キロ)は海抜と同じ水面の高さ。つまり、上から流れてくる水に押される形で細い水路を流れ、最終的にはマンハッタンをかすめて海に注ぐ。川の流れがきわめてよわいので潮の満ち引きの影響を大きく受ける。Tidal Hudsonという言葉があって、つまり、ハドソンのなかで潮の満ち退きがあるところという意味。
ちなみにハドソンの流域は1万3000平方マイル。
このようなハドソン川は、ニューヨークに近いこともあって、北米でもっとも集中的に人間に利用されてきた水系のひとつだ。そんなわけで、この川に愛着をもって護ろうとする人たちも多いということ。

(中略)

1969年にはじまった。
創設者は、フォークシンガーのピート・シーガーを初めとする数人のヒッピーたち。当時の反体制的(反政府・反企業)で独立心旺盛、カウンターカルチャーにどっぷりと身を浸した連中が始めた。さらに直接的には、ピートが歌でだんだん金持ちになって、スループを買ってカリブ海をクルーズしようとしたところ、仲間に「どうして地元のハドソン川で使わないんだ」と言われ、「ハドソン川は汚くてクルーズしても楽しくない」からだと気づいたのがきっかけ。彼はこの川をふたたび美しくしたいと考えたのだとか。
以来、スループ「クリアウォーター号」でのセーリングを開始、たらたらと活動をしていたが、1980年にスティーブが教育プログラムの責任者としてやってきてから事態がかわってきた。当初彼はみずから船に乗って教育活動に直接関わってきたが、このセイリングだけでは年間1万人ほどの人にしか話しかけられない。そこで彼は陸にあがって、より多くの人に語りかける方法を考えた。その決定版が、教師に対する教育、教材提供、カリキュラムの提供だ。それまで、教師がこのハドソン渓谷について、生徒に教えたくても、まとまった情報がなかった。それをスティーブが提供しようというわけ。実際、ハドソン川渓谷に住むアイデンティティ、つまり誇りのようなものは、みんなが持っているのに、具体的な裏打ちがないのだ。自分たちの住んでいる場所を知ること、これが大切。

(後略)


緑のマンハッタン―「環境」をめぐるニューヨーク生活(ライフ)緑のマンハッタン―「環境」をめぐるニューヨーク生活(ライフ)
価格:¥ 1,800(税込)
発売日:2000-03


ジャンクアート@北京

2008-08-28 07:25:28 | 日々のわざ
R0018601わりと外国人バックパッカーが集まるような通りがあって、そこでみつけたジャンクアート屋さん。こういう缶ロボットみたいなのがいっぱいいました。誰が買うんだろう……。
それはそれとして、この店の近所に、コリアンカフェがあって、そこでビビンバを食べていたら、ノルウェイ人のマティアスと、ギリシア人のセヴァスティーのカップルと同席になったのでした。二人はギリシア五輪で出会って、今、ロンドンに住んでいて、つまり、北京も含めて三連続大会制覇を狙っているわけですよ。オリンピックって楽しいなあって気分が伝染。
なんて、すでに思い出、でした。



燃油サーチャージ

2008-08-27 08:26:42 | 日々のわざ
Img_2015これはある意味、燃油サーチャージな(?)光景。
このバスは別に故障してるわけじゃなく、実際の運行にはいるぎりぎりまでエンジンをかけないで人力で動かしているの図なわけです。
似たような光景はタクシーでもあって、天津駅地下のタクシー乗り場では、乗客が待っている所定の位置まで運転手が一人で車を押してきたっけ。運転席のドアの外からハンドルを操作しつつ、押すみたいなやり方。
中国の話題、落ち穂拾いでした。



手を動かしてみる

2008-08-27 05:14:09 | 日々のわざ
12朝、眠そうにしている息子をつかまえて、「ステップ数」について手を動かしてたしかめてみる。(数学ガールの影響)。mod12のいわば時計の世界で、同じ数を足し続ける場合、すべての数を巡回できるのは、1と5と7と11。これらは単位元と素数であり、なおかつ12と互いに素な関係にある。さらには、足して12になる組、2つに分けられる。
息子はそれなりに楽しそうにやってたけど、目が覚めたってわけでもなかった。
それにしても、ただ読むのでなく手を動かしてみるのは楽しい。小学生って手を動かすのが基本だから、毎日こうふうに勉強してたのだなあ、と思い出したりして。



数学ガールその2

2008-08-26 07:21:59 | ひとが書いたもの
数学ガール/フェルマーの最終定理数学ガール/フェルマーの最終定理
価格:¥ 1,890(税込)
発売日:2008-07-30
数学ガールの続編を読了。ミルカさんもテトラちゃんも健在。おまけに、いとこのユーリまで登場して、盛り上がってます。
数学成分としては(だいたい数学本なのだけれど)、整数論をゆるゆるとまわって、最後はフェルマーの大定理へ!
本当に証明しちゃったらどうしようとドキドキしてたのだけれど、やはりそれは無理で、証明へのロードマップを理解するというあたりのさじ加減。「半安定な楕円曲線」とか、「フライ曲線」とか、なんとなく意味がわかったけれど、保型形式はいまいち置いていかれたなあ。あと、群・体・環が続出する集合論の話は、すごく分かりやすかったです。さらにmodの計算は、小学生にしてもウケるので、この本で仕込んだ小ネタを息子にしてやろう、と。
ちなみに、「ステップ数」の話は、進学塾なんかでもよく教えられていて、若き数学大好き少年少女は目をキラキラさせていると聞いたことがあるのです。
異端の数ゼロ―数学・物理学が恐れるもっとも危険な概念異端の数ゼロ―数学・物理学が恐れるもっとも危険な概念
価格:¥ 2,415(税込)
発売日:2003-10
こちらは、中国で読んでいた本。
ゼロの概念が最初は位取りの記号として始まって、のちに数としてみとめられるようになっていった古代史をたどる前半はとても興味深いです。アリストテレス+キリスト教アマルガムが、ゼロを受け入れるのを拒んだいきさつなど、わかりやすすぎで逆にどうかなあ、と思ったけど。おもしろい本ですよ。


大熊猫の館

2008-08-25 18:47:02 | 川のこと、水のこと、生き物のこと
R0018553世界になだたる北京動物園です。なにしろ、パンダの頭数はすごいですからね。
というわけで、さっそく向かうのは大熊猫館。
なんとなく上野と似てなくもない構造で、正門から入ってすぐのところにパンダ館があるのでした。

R0018571まずこちらは、アジア大会の時にできたパンダ館。
なにかのスポーツ大会の時に、ハコモノをつくる習慣があるのかしらん。
事情はよくわからんです。
とにかくここには、今をときめく五輪パンダではなくて、もっと古くからいる大人のパンダで、アジア大会熊猫館となづけられている、と。

R0018556例によって、こんなかんじで、ぐたーっとしてます。
いずこも同じですね。
それでも人気なの。
奥の方に見える、赤い物体は椅子です。
ロッキングチェアみたいなもの。
あれで、パンダ君は遊ぶんでしょうかね。
あのあたりには笹がたくさんあって、採餌ゾーンでもあるみたい。

R0018568で、こっちが五輪パンダ館。
急造の施設の感はいなめないのだけれど、面積がかなりあって、そこに子どものパンダがわらーっといるので、かわいいのなんのって。
ほんとパンダってスター要素がすごいったらないですわ。
ましてや、それが子どもなら!

R0018566ここの建物の二階は、パンダ写真展覧会(研究や保護についての説明も含む)になっていて、こんなラブリーな子がバイバイと見送ってくれます。


あらためて「ニコチアナ」を紹介いたします

2008-08-24 12:34:01 | 自分の書いたもの
ニコチアナ (角川文庫 か 42-2)ニコチアナ (角川文庫 か 42-2)
価格:¥ 780(税込)
発売日:2008-08-25

この週末あたりから都内では売られているようなので紹介。
この作品は、もともと文藝春秋から出たものなのですが、紆余曲折があって角川から文庫になることになりました。
非常な問題作(自称)。画期的な無煙タバコを開発し、業界になぐりこみをかけようとするビジネスパーソンが主人公。けれど、ビジネス小説というわけではなくて、タバコ、喫煙をめぐる文化・歴史・科学等々がぶつかりあうストーリーです。伝奇ぽい要素も混入しています。なかなか「似た」小説はないと思います。まあ、変な作品、という意味でもありますが(笑)。でも、それは、主題そのものが変だからでもあって……



なにはともあれ……
喫煙をめぐって、今、我々の社会が置かれている状況と、この小説の中に描かれていることの「位相」を比べて見ると、視野が広がればいいなと感じています。これを書いた頃には、タスポの問題なんてなかったし、今よりはもう少し喫煙天国日本でした。今は、あの頃より分煙は進んだけれど、レストランや喫茶店では今も日々苦しんでいる、わたくしでもあります。

解説は、宇宙系ノンフィクション作家の松浦晋也さんが引き受けてくださいました。この小説をだれかに紹介していただくか悩んでいた時、まるでロケットか打ち上がるがごとき閃光が頭の中に走って、あ、松浦さんだと思いました。以前、ブログに書いてくださっていた内容を思い出して。

追記
かなり大幅に改稿しました。読みやすくなっていると思います。

あらためて「みんな一緒にバギーに乗って」を紹介いたします

2008-08-24 12:25:54 | 自分の書いたもの
みんな一緒にバギーに乗って (光文社文庫 か 46-1)みんな一緒にバギーに乗って (光文社文庫 か 46-1)
価格:¥ 620(税込)
発売日:2008-08-07

書店にならんで二週間近くたち、なんだかタイミングを失した気がしますが、あらためて……。

男性保育士を主人公とした保育士小説です。ぼくの仕事の中では、子育て系に位置づけられるものであり、同時に「お仕事小説」でもあります。誤解を恐れずにいうと『ふにゅう』と『エピデミック』の交点にあるような小説です。あ、ちなみに、『ふにゅう』は、『おとうさんといっしょ』と改題して、近日中に新潮文庫より出ます。
いずれにしても、小さな子どもがいる生活の「きらきらしたかんじ」やら、それだけは済まない諸々のことをなんとか掬いあげて言葉にしたいと思った小説でもあります。
実は、ぼく「ザ・スープ」とか、「竜とわれらの時代」みたいなものを書いている時でも、そこにあるはずのリアリティにはとても関心があって、主題にかかわる「リアリティを掬い上げる」ことにかなり力を注ぎます。ある意味、リアリズム小説なんです。こういうのも。

解説は永井美奈子さんにお願いしました。永井さんは、日本テレビで一年先輩で、ぼくのニュース原稿を読んでくれていた時期もあって、会社員時代の川端裕人につても、ちらりとふれてくださっています。その上で、すばらしいエッセイを寄せてくださいました。

北京の水族館

2008-08-23 12:12:46 | 川のこと、水のこと、生き物のこと
R0018582北京動物園の中に、北京海洋館というのができていた。
ごらんのような大きな「ハコ」で、珊瑚礁の海だとか、サメの世界だとか、いろいろなコーナーがあるだけでなく、当たり前みたいに海洋ほ乳類もいる、と。
でもシャチはみなかったけど。
とにかく、ほかの国にあるものは、うちでもやりますという強烈な意思に満ちた巨大施設。

R0018584提携先はバンクーバーみたいで、エントランスにはいきなりカナダ国旗。
こういうのをこの国の人たちは、「カナダの技術を参考にして、独自に開発した」と言います。

R0018588それでもって、中に入って見ると、熱帯の海みたいなコーナーには、と約束どおり、しっかりとピラルクがいたりします。
子どもがその前に座って、写真を撮るのもお約束のシーン。
こういうのはどこにいってもおんなじ。ひょっとするとこのアクリルガラスも、日プラなのかなあ。なかなか、きれなんです。
ところが!!

R0018586その対面あたりには、こんなのが泳いでるのです。
どこからみても金魚!
さすが中国。
やることが粋?
なーんの違和感もなくとけ込んでますから!
子どももなんだか喜んでるし、まあ悪くないっすよね。たしかに奇麗な魚ではあるわけだし。

R0018590あと海のほ乳類のプール。ここでショーをするのだろうけれど、時間とか書いていなかったし、イマイチ不明。
この時は,お金を払った人がタッチするサービスをやっておりました。

そうそうサカモトさん情報では、今年度、上海で国際水族館会議があるそうです。
きっと、国際水準に追いつこうとする意欲のあらわれ、なんでしょうね。



ニコチアナの見本が来た

2008-08-22 12:25:59 | 自分の書いたもの
Img_2076ニコチアナの見本が来ました。なかなかよい面構えでしょ。角川文庫に先に入った「ザ・スープ」と、別に関連する話ではないとはいえ、横に並べると統一感がある、くらいのさじ加減。
イラストは何度もお世話になっている影山徹さん。書店に並ぶのはもう少し先だと思うけれど、アマゾンにも書影がすでに出てました。
ニコチアナ (角川文庫 か 42-2)ニコチアナ (角川文庫 か 42-2)
価格:¥ 780(税込)
発売日:2008-08-25