川端裕人のブログ

旧・リヴァイアさん日々のわざ

日々のiPOD mini7 Bonnie Pink のもどかしさ

2004-09-15 23:20:37 | ソングライン、ぼくらの音楽のこと
ボニピンのEven Soを、ここのとこずっとよく聴いているのだけれど、なんかもどかしい。
この人は、 J-POPの田口壮かってかんじで……。
飛び抜けてところはなくても、すべてがバランスした、「安心できる」タイプのアーティスト、なのかなあ。
歌よし、コトバよし、楽曲よし、ということで、文句はないんだけど、聴いていて、もう少し染みこんでくるものがあるんじゃないかといい気がして耳を澄まし、でも、ぎりきり「来ない」かんじで、もどかしくなる。
何度繰り返して聴いても、このもどかしさは同じ。
どのアルバムでもそれを感じる。
あ、田口壮は別にもどかしくない。彼はすがすがしいい。
あの体格で、できる以上のことを、さりげなくやってしまう仕事人だからだ。
たぶん、ぼくはボニピンにもって期待している。期待値の大きさが、もどかしさの根源だ。

コトバ的にもボニピンは、まったくソツがない。
Even soの最初の曲は、Private laughterで、この曲の中で、彼女は恋人とのあいだにある「笑い」が、心と体をつないでいる、という認識を示している。
ぼくは、へえっ、なるほどっ、と膝を打った。たしかにそうだ、笑った時、ぼくは、たぶん、ぼくらは、心と体がひとつにつながっているような気がしないだろうか。ぼくらの意識の中で、心身が統合されていないように感じられる瞬間があったとしても、笑っている時は、絶対につながっている(あ、絶対ではないか、な?)。それって、大事なことだ。
こういうのは、歌の中にちりばめられる「小ネタ」なのだけれど、その小ネタをタイトルにまで持ってこられるだけの、観察の細かさと、腕力の両方をボニピンは持っている。これは希有なこと。

英語もきれいだ。発音がという意味じゃなくて、言葉遣いが。ちゃんと英語で歌っている意義を感じるような内容を歌っている。

でも、もっと染みこんでくるべきものがあるはずなのに、来ない。
もちろんは、その理由の半分はぼくの側の問題。ぼくの方に、ボニピン受容体がないってことか。

ひとつだけ、お願い(?)があるとしたら、英語と日本語について、ちょっと深く悩んでいただいたりしていただきたいってことかな。
たぶん、彼女の中で、英語と日本語の腑分けはきちんとできていて、英語で歌うべきところで英語になっている。そういう信頼感がある。
でも、受け手の側の言語感覚は違う。英語になった瞬間に、コトバの意味作用の機序が変わってしまって、伝えたいコトバが伝わらなくなることすらある。
その辺の計算。

ぼくは普通はこん注文、したくなったりしない。
でも、彼女ならできるんじゃないだろうか。そう思ってしまう。
やっぱり、ボニピンは格別にもどかしい。


バイト語について、知っていたり知らなかったりするいつくかのこと

2004-09-15 13:53:23 | 日々のわざ
まず、いくつかのバイト語の起源が、愛知のあたりだという説を聞いたことがあります。「1000円から」とか「よろしかったですか」は名古屋あたりでは普通に昔から言われていて、それが全国に広がった、と。だれか真偽を知っていますか。

それはそれ、以前、バイト語についてコンビニにあんちゃんと話したことがあるんですよ(複数)。
その時に言われたのは、「1000円から」って、彼ら彼女らには合理的な言い方だと感じられているってことなんですよ。
たとえば、支払いが210円だとして、客が1000円を出してきたとする。客はさらに硬貨を探して、おつりをぴったりにしたい雰囲気。でも、後ろにはレジ待ちの列が出来ている。

こういう時、レジ係は、「1000円から(の会計)でよろしいでしょうか」と聞くのが本筋ですよね。
でも、それが、面倒と感じるらしいんですよ。
聞いてしまうと、返事を待ってのアクションになる。時間のロスだ。気持ちがあせる。そこで、断定的に「1000円からお預かりします」と言ってしまう。
ここでは、「から」の部分は、「これでよろしいでしょうか」という問いかけの残骸みたいなんです。なんの積極的な機能も持っておらず、ただ本来の言い回しを極端に省略することで出来た、変な表現というわけ。
それが、バイト君たちの微妙な心理ニーズにマッチしていて、ここまで広がったんじゃないかなあ、と。

たいていの場合、これまでバイト君たちは、自分たちのコトバがバイト語であると認識していませんでした。
話をしてくれたバイト君に、「から」の用法について指摘して、「1000円お預かりしますと言って、何か不都合でもあるわけ?」
と聞くと、なんにもない、との回答ばかりでしたよ。「あ、そうか、気づかなかったなあ」というような表情でね。

なお、うちの近所のコンビニに関しては、バイト語は「マニュアル」とは無関係みたいで、むしろ、心理的に使いやすい、と感じているようなのでした。

これって、「よろしかったですか」も同じかもしれません。