税理士 倉垣豊明 ブログ

東京武蔵野市(三鷹)の税理士 相続税、贈与税等資産税対策、法人・個人向け税務・会計・会社法のブログ

破産法11(取戻権)

2008-08-06 08:27:10 | 税金一般
おはようございます。税理士の倉垣です。

今日は破産法の11回目で、取戻権を取り上げてみました。
破産手続きが開始されると、その開始時の破産者の財産は、破産財団とされ破産管財人の管理下におかれ破産手続きを通して換価、破産債権者ヘ配当されます。
もし、それらの財産の中に例えば他の第三者の所有物であって破産手続きで配当してはならないものがある場合には、その第三者に自己の所有物などを破産財団から取戻す権利が認められています。これを取戻権といいますが、一般の取戻権と破産法の認める特別の取戻権の2つがあります。

1.一般の取戻権
「破産手続きの開始は、破産者に属しない財産を破産財団から取り戻す権利に影響を及ぼさない。(破産法62条)」とされています。
これは実体法上の権利に基づき、破産手続きによらず、特定の財産を財団から取り戻すことを確認した規定です。

実体法上の一般の取戻権の基礎となる権利
イ、物権
所有権、地上権、質権などです。
ただし、対抗要件(登記など)を具備する必要があります。

ロ、債権的請求権
賃貸借契約終了を理由とする、破産者である賃借人に対する賃貸人の目的物返還請求権などです。

2.特別の取戻権
(1)運送中の物品の売主等の取戻権
これは売主が買主に物品を発送し、買主が代金を完済する前、かつ、物品を受取る前に破産した場合に、売主にその物品を取り戻す権利を破産法が特別に認めたものです。(破産法63条)
しかし、この規定は現在は他の制度を利用するなどによりあまり利用されていないようです。

(2)代償的取戻権
「破産者が破産手続開始前に取戻権の目的である財産を譲り渡した場合には、その財産について取戻権を有する者は、反対給付の請求権の移転を請求することができる。破産管財人が取戻権の目的である財産を譲り渡した場合も、同様とする。(破産法64条)」
破産者や破産管財人による取戻権の対象となる財産の譲渡が行われたときは、その取戻権者からのその代金請求権の移転請求を認めたものです。もしその財産の譲渡による反対給付を受け取っている場合には特定性を失っていないかどうかやそれが破産手続き開始前か後かなどにより取り扱いが異なります。

倉垣税理士事務所の公式WEB http://kuragaki.jp

最新の画像もっと見る