警察庁の有識者検討会は4月15日、自転車運転の取り締まりについて、新たな違反金制度の創設を求める中間報告書をまとめた。
自転車運転が摘発されても起訴される割合が極めて低い現状を踏まえ、少額の違反金を支払わせる枠組みを作ることで、多くの違反者の責任を問うことを求めた。
警察庁は新制度の創設に向け、道路交通法の改正を視野に検討を始める。
検討会は立ち乗り二輪車「電動キックスケーター」などの普及で交通環境が複雑になることを見据え、自転車の違反者に対する取り締まり強化の必要性を指摘した。
新制度では交通違反をした自転車の運転者に違反金の支払いを求める。
刑事罰とはせず、前科はつかない。
対象は14歳以上を目安に検討し、運転免許証やマイナンバーカード、学生証といった身分証明書などで本人確認する見込みだ。
自転車には運転免許制度がないため、車やバイクのような点数制度は作らない。
警察は2006年以降、信号無視など悪質な自転車運転の摘発を強化しており、2020年の摘発は2万5465件で2006年と比べて約40倍超に増えた。
摘発の際は大半のケースで刑事手続きに入ることを示す「交通切符」(赤切符)を交付。
検察が略式起訴すれば裁判所が罰金などを科している。
しかし、道交法違反罪で実際に起訴されるのは1~2%にとどまる。
罰金となれば前科として残るため、検察側は極めて悪質な違反以外は他の刑罰とのバランスを考慮し、起訴することに消極的になっているとみられる。
車やバイクと異なり、自転車には「交通反則切符」(青切符)の制度がない。
車やバイクの場合、一時停止をしないなど比較的軽い違反をすれば、青切符を切られて反則金の納付を求められる。
しかし、刑事罰ではないため納付すれば前科はつかない仕組みになっている。
報告書は赤切符の制度による自転車の取り締まりについて「刑罰的な責任追及が著しく不十分なものにとどまっている」と指摘。
現在の制度に代わるものとして「少額の違反金など、違反の抑止のために実効性のある方法を検討すべきだ」と訴えている。
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