KDDIの高橋社長、ソフトバンクの宮川社長、楽天モバイルの三木谷会長は9月12日、NTT法の見直しを議論する総務省の有識者会合にそろって出席した。
民営化は公正な競争を阻害するとして「反対」を表明した。
宮川氏も会合後、高橋、三木谷両氏と並んで記者団の取材に応じ、完全民営化に「反対だ」と明らかにした。
総務省はNTT法の見直しを情報通信審議会に諮問し、2024年夏までに答申するよう求めている。
NTT法は、NTTが全国で固定電話サービスを提供すること、政府がNTT株の3分の1以上を保有することなどを義務付けている。
有識者会合は情報通信審議会の下部組織で、NTTと競合にする3社の意見も取り入れた報告書案を、2024年5月をめどにまとめる予定だ。
報告書案は答申に反映される。
高橋、宮川、三木谷の3氏は会合で、日本電信電話公社(電電公社)時代から整備してきた電柱などの通信インフラを全国に持つNTTが、完全民営化されたり規制が大幅に緩和されたりすれば、競争条件は対等でなくなると主張した。
三木谷氏は「NTT法の廃止は恐怖感を覚える」と述べ、宮川氏は「完全民営化の場合はNTTグループと切り離した公的な設備管理会社を設置すべき」だと発言した。
NTTの島田社長も出席し「市場の実態にそぐわなくなっている規制は見直しが必要ではないか」と訴えた。
具体的には、全国で固定電話サービスを提供する義務の見直しや、NTT東日本と西日本の統合の検討を可能にすることを挙げた。
松本剛明総務相は会合冒頭に「(政府の)株式保有やNTTグループの在り方も議論の対象となる」と話した。
総務省によるNTT法の見直し議論に、ライバルの大手通信各社が警戒を強めている。
完全民営化されたり、国の規制が大幅に緩和されたりすれば、他社を圧倒する通信インフラを持つNTTが再び国内市場を独占しかねないとみているためだ。
各社にとって公正な競争条件の確保は譲れない一線で、総務省は通信産業の国際競争力の向上と両立を迫られる。
NTTは独占企業だった日本電信電話公社(電電公社)の民営化で1985年に発足した。
1999年に持ち株会社のNTTと地域通信のNTT東日本、西日本などに分割された。
NTTが強くなり過ぎるのを防ぐ狙いがあったが、NTT法の見直しを契機に「NTTはグループ再編で組織を結集して競争力を高める方向に動く」との見方が根強い。
NTTは否定するが、ライバルが可能性を指摘するのは、NTTが全国に張り巡らせている光ファイバー網の利用料の値上げだ。
NTTの光ファイバー網はKDDIやソフトバンクなどのインターネット接続サービスに欠かせない。
値上げに加え、NTTグループの企業だけが低料金で利用できるようになれば、競争はかなり不利になる。
通信業界に詳しい学識経験者は「NTT法の見直しは必要だが、一定の規制は残すべき」と話す。
NTTへの規制により、甘い汁を吸い続け大きくなった3社はいつまで好き勝手なことを言うのだろうか。
日本の通信が外国の脅威にさらされていることをもっと認識する必要があるのでは。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます