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首相 最低賃金1000円指示 年3%増めど

2015年11月26日 | 就職・雇用・労働

安倍首相は11月24日の経済財政諮問会議で、現在、全国平均798円の最低賃金について「年率3%程度をめどに、名目国内総生産(GDP)成長率にも配慮しつつ引き上げ、全国加重平均が1000円となることを目指す」と述べ、実現に向けた対応策を関係閣僚に指示した。

週内にまとめる1億総活躍プランの緊急対策に盛り込む。安倍首相が掲げる「GDP600兆円」目標に向けた緊急対策の目玉にする考えで、家計支援を鮮明にした。

安倍首相は会議で、GDP600兆円の実現には、「賃金上昇等による継続的な好循環の確立をはかるとともに、最低賃金もふさわしいものにしなくてはならない」と述べた。

最低賃金の引き上げは、過去最大だった今年度の18円、前年度比2.3%増を上回ることを目指す。

最低賃金は、労使代表や学識者で構成する中央最低賃金審議会が毎夏、引き上げの目安を決定しているが、今年は安倍首相が7月の経済財政諮問会議で大幅引き上げの検討を指示、首相主導で決まった経緯がある。

今回の発言は、2年連続の首相主導を目指す姿勢を示したものだ。

最低賃金は本来、同審議会で決めるもので、政府が強制することはできない。

この点について甘利明・経済財政担当相は「賃金の引き上げは、消費の底上げにとって大きな影響がある。 審議会に働きかけていきたい」と述べた。

日本は欧米諸国と比べて最低賃金の水準が低い。

先進国の主要都市では最低賃金がおおむね1000円を超えているのに対し、日本は東京でも907円にとどまっている。

このため民主党政権時代の2010年にも、政労使で「2020年までに全国平均1000円、全国最低800円」の目標を掲げていた。

甘利氏も11月24日、最低賃金1000円の達成時期について、2020年代半ばになるとの見通しを示した。

企業収益が円安効果もあって過去最高水準になっている一方で、賃上げや設備投資の伸びは小さく、企業の内部留保や手持ちの現金・預金が増える傾向にある。

このため、政府内では「内部留保をもっと賃上げに使うべきだ」という発言が相次いでいた。

ただ、急激な最低賃金の引き上げは、零細企業の経営に与える影響が大きい。

会議に出席した大村・全国中小企業団体中央会会長は「近年の最低賃金の大幅な引き上げで地方の中小企業は対応に苦慮している。 小規模事業者からは、経営の存続にも影響するとの声が上がっている」と述べ、政府に対応策を求めた。


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