未婚化や晩婚化を背景に、婚活・支援に人工知能(AI)マッチングを活用する自治体が増えている。
AIが情報を分析して「相性の良い人」を見つけるというもので、自治体からは「想定していなかった相手と巡り合うことができ、出会いのチャンスが広がった」との声が上がる。
国は2021年度から補助を拡充し、後押ししている。
こども家庭庁によると、昨年3月末時点で31府県がAI婚活を導入。
過疎による少子高齢化に危機感を持ち、2015年からビッグデータを使った婚活事業を展開しているのは愛媛県。
結婚支援センターに登録している本人情報や相手探しの閲覧履歴などから、お薦めの相手を提案している。
センターの岩丸参事は「学歴や年齢といった条件だけにこだわらず視野を広げてもらうのが目的」と説明する。
相談に乗るサポーターの支えもあり、年間で約90組が結婚しているという。
相手探しの選択肢を増やすため、栃木県も同じシステムを活用している。
結婚支援センターの片柳克司マネジャーは「若い人は誰かにお任せする傾向があるので、ビッグデータに相手をお薦めしてもらうことも必要だと思う」と話す。
100以上の質問に答えると、相手に求める価値観と本人の価値観をAIが分析してマッチングさせ紹介するシステムもある。
2018年から導入する埼玉県では、これを利用して昨年11月末までに139組が結婚した。
自分では選ばなかったかもしれない相手と巡り合えたとの声もあるといい、県の担当者は「多様な出会いのきっかけづくりになっている」としている。
新型コロナウイルス禍が契機となり、22年にオンライン型の結婚支援センターを立ち上げた滋賀県も埼玉県と同様のシステムを使う。
今年1月末時点で結婚を決めた13組のうち、6組はAIが紹介した相手だった。
AIで知り合った相手と結婚する30代の女性は「抵抗や不安もあったが、勇気を出して登録してよかった」と振り返る。
滋賀県子ども・青少年局の小森主任主事は「2年間で1万5千円の入会登録料もかかるので、結婚を真剣に考えている人ばかり。 県の運営なので安心との声も多い」とする。
AIに詳しく、愛媛県のシステム開発にかかわる国立情報学研究所の宇野教授は「婚活支援にAIを取り入れることで、これまで視野の外にいた相手にアクセスしやすくなった」と指摘。
「費用面で民間より利用しやすく、多くの人にメリットがある」としている。
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