2009年の裁判員制度開始から5月21日で10年となるのを前に最高裁は5月15日、成果と課題をまとめた総括報告書を公表した。
裁判員候補者に選ばれたものの仕事などを理由に辞退した人の割合(辞退率)は増加傾向が続き、昨年は過去最高の67%。
全期間では62・5%だった。
候補者が選任手続きに出席する割合(出席率)も低下傾向で、最高裁は背景に審理の長期化や国民の関心低下があると分析した。
ただ、現状は運用に影響しないレベルだとしている。
今年3月までの審理数は約1万2千件で、裁判長や補充裁判員として参加した市民は計約9万1千人。
量刑面では性犯罪で厳罰化か進んだ一方、放火や殺人で執行猶予が付く割合が高まるなど軽重両方向に幅が広がった。
最高裁の大谷長官は5月15日、記者会見し「制度の運用は完成途上で、改善策を検討する必要がある」と述べた。
最高裁によると、裁判員経験者に毎年実施しているアンケートでは、良い経験と回答した割合が10年を通して95%超。「多くの国民に肯定的に受け止められてきた」と評価した。
しかし、2009年に53・1%だった辞退率は、2018羊ま7%と過香娶同を記録した。
辞退を申し出なかったり、事前に辞退が認められなかったりした候補者が選任手続きのため裁判所に出向く出席率も2009年の83・9%から年々低下し、2017年には63・9%になった。
2018年はやや増加した。
判決が裁判官だけで審理する控訴審で破棄される割合は制度導入前と比べて減り、一審の裁判員の判断がより尊重される傾向にある。
ただ制度開始から3年間は破棄率が6・6%だったのに対し、それ以降は10・9%に上昇した。
報告書はまた、制度導入を機に、刑事裁判が事実を細かく調べる「精密司法」から争占一を絞り込む「核心司法」に変わったと指摘。
証拠の書面を厳選し、法廷での証人尋問を積極的に実施する「公判中心主義」の運用も進んだとした。
尋問した証人の数は、2009年の平均1・6人から2018年は3・1人に増えた。
一方、事前に証拠や争点を絞り込む公判前整理手続きは長期化。
2009年の平均2・8ヵ月は、2018年に8・2ヵ月となった。裁判官と裁判員が話し合う評議の時間も伸び、2018年は2009年の2倍に当たる約13時間。
経験者の多くはアンケートに「適切」「短かった」と答え、報告書は「納得いくまで議論したいという裁判長の真摯さの表れ」とした。
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