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「幻滅のたびに甦る期待はすべて、未来論の一章を示唆する。」(Novalis)

前田司郎『愛でもない青春でもない旅立たない』

2005年12月28日 | Weblog
を読んだ。

五反田団の主宰者としてある程度名の知れた彼が書いた小説。はじめからさいごまで大学生のセックス話で構成されていて、その点がともかく特徴。ダメなひとのダメさを描くには相応のテクが必要、それができる希有なひとだ前田くんは。個人的には、主人公の大学生が通う大学の近くにいま住んでおり(前田くんの母校と予想してのこと)、ときどきその図書館や学食に行くので、大学が描写されるとやけにリアルなイメージがわいてきて楽しかった。あと、ちょうど数日前、ぼくの勤務する大学の教員会があり、そこで学生の就職状況のことなどで相当「寒々しい」話を聞いたばかりだったので、いまのあまり偏差値的に良いわけではない大学に通う学生のマインドがイタイくらいに伝わってきた。んー、世間的には「ニート小説」と言われたりするのだろうか、芥川賞でも取ったなら。

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