対局日誌

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定石がわかる本(書評)

2005-02-22 12:51:50 | 棋書
定石がわかる本(日本棋院:石田芳夫著)

マリー・アントワネットは、飢えにあえぐ民を見て言いました。
「パンがないなら、ケーキを食べればいいのに」
HPMさんのブログをみて、GO!は思いました。
「『囲碁講座』でわからないなら、『定石がわかる本』を読めばいいのに」

先に紹介した「やさしい定石教えます」は一転集中主義で、扱われている定石に関しては完璧に近い理解が得られましたが、いかんせん数の少なさがデメリットでした。
無論、初級者は石を多く置く場合が多いわけですが3子以上を打つ機会は早くやってくると思います。
そうすると小目、目外し、高目の特性と、その定石も知らねばならない。
それが「長く使えないかも」とした要因でした。
またいろいろな定石を比較する機会がないので、定石が一段落した時の形勢判断の捉え方と部分の説明が乏しかったのも事実。

その点「定石がわかる本」は星のみならず小目、目外し、高目と一通り解説されています。
全部で大別して11の定石が紹介されていますが細かく分ければもっと多いですし、趙治勲先生が「実戦では30ほどの定石を覚えていれば十分」と仰っていた(「達人囲碁指南1 - 定石の達人- 」)のを考えると、初段くらいまではこの一冊で十分かと思います。

加えてとてもわかりやすい。表題に偽りなしです。

例えば、小目に対して一間高ガカリ、一間バサミという進行を例にあげますと、まず右上のように手抜きは黒1と封鎖されて白2以下、白打つ手なし。
白が受ける手を打つ必要性を説いています。
次に応手として右下白10といった候補をいくつかとりあげ、それが何故候補から落ちるのかを解説。
そして最終的に左下白15が最善。という流れで定石に至ります。
また変化として左上黒23といった変化も詳解。
一通りやれば、小目に一間高ガカリ、一間バサミを自信をもって実戦に使えるでしょう。

冒頭に「やさしすぎるそしりは覚悟」とあります。
確かに大斜、村正、大ナダレは紹介されていません。
しかし我々の実戦にはそれらは中々出てきませんし、ここまで基本定石を詳しくやると、それらを抜きにしても難しいところもあるので正解でしょう。
それにその分、応用性は抜群ですから頑張れば大斜にかけられても自力で何とかなるかも?

これらの第4章「定石各論」を後回しにして第1章「定石の発生」、第2章「星の考え方」、第3章「辺における基礎知識」だけ読んでも、初級者が得るところ大。
定石後もサポートしてくれる、「やさしい定石教えます」もオススメですが値段を別にすれば私はこちらの「定石がわかる本」が好きです。
これから定石を学ぶ人、定石を学ぶことを避けてきた上級者に強くオススメします。

ちなみに私は改訂前(表題「定石以前」:旧ゴ・スーパーブックス)の版を読んだので、内容に少々違いがあるかもしれませんが、ざっと確認したところ、そう大きな変更はないと思われます。

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