対局日誌

ネット囲碁対局サイトでの、私の棋譜を記録していきます。
全くの初級者がどう成長していくか、見守ってください。

「天龍図」絶版・回収へ

2010-08-01 20:50:00 | 棋書


先日創元社から発売されたばかりの「天龍図」
絶版、回収されるそうだ。

前代未聞の出来事に「何故?」とビックリしたが、
『加田衆妙詰碁』からの流用した問題が多数含まれていたため」とのこと。

(「衆妙」がすぐ出てこないので代用)

尤も「天龍図」は創作詰碁とは銘打っておらず、
冒頭で「まだ広く知られていない古典問題」から取材したと明記しているので、
権プロに悪意があったわけではないと思う。
しかし作品が「古典」として流用されていることを
加田先生の遺族の方、あるいは誠文堂新光社が好しとしなかったのだろう。

実際、加田先生はそういう部分にかなりデリケートな方だったらしい。
加田詰碁」内のコラムからもそれはうかがえる。
そしてあくまでも噂だが、
「加田詰碁」が望む声が強いにも関わらず再版されないのは、
遺族の方の許可を得るのが難しいからと聞いたことがある。

一方、詰碁が引用されたり、他の本で使われることはままあるようで、
例えばこのあいだ紹介した「やさしい死活」(工藤紀夫著)には、
私の好きな「前田詰碁」から「取材した」と前書きにハッキリと書かれている。
元は1978年の本だから、前田先生が亡くなって3年後のことだ。
ただ工藤プロは前田門下ではあるけれど。
他には「囲碁力」にも前田詰碁が引用されていた。

また「詰碁の神様」か「百万人の詰碁」かで、
広く知られているため古典と思われていた作品が
実は前田先生の作品だとわかった

という記述もある。
憶測だがきっと前田先生の存命時から
他で度々引用されていたのではないだろうか?
シンプルな良い作品の宿命でもあるように思う。

感動した作品は紹介したくなるもので、
私もこのブログで前田詰碁を引用したいのを度々我慢している。

確かに作品が無断拝借されるのは我慢ならないことだろうし、
商品ということを考えるとかなり問題があるかもしれないが、
「加田詰碁」は今や、私のような棋書マニアでもないと味わえないことを考えると、
ちょっと今回の事件に対しては複雑な気分である。
出来れば改めて許可を取るなり、
許可の下りたものに限定するなりして復刊して欲しいところだ。