対局日誌

ネット囲碁対局サイトでの、私の棋譜を記録していきます。
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詰碁の神様(棋書評)

2006-10-20 00:55:39 | 棋書
詰碁の神様12」(前田陳爾:平凡社)が、滅法面白い。

といっても編集、解説は平凡。
1ページに1題ないし2題。
その裏に2図ないし4図で、正解と失敗例が解説されている。
だから詰碁「嫌い」が「好き」になる効果は、さほど期待できない。

面白いのは創作された問題そのもの。
詰碁、詰将棋でこういう感想を抱いたことは、未だなかった。
私にとっては驚きである。

小洒落た感じというのか、小気味良いアイロニーに満ちているというか、何というか。
小振りな隅の問題がほとんど。
だから着点は比較的限られていて、難度は決して高くはない。
なのに、
「アッ」
と驚くような盲点が上手ぁく散りばめられていて、解後感が抜群に良いのだ。

筋良い人ほど前田プロが意図する失敗に陥りがちで、前田プロの
「筋がよろしいですね。
 でも残念ながら…」
とでも呟いて、ニヤリとされるのが目に浮かぶよう。
釣られて騙された(?)読者まで、クスリとくる。
それがまた楽しい。

といっても筋悪ばかりが正解なのではなく、筋が巧妙な引っかけだったり、筋が正解の第一歩でも、もう一工夫が必要とされる問題が多いという訳。
その難度と意外性のバランスが絶妙。
「筋は大事。
 でも閃きと、それを裏付ける読みはもっと大事」
ということを改めて教えてくれる。
だからせめて「ポケット詰碁200」ぐらいは、全問正解出来るぐらいの「慣れ」があると、よりグッと楽しめるはず。

昔からよく詰碁をミステリに例えるらしいが、ミステリでも短編。
チェスタトンの「ブラウン神父」あたりに、同じオーラを感じるかな?

本書は詰碁以外にも、「置碁検討録」「会心の打碁」「随筆選」などが、併せて掲載されている。
hidewさんからは「雑誌的編集」と忌避されそうだが、私は「会心の打碁」は歓迎。
詰碁集というより、前田著作集という意味合いが強いのだろう。
もっとも肝心の詰碁も1巻には100題、2巻には110題と十分。

尚、「随筆選」の一部と表紙については、出雲屋さんも書評しているので参照のこと。


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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
前田詰碁 (出雲屋)
2006-10-20 23:34:31
わしの書評を紹介していただいて、ありがとうございます。この本は、なかなかの名著ですね。
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しかしなかなか入手困難 (asunarou)
2006-10-21 23:30:47
前田九段の詰碁本はかなり評判いいですね。

しかし悲しいかな、なかなか手に入れるのが難しいようで。

初級、中級、上級と詰碁の神様2は、古本屋で見つけて購入したのですが。

私も詰碁の神様1、欲しいです
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出雲屋さんへ (GO!)
2006-10-21 23:39:06
本文にもある通り、通り一遍の極々普通の詰碁集ですが、やはり「前田詰碁」の面白さが、それらを全部吹き飛ばしていますね。



尚、書評紹介は私も楽しませていただきましたので、お礼には及びません。

新作を期待しています(笑)。
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asunarouさんへ (GO!)
2006-10-21 23:39:38
実は半年ぐらい前に1、2巻が「250円」で売られていたのを私は「見」してしまったのですよ(笑)。

今になって非常に後悔しています(涙)。



もっとも1、2巻のうちでは2巻の方が好き。

ということで2巻をもっているだけでも、幸せだと思いますよ♪
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