対局日誌

ネット囲碁対局サイトでの、私の棋譜を記録していきます。
全くの初級者がどう成長していくか、見守ってください。

わりーぐ成功の謎

2006-08-31 07:55:55 | 雑談
8月の前半を彩った「わたいご記念リーグ」は盛況のうちに、惜しまれつつ終了したようだ。
企画当初はタイゼムのサポートの保証のない、nipparatさん個人による企画だったが、その小さな努力が成功した要因はなんだったのか?
その謎を簡単に振り返り、8月の締めくくりとしたい。

それは今後「わたいごリーグ」が実際にタイゼムなどで、公式により大きな規模で行われる際の、多くのヒントを与えてくれるはずだ。

まず第一に少数精鋭によるリーグ戦だった点。

5人によるリーグ戦、全10局。
日程発表当時は「人数が少な過ぎるのでは?」と思われたが、これがあに図らんや。
実に適切な人数、対局数だったことが、大会が程良い熱気で終わったことで証明された。
恐らくこの人数より多ければ、時間的にも内容的にも中弛みは避けられなかったと推測する。
物事は大体、「惜しまれつつ」終わるぐらいが丁度良いのだ。

勝負面では5人中3人が同率優勝ということで、いささか緊張感が欠けた面もあったろうが、元々観戦者の興味が結果より、「いきつけのブログの書き手達が、どんな碁を打つのか」という内容に関心が向けられたので、大きな欠点とはならなかった。
また打ち手のレベルも高すぎず(失礼)低すぎず、幅広い棋力の人々の鑑賞に堪えうる内容だったのも大きい。

今後、大会が発展するとしても10人程度のリーグを複数設け、上位から下位までに何らかの賞罰(があるのが適切の思われる。
リーグ成績による昇級降級がオーソドックスか。

二つ目に打ち手が皆ブロガーだったことが挙げられる。

今回はnipparatさんが厳選した方達ということで心配は少なかったのだが、ネットでの大会で一番難しいのは
「成績不振のプレイヤーが、試合を最後まで意欲的に消化するか」
ということにある。
この問題点を解決出来たネット囲碁将棋大会を、私は知らない。

その点に関して、今大会では
「ブログを持っている」
ことが
「いい加減な対局は出来ない」
一つの担保のような働きがあったと、私は考える。
勿論この担保が仮になかったとしても、hinagataさんやdasさん今回と全く同じように奮闘して下さったに違いないが。

ブログを持つことを条件とすると、完全な匿名に比べ多少敷居は高くなる。
その代わりいい加減な対局態度は、自分の書いているブログの価値をも貶めるので、それをモチベーションとして大会を制御する効果がある。
今後大会がもっと不特定多数によって行われる際、ブログ所持がある程度身分証明となりうる。
その可能性を今リーグは示してくれた。

またosama氏も書いていたが、ブロガーが打つということで「対局にストーリーが生まれた」。
打ち手が単なる記号でなく、ブログという媒体を通して、何に喜怒哀楽を示すか。
ハッキリした人格をもった打ち手として観戦者に認識されたのが、内容をより面白くしたのは間違いない。
変な表現だが、大会に「肉感、厚み」があった。

プロの碁にしても全く知らない人より、棋書やブログ、HPで少しでも認識のある人を応援したくなるのは人情だ。
今大会はその面からもネット碁大会に留まらず、プロの碁をファンにどう楽しんで貰うかのヒントとして、囲碁界全体に意義ある内容を掲示した。

一方で大会が盛況の割には、大会を利用したブログ記事の広がりはもう一つだったことを、敢えて問題点として挙げておこう。
観戦した方々は少なくないはずなのだが、「大会を自分のブログに活用しよう」という動きは案外少なかった気がする。
「罰ゲーム」企画や「この一局、この一手」企画など、nipparatさんやdasさんの努力も、残念ながら内輪の域を出なかった。
これはnipparatさんも反省しておられたが、級位者に対するアプローチなど、新規囲碁ファンを広げるところまでは、個人企画では手が回らない限界があった。
そして何より母体となる囲碁ブログ、あるいはネット囲碁ファン自体がまだまだ少ない。

囲碁ブログを盛り上げるのが先か、あるいはブロガー囲碁大会を通じて囲碁ブログを盛り上げるのが先か。
鶏か卵だが、どこかでスパイラルの契機を掴まなければ、内輪の大会の域をなかなか出ることは叶わないのではないか。
期待はしていなかったが、プロ棋士や両棋院からのアプローチが本当は欲しかった。

今後タイゼムなどが、この企画を下地により発展させるならば、是非この面に力を入れていただきたいと切に願う次第である。