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映画『ナンネル・モーツァルト 哀しみの旅路』を観て

2011-04-24 10:46:02 | 映画・ミュージカル、音楽題材

11-30.ナンネル・モーツァルト 哀しみの旅路
■原題:Nannerl,La Sceur De Mozart
■製作年・国:2010年、フランス
■上映時間:120分
■字幕:松浦美奈
■鑑賞日:4月23日、ル・シネマ(渋谷)
■料金:1,800円
 
□監督・脚本・製作:ルネ・フェレ
□製作・編集:ファビエンヌ・フェレ
□撮影:バンジャマン・エシャザレタ
□衣装:ドモニク・ルイ
□音楽:マリー=ジャンヌ・セレロ

◆マリー・フェレ(ナンネル・モーツァルト)
◆マルク・バルベ(レオポルト・モーツァルト)
◆デルフィーヌ・シュイヨー(アンナ・マリア・モーツァルト)
◆ダヴィッド・モロー(ウォルフガング・モーツァルト)
◆クロヴィス・フワン(王太子)
◆リザ・フェレ(王女ルイーズ・ド・フランス)
◆ヴァランテイーヌ・デュヴァル(王女ヴィクトワール・ド・フランス)
【この映画について】
モーツァルトの実姉ナンネルの知られざる真実と、フランス王太子との密かな恋の行方を描く。女が男に伍してプロフェッショナルの道を究めることなど有り得ないとされた時代、さらには天才を弟に持つという巡り会わせ。若きヒロインは自らの運命を呪ったろうか。
淡い恋心を抱きながら進むべき道に苦悩する姿は、遙かに多くの自由を手に入れた現代の女性たちにも十分共感を呼ぶに違いない。ヴェルサイユ宮殿でのロケを敢行し、美しいバロック音楽に彩られたモーツァルト一家の物語を描いたのは『夕映えの道』のルネ・フェレ監督。監督の実の娘マリー・フェレが演じたナンネルは10代の少女とは思えない静謐かつ凛とした覚悟の顔を見せてくれる。それはマリーの実妹リザ・フェレが扮した王の娘ルイーズにも共通している。(この項、gooより転載しました)
【ストーリー&感想】(ネタバレあり)
18世紀中頃のヨーロッパ。父レオポルトの薫陶を受け、3歳から音楽を学んでその才能を開花させた14歳のマリア・アンナ・モーツァルト、通称ナンネルには、11歳の弟ヴォルフガングがいた。
3年半をかけてヨーロッパを巡る長い演奏旅行のなか、各地の演奏会で“神童”と絶賛されるヴォルフガングをレオポルドは溺愛していた。一方ナンネルには、ヴァイオリンに触れることさえ禁じるのだった。女性は作曲家になれないというのが当時のヨーロッパの常識だったが、ナンネルはヴォルフガングのヴァイオリン演奏で伴奏を務め、聴衆を魅了していた。
やがてモーツァルト一家は、ルイ15世が君臨するヴェルサイユ宮での演奏の機会を得る。その滞在中、ナンネルはフランス王太子であるルイ・フェルディナンと出会い、恋に落ちる。王太子はナンネルの音楽の才能に気づくと、彼女に作曲を勧める。ナンネルは創作の歓びに目覚めていくが、女性が作曲をすることは許されないことだった。

著名なクラシック音楽家を題材にした映画は数多く存在し、私自身はクラシック音楽には全く関心がありませんが映画の題材としては守備範囲内なので観ます。
この作品は、ウォルフガング・モーツァルトの姉ナンネルが主人公であり、彼女を中心にモーツァルト一家の様子が描かれています。モーツァルト一家は、当時のヨーロッパ王室や貴族相手に一家での演奏会を披露する旅に出ておりストーリーもこうした史実に基づいているため、ロードムーヴィー風な展開にもなっている。特に、世界遺産として名高いヴェルサイユ宮殿でのロケ映像を含めてヨーロッパの美しい風景が盛り込まれていて映像美を堪能できる。
ストーリーとしては有能な音楽家としての素質を持ちながらも、弟ウォルフガングの成長と共に父が弟の音楽の才能を開花させようと溺愛したために、弟と比べても遜色の無いほどの素質を擁しながらも父からは「女だからダメ」の一言で片づけられてしまうナンネルには成長と共に不満が増幅する。
ナンネルはフランス王一家の御前で披露した演奏会で王太子に気に入られ王太子から直々に自分の為に曲を作って欲しいと依頼され、これを機に王太子と男装して王太子の側近を巻いて密会するのだが、やはり、王太子としての身分と地位もありナンネルの恋は実ることは無かった。また、一家が移動中に国王の私生児として生まれた2人の王女との心温まる交流話は、王女が正妻の娘では無かった為に修道院送りされた運命を嘆き、ナンネルを姉の様に慕う話も良かったが、この王女の妹とナンネル役の彼女とは実際にも姉妹である。
ナンネルと王太子の話はフィクションっぽいが、ナンネルが父への反発を持ち始めた頃のエピソードでもあり、全体のストーリー展開としてもタイミングの良い形で挿入されている。

ウォルフガングの神童としての名声が高まるとともに、自らの音楽家としての才能を父から「頭ごなしに」拒まれ続けたことで、夢だった女性作曲家としての道を断念せざるを得なかったナンネル。
女性が作曲家になることが否定されていた時代でタブーに果敢に挑んだナンネルだったが、やはり音楽家である父から手ほどきを受けなければ一流音楽家への道は閉ざされることになり、結局、彼女は父の目を盗んで密かに作曲した楽譜を暖炉で焼却したラストシーンは切なかった。
この一家の最後は、テロップで紹介され、母の没後はナンネルが病気がちな父の世話をし33歳でやっと15歳年上の5人の子持ちの男性と結婚し、父が音楽の全てを叩きこんだ弟が父の世話をすることは最後まで無かったそうだ。

モーツァルト一家を通して当時の王室や貴族の生活やその周辺の者たちの生活や仕事ぶりまで細かく描かれているし、監督の娘が演じたナンネルや王女役の子も監督特権?での出演とは言え素晴らしかった。ウォルフガングは、ここではやんちゃな弟として描かれていた。



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