kintyre's Diary 新館

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AORの名盤が復活、ディック・セント・ニクラウスの「マジック」(1979)

2010-09-13 00:00:00 | 音楽

<曲目>
01: マジック
 

02: ヘルプ・ユアセルフ
03: ホワッツ・ザ・リーズン
04: キャント・ギヴ・アップ
05: アワ・グッバイ
06: ボーン・トゥ・ラヴ・ユー
07: サッド・プライス・トゥ・ペイ
08: シーズ・マイ・ミュージック
09: チェンジング

最近になって一気にAORのリイシュー化が進み音楽専門月刊誌にまでレビューが書かれるなど、ちょっと前までは考えられない状態に嬉しい意味での戸惑いを感じています。その中で、この「マジック」はディック・セント・ニクラウスが本国では1979年に発売となり、日本では年明けて1980年1月に当初は大阪・関西地区のみでの発売となった。アメリカ村の輸入盤店での評判が広がり、関西地区全体に噂が広まり最終的には全国販売となった。
ディック・セント・ニクラウスと言えば、次作「スウィート・アンド・ダンディ」は1980年に本国発売となったものの、あちらでは全く注目されず、何故か日本人の琴線に触れたのか、こちらではローカルヒットを生んでいた珍しいタイプのアーティスト。私はこの「スウィート・アンド・ダンディ」はCDで持っていますが、今回の「マジック」はCD化されていなかったので聴いてみたかったので、リイシュー化は嬉しいニュースです。

1曲目の表題曲はディスコ風サウンドを取り入れていて、女性コーラスとの絡みがエロティックさを醸し出している。ホーン・セクションの使い方が効果的だが、FOが少し早い気がするのは残念。もう少し聴きたい、そんな感じでの終わり方。
2曲目は彼本来のサウンドが戻ってくる。キーボード中心のメロディ・ラインだが、中間部分以降でのサックス・ソロ(アーニー・ワッツかな?)とサックスの絡みは良い味を出している。
3曲目は別離への悔いを語るような内容のしっとりとした曲。しっとりとした部分とは対照的にコーラス部分は分厚いのが特徴で、控え目なストリングスも曲を盛り上げている。
4曲目はキーボードの連弾で始まる軽快なリズムが魅力。別れてしまった彼女への未練を歌っているが、ここでは明るい曲調で、女性コーラスの使い方が上手い。
5曲目はスローなメロディ・ラインとストリングスが絡む展開で、しっとりとした歌声で歌いあげる。エア・サプライのバラードの様な雰囲気だ。
6曲目は2曲目からはメロウ系の曲が続くが、ここで再びディスコ系のサウンドが登場し、2曲目と同じように中間部でサックス・ソロが華やかさを加える。
7曲目はいままでは彼自身の女性体験を歌ったような内容から、一転して彼自身が父から人生観を問い質され、それに反発し自分の道を歩むことを宣言したかのようなパーソナルな歌詞が特徴的だ。
8曲目はアルバムの中では最もロック色が前面に出ている。中間部以降でギターソロが2度入りそのままFOして終わる。
9曲目は大部分をピアノとストリングスをバックに思い詰めたように歌っている。ドラムスは終盤で少し入るだけの曲展開でアルバムを閉める。

こうしてアルバムを通して聴くと、曲その物は日本人好みのしっとりとしたサウンドが特徴だが、やはりそれだけでは売れないと見たのか、当時流行していたディスコサウンドを彼なりに消化した曲を表題曲として収録することでバランスを取ったようだ。
歌詞は全体的に彼の女性関係を扱った中身が多いようなのだが、作品のクレジットを読むと9曲目だけが彼単独の作詞作曲で、他の8曲は共作となっている。更に、演奏陣だが彼自身がキーボード、シンセ、ギターを担当している。AORアルバムでは通常豪華なセッション・ミュージシャンがバックを固めるのだが、このアルバムでは辛うじてベースのリーランド・スクラーやサックスでアーニー・ワッツの名前を見かける程度で、他の名前は無名のミュージシャン?が演奏しているのも珍しい。

彼はその後、日本でのコンサートツアーも実現したようだが、AORが勢いを失いMTVが台頭しはじめるとソングライターとしての道を歩んだようだが、最近の活動は全く分かりません。それでも本国では殆ど無視された存在だったが、日本では確実に名前を残したアーティストでしょう。

 



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