「基本指圧」に憧れて ― 村岡曜子のブログ

我が国固有の指圧を広く浸透させ、社会の保健と福祉の増進に寄与したい。

「探していた指圧に巡り会えた」

2007年04月15日 | 指圧の活動
  主宰する基本指圧研究会の決算、総会の準備などで忙しく、すっかりブログ投稿をご無沙汰してしまいました。

  指圧をしていると、浪越徳治郎先生の治療受けたという人に、たまに出会うことがあります。この患者さんも、何回も先生の指圧を受けた方です。身体はコチコチに堅くなっしてしまい、顔は赤ら顔になり、血圧もかなり高い状態でしたが、ある方の紹介で指圧を受けに来院されたのです。
  この方は、日本指圧学校のすぐそばのT警察署に15年ほど勤務されていた警察官で、今は桜田門の本部勤務をしていらっしゃるとのことでした。T警察に勤務されていた期間と、私が指圧学校に通っていた時期が重なるということだけで、なにか初対面という気がしなくなり、急に懐かしさが込み上げ、思わず当時の小石川周辺の話に花が咲きました。

  コチコチになった肩こりは、当時からのものだそうです。浪越先生の指圧をたまに受けていたということですが、先生が多忙なため、なかなか思うようには掛(か)かれなかったようです。しかしその指圧の感触は、よく覚えていらっしゃいました。
  以後あちこちで、“指圧”の看板を見つけては受けたらしいのですが、「ちゃんと圧す指圧師は、なかなかいないもんですな」と言っておられました。「やっと捜していた指圧に巡り会えた」と、とても喜んでおられたのは、私にとって思いもよらないことでした。

  最近、指圧予約の問い合わせで 「何分でいくらか」 と聞かれることがよくあります。世間一般では、それが当り前のようです。力でぐいぐい圧す指圧が主流になってしまって、またクイック指圧なども流行っていますので、受ける方も圧す方も、「時間でいくら」 と考えるのが普通になったのでしょう。かつては、私も力で圧す指圧でした。

  また、こんな話もしておられました。
 「警察官は、仕事がら皆身体がコチコチなんです。ギックリ腰なんかもすごく多い、受けさせてあげたいと思う同僚が大勢います」
 「一部の心無い警察官のために警察が誤解されたりしていますが、身体を張って皆さんのために頑張っている警察官はたくさんいるんです」

  そんなやりとりの中に、この方の警察官としての自覚と自信と誇りをとても強く感じ、私たちを守るために、日夜身を粉にして頑張っておられる様子がよく分かりました。息子さんも刑事になっているそうで、子供の頃からそのように育てた、とも仰っていました。私は「ご苦労様です」との思いを込めて圧させていただきました。

  力圧しが主流となっている指圧ですが、“本物”を知っている方もまだまだいらっしゃるんだと実感し、本当に心強く感じたものです。それにつけても、本物の指圧ができる技術者が、もっともっと増えてこなければ――。
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