「基本指圧」に憧れて ― 村岡曜子のブログ

我が国固有の指圧を広く浸透させ、社会の保健と福祉の増進に寄与したい。

小沢一郎・民主党幹事長の「逆ギレ会見」にひと言

2009年12月16日 | 雑感

  民主党の小沢一郎幹事長は14日、党本部で記者会見し、羽毛田信吾・宮内庁長官の発言に噛み付きました。
  これは民主党が、天皇陛下と中国の習近平副主席の特例的な会見を、宮内庁にごり押しして急きょ設定したことについて、同長官が「天皇陛下の政治利用に当たるのではないか」と懸念を示したことに対するものです。小沢氏の言い分です。 
 「(内閣の)1部局の1役人が、内閣が決定したことについて会見し、方針をどうだこうだと言うのは日本国憲法の精神、理念を、民主主義を理解していない。もしどうしても反対なら、辞表を提出したあとに言うべきだ。当たり前でしょう、役人だもの」  

  またこの発言の前に、会見に臨んだ記者たちに対して、次のようにまくし立てていました。 
 「日本国憲法を読んでるかね。天皇の行為はなんて書いてある。国事行為は内閣の助言と承認で行われるんだよ。天皇の行為は国民が選んだ内閣の助言と承認で行われる。すべて。それが日本国憲法の理念であり本旨だ」 
 
  私はこの発言をテレビで視聴して呆れ、翌朝の新聞で発言を再度確認しました。どうしても黙っていることができませんので、以下、小沢氏の考えがどのように間違っているかを述べてみます。  

  たしかに日本国憲法第3条には、以下のように記されています。
 「天皇の国事に関するすべての行為には、内閣の助言と承認を必要とし、内閣がその責任を負ふ」と。  
  それでは「国事行為」とは何でしょうか。国事行為は具体的には以下の行為を指します。

1.国会の指名に基づき内閣総理大臣を任命すること(日本国憲法第6条第1項)
2.内閣の指名に基づき最高裁判所長官を任命すること(第6条第2項)
3.憲法改正、法律、政令及び条約を公布すること(第7条第1号)
4.国会を召集すること(第7条第2号)
5.衆議院解散(第7条第3号)
6.総選挙の施行を公示すること(第7条第4号)
7.国務大臣及び法律の定めるその他の官吏の任免並びに全権委任状及び大使及び公使の信任状を認証すること(第7条第5号)
8.大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権(恩赦)を認証すること(第7条第6号)
9.栄典を授与すること(叙勲)(第7条第7号)
10.批准書及び法律の定めるその他の外交文書を認証すること(第7条第8号)
11.外国の大使及び公使を接受すること(第7条第9号)
12.儀式を行ふこと(第7条第10号)  

   天皇陛下が習副主席に会われることが、どうして国事行為なのでしょう。この中のどれに該当するというのでしょうか。 
 「外国の大使及び公使を接受すること」は国事行為ですが、外国元首の接受についての法的位置付けは、「象徴としての地位に基づく」公的行為として容認する考え方、「儀式を行ふこと」に該当する国事行為とする考え方、そもそもそのような行為は国事行為とは認められないとする考え方などがあるようです。
 「元首」に対してもこのように考えられているのです。ましてや習氏は副主席で、胡錦濤・国家主席の代理でもなければ、もちろん国賓でも公賓でもありません。どうして彼との会見が「国事行為」に当たるのでしょう。  
  小沢氏は記者団に「国事行為は内閣の助言と承認で行われるんだよ」と言ったあと、「天皇の行為は国民が選んだ内閣の助言と承認で行われる。すべて」と、あたかも「天皇陛下の行為のすべて」が内閣の助言と承認で行わなければいけないような発言をしています。これは悪質なスリカエの論理で、こんなことを許すのはきわめて危険です。  

  しかも外国の要人が天皇陛下との会見を希望する場合に、1カ月前までに申し入れるのが日本政府の慣例で、いままで自民党でもそれを守ってきました。公務多忙な陛下の日程調整を円滑に行うのが目的で、1995年に文書で定められたものだそうです。
  特に2003年に陛下が前立腺がんの摘出手術を受けられたこともあり、翌年からはより厳格に守るよう徹底されてきたのです。  

  小沢氏は、「天皇陛下のお体が優れないというのなら、それ(習氏との会見)よりも優位性の低い行事はお休みになればいいこと」 と臆面もなく言っている、まことにあいた口が塞がりません。
 「優位性の低い行事」とは具体的に何を指しているのでしょう。  天皇・皇后両陛下は前日の13日、学習院創立百周年記念会館で、「第60回記念定期演奏会並びに天皇陛下ご即位20年・両陛下ご成婚50年記念祝賀演奏会」を鑑賞されましたが、あるいはそのことを指しているのでしょうか。陛下個人の行動まで「優位性が高い、低い」と自分の『ものさし』で量るなど、まことにもってのほか、不敬のきわみではないでしょうか。  

  羽毛田長官は、「陛下のお努めのあり方を守るのが私の役目で、そうした懸念が生じた場合は言うべきことを言う」 と語っていますが、小沢氏はもっと勉強し、これらの批判に真摯に耳を傾け、日本の国体について謙虚な姿勢を持つべきではないでしょうか。

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