「基本指圧」に憧れて ― 村岡曜子のブログ

我が国固有の指圧を広く浸透させ、社会の保健と福祉の増進に寄与したい。

二分脊椎症の排便障害に対し、基本指圧で機能改善を目指す(2/3)

2014年11月10日 | 指圧の活動

 (前回のつづき)
  その後、開放性二分脊椎症の18歳の男子(東京都在住)と女子に対し基本指圧を施しました。東京都在住であった男子には、2回目からは鈴木林三先生にお願いしました。彼は車椅子生活でしたので、家人に病人が出て1人で治療を受けに行くことができなくなり、しばらく断念していました。しかし翌年春から就職して寮生活に入ることが決まっていたので、指圧を受けていた感覚を頼りに自分で圧すことを工夫して自力排便ができるようになり、かなり好結果を得ることができ、その効果は今も続いています。

  また状態の厳しい埼玉在住の女子に対しては、週2回の施術を実施し、平成21年12月13日~平成22年9月5日まで基本指圧を約9か月で合計63回施術し、排便の自立を得ました。彼女は生後18年間で全身19か所も外科手術を受けています。身長も成長が止まったと思われていましたが、指圧を始めて9か月間で6.8センチも大きくなりました。

  生理時に必ず起こしていた尿路感染も、指圧を受け始めてから無くなりました。治療終了時、J医大病院の医師による腹部レントゲン撮影の結果、腸内の様子が明らかに改善しているのが確認されました。1年前のレントゲン写真では、腸内は宿便でいっぱいで、鎖状にコチコチ便が連なっていたのが、腸内の左側に少量と直腸に少し便があるだけで「腸の右側に便が無いのはいいことです」と診断していただきました。
 
この2例も2011年6月30日、日本二分脊椎研究会(千葉県こども病院長(脳神経外科))において発表させていただきました(口演は藤原一枝先生)。

 
二分脊椎症の方々と関わり、学んだことの多さは、たいへん貴重な経験でした。現在まで9名の二分脊椎症患者に基本指圧を施術し、6名が自力排便できるようになりました。この中で、排泄を下剤で管理していた女性からは(当時30歳、脊椎脂肪腫二分脊椎症)「基本指圧に出会い人生が変わりました」と、涙なくして読めない長文の手紙をもらいました。
 
彼女はこれまで、1回も自力で排便をしたことがなかったのです。施術は、2014年2月9日から始めました。あまりにも全身が硬いので体の状態を見ながら慎重に全身指圧を施し、下剤を止めるチャンスを見ていました。ちょうど彼女が仕事を退職した時を契機に、自分の意志で3月30日から下剤を止める決意をしました。週1回の全身指圧とお腹の状態を見るため週の途中に腹部中心の部分指圧(30分程度)を施術し、57日目に自力排便になったのです。

  この日は施術中に何回もトイレに行きながらの治療で、私は徹夜も覚悟していましたが、施術2時間半ほど経過したところでしっかりした腹部の手ごたえで大丈夫と思い帰宅してもらいました。その日深夜11時、自力排便となりました。そして今年3月、諦めていた結婚に踏み出せたのです。人生が180度変わり幸せに生活している例を身近に見ることができ、基本指圧の素晴らしさを強く感じています。(つづく)

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