前回、このブログに「逆子(さかご)を何とかできませんか」と電話をかけて来た方の、知人の治療の様子を書きました。今日はその結果についてご報告します。
今月7日に、私の患者さんから電話が来ました。知り合いが妊娠したが逆子、21日に帝王切開が決まったが何とかなりませんか、という内容でした。産婦人科医にかかっているようですから、確認していませんが「逆子体操」なども勧められてやったのでしょうか。万策尽きた様子でした。その方が病院で知人と会って状態を知ったので、私のところへ相談の電話がきたのです。
ただ私の予定に全く空きがなかったので、2、3日中にでもキャンセルが出たら電話します、と伝えて切りました。ところが急きょ私の予定に空きが出たのでさっそく電話をかけ、当日午後4時から治療を行うことになりました。
その方は臨月で、妊娠36週に入っていました。子供を産んだ方ならお分かりになると思いますが、子宮内の子供は大きくなってお腹は巨大に膨(ふく)れ、赤ちゃんが動ける余地はないように思えるのです。
私は妊娠8か月までの逆子を、正常な位置に戻した経験は何度もあります。ほとんどは1回で終了、1人だけ2回かかったことがありました。臨月の逆子の治療は初めてでしたが、やるだけのことはやったという思いがありました。
出産は赤ちゃんにとって、今後の人生の出発点ですからとても大事です。できることならお母さんも、手術ではなく自然分娩で生みたいはずです。それからは逆子がどうなったか気がかりで、治療院の電話が鳴るたび、「彼女かな」と思って落ち着きません。
帰宅して夫に話すと、「それほど気になるのなら、こっちから電話をすればいいだろう」と言われました。毎朝おきて真っ先に気になるのですが、怖くてこちらから掛けられません。
「腹部の状態は納得できるものだったのに」。でもやれることは全部やった、という満足感はありました。
19日、彼女からの電話をスタッフが受けました。この日の診察の結果、なんと臨月の逆子が治っていたというのです。これで21日に予定されていた手術は必要ありません。
私は嬉しくて舞い上がってしまいました。電話を代わっても、何を話したのか覚えていません。彼女は電話の向こうで泣いていたようです。私も涙があふれていました。彼女とは「戦友」のような意識が芽生えたような気がしました。
今回は指圧を学んでよかったと、しみじみ思う治療との出会いでした。同時に、工夫をして真剣に取り組めば、奇跡って起きるものだと思いました。
まだ見ぬ赤ちゃんなのに、「なんてか・わ・い・い」という思いが湧いてきます。彼女に「必ず見せに連れてきてね」と伝えました。指圧を受けた赤ちゃんです、きっと元気だと思います。がんばってね!