「基本指圧」に憧れて ― 村岡曜子のブログ

我が国固有の指圧を広く浸透させ、社会の保健と福祉の増進に寄与したい。

治療室は食事所と運動場! 後味の悪さに私も反省

2009年04月29日 | 雑感
  Mさん(27歳女性)は、2児のママ、第1子(2歳・男児)のNちゃん出産のときは、切迫早産の危機を乗り越えてのお産で、ずいぶん苦労したようです。 
  第2子妊娠のおりは、7カ月に入ったころから腹部の張りの強さに切迫早産の不安を感じ、オバサマの紹介で来院され、基本指圧を受けながら体調を整えて出産を迎えました。  

 安産でとても健康な赤ちゃんに恵まれ、毎日の楽しい育児を経験、基本指圧への信頼も厚く、産後もよりよい子育てのために毎月指圧を受けに来院されています。彼女が指圧をよく理解し、大切に思ってくれるのはとても嬉しいことです。私も多忙な中ですが、彼女のために時間をさいています。 
 いつも一緒についてくる長男Nちゃんとも、慣れて仲良しになりました。Nちゃんは、抱いてみると、彼独特のズシッとした妙な重さがあります。ハカリの目盛りには出ないたぐいの重さで、これは筋肉の硬直や循環の悪さによるものなのです。少し指圧をしてみると不思議にこの重さがとれて軽くなるので、皆がとても驚きます。  

  小さな子供を指圧すると、その前と後では抱いた感じが軽くなるのはよくあることですが、Nちゃんはとくにそれがハッキリと出ます。いつも咳をしていて、風邪を引いているわけでもないのに、その咳がいっこうに治らないとママが心配そうです。 
  そこで、来院のたびに少し圧してみることにしました。本人もいやがらずにそこそこ圧させます。何度か圧すうちに、身体の独特な重さも取れてきました。同時に咳も治まりました。そうなると現金なもので、今はあまり圧させてくれません。  

  指圧の話がご家族の中で出ているのでしょう。Mさんの姉Aさんから予約の電話を頂きました。初めてなのでMさんと一緒の日、続いた時間で、ということになりました。  

  Aさんにも2歳の男の子が1人います。その日、治療開始の1番目と2番めの時間です。朝、全員一緒に来院し、Mさんの治療からスタートしました。同時に子供達2人と姉のAさんの朝食時間になりました。 
  コンビニで購入したらしいオニギリを、3人で食べ始めたのです。グレープジュースを飲み回しながら、両手にオニギリを持ってモグモグとほうばるAさんの姿には、呆気にとられてしまいました。後から来たおばあちゃんが、Aさんに、
 「あなた指圧を受けるのに、そんなに食べていいの?」
 「大丈夫、30分前までに食べればいいの……」  

  私は、彼女にそんなことを言ったことは、ありません。 子育ての最中は、我が子可愛いさのあまり、他のことがつい見えなくなってしまうことがよくあります。私も若いころにきっと似たようなことをして、周りの大人達のヒンシュクを買ったことも多かったかも知れません。 
  でも、しかし……あまりにも行儀が悪い!……。  
  レジ袋を店開きし、オニギリをほうばるAさんと口をモグモグしながら飛び跳ねる子供、しかも、初めて治療に来た治療室で他の患者さんも治療を受けているのです。 
  どうしてもひと言いわずにはいられませんでした。  

 かつてあった事件を引き合いに出し、Mさんに話しました。夜店のワタアメの棒が喉に刺さり、尊い一命を落とした幼い男の子があったことを、記憶されている方も多いと思います。救急車で搬送された病院でいかなる処置がなされたかは知りませんが、最愛の我が子を一瞬にして失ったご両親の悲しみは、想像すら及ばない深いものであろうと思います。 
  しかし食べ物を口にするとき、必ず座ることをしつけてあれば防げた事故です。せめてその話しだけでも、と思って話しました。言い過ぎかも知れませんが、犬でさえ「お座り」「待て」をします。  

 このブログは、読んでくださった方が指圧を理解し興味を持っていただけるように、なるべく明るい話題や面白い治療風景をと考えています。愚痴めいたことは、書きたくないのですが、この30数年の中で初めての、あまりにもひどい経験でしたのでつい書いてしまいました。  

  ちなみに姉Aさん、初診カードに記入する際「子供の名前はここに書くの?」と聞きました。
 「えっ? 今日は子供の治療ですか?」
 「いいえ、でも子供も圧してほしいから」 
 子供の治療も本来きちんと予約をいただき、施術料もいただいてやっています。親の指圧についてくる子供を、無料で必ず圧す訳ではありません。子供の治療は、まずお友達になることからと思っています。私の子育て支援の気持の表れで、たまたま圧してみることもありますが、私は決して「ついでに圧してくれる便利な指圧師」ではありません、アシカラズ! 
  なにかとても後味の悪いこの日の仕事は、私の態度に曖昧な点があったからでしょうか? 振り返って反省してみようと思っています。 
  これを読まれた方の後味も悪いかもしれません。ごめんなさい。

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