爺の社会科見学

年金生活12年目に突入。好きな地理と写真を生かした、一味違ったブログを目指して。

「生涯学習都市宣言」の八潮市

2017-05-07 12:22:53 | 日記

埼玉県南東部に位置する八潮市は人口8.8万人である。昭和31年に南埼玉郡潮止村、八条村、八幡村が合併して八潮村となり昭和39年に町制施行、昭和47年に市制施行された。
市名は、八条・八幡村の「八」、潮止村の「潮」を併せて八潮とした。
草加市との結びつきが強く、警察、消防は一つの行政管内となっている、交通も草加駅(東武スカイツリーライン)とのバス路線があるが「つくばエクスプレス」の八潮駅が平成17年に開通し鉄道網が無かった八潮市にとって、新たな交通網となった。
平成3年に埼玉県で初の「八潮市生涯学習都市宣言」が市制20周年に宣言された、全国的にも早い宣言のようである。
平成元年に完成した「八潮市郷土資料館」は、その宣言の中核となる施設と言える。展示室、学習室、ホール、会議室等を備えている。常設展示室では、水と生活してきた八潮の歴史が出土品、復元品等により展示されている。

  ※玄関の脇に「水と生活」の碑があった
八潮市は、東に中川、西に綾瀬川が流れる中川低地に位置し、先祖が自然との共存、特に川との恵み、闘いをしてきたが、近代化、都市化の中で基盤整備され生活も変化し、先人たちの労苦を後生に残し更なる発展の思いがこの石に刻まれている。

   ※大きな石が展示されていた、昔は鉄が貴重なため、碇の代わりをしていた。

 ※染め物

この辺(八潮市・草加市・越谷市)の地場産業でもある。県の無形文化財に指定され浴衣の柄染めなどを行う長板中型の作業工程の展示コーナー、浴衣の柄染めなどを行う注染の道具類を展示している。

 ※伝馬船

中川や綾瀬川を肥料や野菜を積んで往来した6分の1の木造船や補修を行う船大工の道具、白玉製造工程のパネルといった近代以降の八潮市域の水との共存に関わる展示をしています。伝馬船はまさにリサイクルに大きい役割をはたしました。

 

郷土資料館の横に旧藤波家住宅(八潮市指定文化財)があります。
藤波家は、この地の開発名主で、かつては横堀に囲まれた3,960㎡の土地で現存する主屋、庭園の他、米蔵、文庫蔵、物置などの建物も付随していました。現在の主屋は、明治9年の建築です。この建物は、元資料館の場所にあったようで移動したとのことです。

※式台のある名主住居で、明治時代に建て替えられましたが、名主住居の特徴が出ています。

※天水甕
沖積地における堀井戸の場合、井戸水に鉄分が含まれ飲料水に適さない井戸が多く、そのような家では、天水(アマミズ)を甕に貯え飲料水として用いた。雨量が多いときは水が濁らずきれいであったが、日照りが何日も続くと水がよどみ、ボウフラがわいた、そのような場合、甕の脇を叩きボウフラをしずませて柄杓で油膜を除き汲みあげたそうである。

※土間には、水害のための舟、米俵が吊り下げてあった。この地域が川の氾濫が多く、名主は舟や備蓄米を用意したようである。

※奥座敷の床の間にある木の兜は継ぎ目がなく、1本の木から造られた。

※奥座敷は、書院風造りで、床の間:違い棚・付書院を設けている。付書院には、組子障子、透かし彫りなど手の込んだ細工が見られる。

※初期のパンフレットは、移動する前でゆとりがあるが、その後に現在の資料館が建てられた。

※土間の天井は、竹の簀の子天井で梁を隠している、明治時代ならではか。

※門の脇に、カメと柄杓を持った像があった。いわくがあるかもしれない・・・

※旧藤波家住宅は、平屋であるが箱階段があり天井が物置となっているようだ。江戸時代の建物と違い収納部分が多くあるように思える。

八潮市には、古民家が3カ所あり、和井田家住宅についてはブログにて紹介をしたが、このような大規模古民家が保存されているのはありがたい。和井田家住宅より年代的には新しいが、格式と細部に財力が感じられる民家であり、子どもの学習にとって配慮した展示もある。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする